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デキャップ(開封)とは

デキャップ(開封)とは、半導体パッケージの封止材を取り除き、中のチップやボンディングワイヤを露出させる作業です。 故障解析の途中にあり、1個につき1回限りの一手にあたります。肝心なのは、樹脂を取ったあとに何が残っているかです。チップが通電したまま生きていること、ワイヤが引っ張り試験に耐える強度を保っていること、接合部の銀めっきが元の色を保っていること。何を残したいかによって開け方が変わり、いまの標準はレーザーで削れるところまで削り、残りだけを薬液で溶かす併用です。

外からは見えない故障を、通電できる状態のまま開けて調べる

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X線透視や超音波探査で、ワイヤの断線やモールド樹脂の中のボイド、界面の剥離までは追えます。しかしチップ表面の微弱な発光や、配線の1本が高抵抗になっている状態は、封止材が光も探針も遮ります。

パッケージの開封は、観察・故障解析・良品解析・分析といったさまざまな解析を行ううえで重要な手法です。故障解析ではパッケージを除去した後にも電気的特性を確かめることが多いため、組立構造を維持した状態で開封する半破壊解析が定石です1。放射線を当てるシングルイベント効果(SEE)の試験でも、電気的特性を保ったままパッケージを開け、ICチップの表面を露出させる必要があります。近年はパッケージの微細化と複雑化にともなって開封の難易度が高まり、OKIエンジニアリングは対象部品の種類や構造・材料から最適な開封方法を提案するとしています。

開け方は溶かす・削る・灰化の3通りで、樹脂には加熱した酸を使う

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酸が樹脂に効く温度
温度室温約100℃約150℃発煙硝酸ほとんど効かない数分で開封酸が分解する硫酸エポキシに効く
発煙硝酸は室温ではほとんど効かず、約100℃で数分のうちに樹脂を開封します。それ以上に上げても酸が分解するだけです。硫酸は約150℃まで加熱して初めてエポキシに効きます。

パッケージの開封方法は、薬品による溶解、機械的な除去、プラズマリアクタによる灰化の3通りです2。セラミックやメタルのパッケージでは機械的な方法が簡便で、特殊な装置や工具の準備を省けます。

プラスチックパッケージでは、樹脂の除去を薬液が担います。ICなどの半導体パッケージ樹脂にはシリカなどのフィラーを含むエポキシ樹脂が多く使われるため、発煙硝酸などの薬液で樹脂を溶かします3。発煙硝酸も硫酸も、加熱して初めて樹脂に効きます。赤色発煙硝酸は室温ではプラスチックにほとんど効かず、約100℃まで上げると数分でデバイスを開封します4。それより高い温度は酸を分解させるだけです。開いたビーカーで加熱すると酸はNO2を出して水分を吸い、薄まって黄色の硝酸に変わります。薄まった黄色の硝酸はデバイスの金属と反応するので、開封には使えません。硫酸でエポキシを溶かすには、約150℃まで加熱する必要があります。

クオルテックが示すAuワイヤ品の手順は4段階です。ガラスエポキシ基板へサンプルをはんだ付けし、開封薬液と洗浄液を用意してホットプレートで所望の温度まで加熱し、サンプルを薬液へ浸漬し、開封状態を目視で確かめたあと素早く洗浄します。

銅のワイヤが、削ってから溶かす手順へ書き換えた

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AuワイヤとCuワイヤの開封手順
AuワイヤCuワイヤはんだ付け加熱薬液に浸漬洗浄X線透視はんだ付けレーザー加工浸漬洗浄浸漬を短縮
クオルテックが示すCuワイヤ品の手順では、X線で位置を決めてレーザーで樹脂を先に削り、薬液に漬ける区間を縮めます。浸漬と洗浄はAuワイヤ品より手早く済ませます。

かつてチップとリードフレームをつなぐ線は金が中心でした。クオルテックは、近年その線材をAuワイヤからCuワイヤやAgワイヤへ移す半導体メーカーが多くなり、従来の薬液だけの開封ではワイヤを溶かしてしまうことが多くなったとしています3。薬液だけではCuワイヤにダメージが生じ、良品解析での強度試験ができなくなるとしており、薬液条件の改善とレーザー開封設備の併用で薬品の浸漬時間を短縮し、強度試験が可能なレベルまでダメージを抑えた開封を実現したとしています。

Cuワイヤ品の手順は、Auワイヤ品より1段階増えます。同社が示す流れでは、まずX線でパッケージ内部を透視してレーザー開封の加工領域を決め、ガラスエポキシ基板へはんだ付けし、X線で見きわめた位置でレーザー加工を行い、最後に薬液開封と洗浄をAuワイヤ品よりも手早く行います。同社は、後の薬液開封でのダメージを減らすため、ワイヤの評価に支障が出ない限界まで樹脂をレーザーで先に除去しておくことが重要だとしています。

OKIエンジニアリングは、Cuワイヤ品では蛍光X線分析でワイヤ材を非破壊で同定してから5、Cuワイヤに特化した手法で通電可能な状態のままチップ面を露出させます。開封の目的は、チップの取り出しや観察、故障解析や耐放射線試験、内部の組み立て構造やCuワイヤのボンディング品質を調べることの3つで、最も難易度が高いのは3つ目です。チップ面に加えてCuワイヤのセカンドパッド部までの全面開口が必要で、しかも開封後のCuワイヤをできるだけ健全な状態で残すよう求められるためです。同社は薬液滴下法の加熱温度・混酸比率・添加剤といった条件を検証し、Cuワイヤとセカンドパッド部の銀めっきを良好な状態で開封するとしています。

