コンテンツにスキップ

認定試験とは

認定試験とは、設計した製品と、それを作る工程を、量産へ移してよいかどうか合否判定する試験です。 合否が付く相手は、製品そのものより先に、その製品を生む設計と工程です。試すのは数十個の抜き取りなので、確かめられるのは摩耗による劣化までで、まれな欠陥による初期故障は量産後の試験に任されます。設計や工程を変えれば合格も付け直しになる点が、出荷検査との決定的な違いです。

試作と量産のあいだで、いったん止めて調べる関門

Section titled “試作と量産のあいだで、いったん止めて調べる関門”
認定試験と量産中の検査
研究開発設計・試作認定試験変更で再認定量産合格不合格ロットごとに出荷検査定期の信頼性モニタ
認定試験は量産へ移す前に1回、設計や工程を変えるたびにもう1回行います。出荷検査は量産中ずっとロットごとに続き、信頼性モニタは量産品から抜き取って定期的に行います。

ソニーセミコンダクタソリューションズの品質保証体系図では1、商品企画から設計、試作へと進む流れの途中に「認定試験」の枠があり、そこから合格と不合格の二本の線が伸びています。合格すれば生産準備へ進み、不合格なら前の段階へ戻ります。同社は設計成果物が製品