レーザーと薬液の境目は、チップの上に残す樹脂の厚さで決まる

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削る深さの分担
レーザーで削るレーザーのみ薬液で溶かすチップモールド樹脂リードワイヤ約100 µm薬液で溶かす樹脂残る樹脂
ハイソルの装置では、全面を開けるときチップの上の樹脂をレーザーで約100 µmの厚さまで削り、残りを薬液で溶かします。リード側の2番目のボンディング部は、レーザーだけで露出できます。

ハイソルは、同社のレーザーパッケージ開封装置について、2番目のボンディング部だけであればレーザーのみで露出できるとしています。全面を開封する場合はレーザーが素子に当たると素子を壊してしまうため、素子表面の樹脂を100μm厚程度までレーザーで除去し、残った樹脂は薬品の開封装置で除去します6。同社は、レーザーによる開封をメタルにダメージを与えず高速に行える方法だとしています。同社はまた、強酸に耐える樹脂も増えており、溶けにくい樹脂を使った大型のパワーデバイスは、薬品の開封装置に頼ると時間がかかりすぎて安定的な開封が難しいとしています。

境目の位置合わせにはX線像を使います。OKIエンジニアリングのレーザー開封では、加工時に試料の像と透過X線像を重ねられるため、任意の領域を正確に加工できます1。同社の装置は出力20W、波長1064nm、ステージ寸法175mm×175mm、加工エリア38mm×38mmです。X線透過画像などの内部画像データからあらかじめ加工エリアを指定できるため、位置決めとモールド樹脂の除去、チップ表面の直上までの除去、2番目のワイヤボンディング部の露出を使い分けられます。削り残しが厚ければ薬液に長く漬けることになり、削りすぎればレーザーが素子へ届きます。開封の成否は、この境目の引き方で決まります。

内部への視界と引き換えに、試料・時間・設備を差し出す

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開封は1個につき1回限りで、封止された状態はその1回で失われます。キオクシアの信頼性ハンドブックは、推定される故障メカニズムに合わせて開封法を選ぶよう求め、開封法が不適当だと後に必要な情報が得られなくなり、原因不明に陥る可能性があるとしています2。だからこそX線透視は分解の前に済ませます。

開けた瞬間から、試料は時間との勝負に入ります。クオルテックは、洗浄工程に時間を要すると半導体チップにダメージが発生するとしています3。キオクシアの同ハンドブックも、開封したサンプルは直ちに解析するのが望ましく、難しい場合はデシケータなどに保管して開封後の汚染や機械的損傷を防ぐ配慮が要るとしています。

半導体部品を構成する材料には特定有害物質が含まれるため、予備知識なしに分解・開封を行うと人体や環境に悪影響をおよぼすことがあります。OKIエンジニアリングは、完全な後処理を行える同社施設での解析を推奨しています。発煙硝酸などの強酸を加熱して樹脂へ滴下する作業なので、排気と廃液の設備が前提になります。同社の加熱薬液滴下法による標準パッケージの開封は1個から対応し、10個以内であれば即日で開封して返却します。

モールド樹脂は、外からの水分や応力を防ぐために付けられています。デキャップは、その守りを承知のうえで外す作業です。

デキャップとは何ですか?

半導体パッケージの封止材を取り除き、中のチップやボンディングワイヤを露出させる作業です。樹脂開封、パッケージ開封、開缶とも呼ばれ、観察・故障解析・良品解析・分析といったさまざまな解析を行ううえで重要な手法です。

どうやって開けるのですか?

薬品による溶解、機械的な除去、プラズマリアクタによる灰化の3通りがあります。セラミックやメタルのパッケージでは機械的な方法が簡便で、特殊な装置や工具の準備を省けます。プラスチックパッケージでは、シリカなどのフィラーを含むエポキシ樹脂を、加熱した発煙硝酸などの薬液で溶かす方法が広く使われています。

レーザーだけで開けられますか?

部分的にはできます。2番目のボンディング部だけならレーザーのみで露出できますが、全面を開ける場合はレーザーが素子に当たると素子を壊すため、ハイソルの装置では素子表面の樹脂を100μm厚程度まで削り、残りを薬品の開封装置で除去します。

なぜCuワイヤで手順が変わったのですか?

薬液が銅を傷めるためです。従来の薬液だけの開封ではCuワイヤやAgワイヤを溶かしてしまうことが多くなり、クオルテックはレーザー開封設備の併用で薬品の浸漬時間を短縮してワイヤへのダメージを抑えました。OKIエンジニアリングも、加熱温度・混酸比率・添加剤といった条件を検証し、Cuワイヤに特化した開封法を用意しています。

通電できる状態のまま開けられますか?

通電できる状態のまま開けることが目標になります。故障解析ではパッケージを除去した後にも電気的特性を測ることが多いため、組立構造を維持した状態で開封する半破壊解析が定石です。OKIエンジニアリングは、基板に実装したままでの開封や、放射線のシングルイベント試験向けの開封にも対応しています。

開けたあとは急ぐ必要がありますか?

あります。開封状態を目視で確かめたあと素早く洗浄する必要があり、洗浄工程に時間を要すると半導体チップにダメージが発生します。開封したサンプルは直ちに解析するのが望ましく、難しい場合はデシケータなどに保管して開封後の汚染や機械的損傷を防ぎます。

自分で開けてみてもよいですか?

半導体部品を構成する材料には特定有害物質が含まれるため、予備知識なしに分解・開封を行うと人体や環境に悪影響をおよぼすことがあります。OKIエンジニアリングは、完全な後処理を行える同社施設での解析を推奨しています。発煙硝酸などの強酸を加熱して使う作業でもあります。

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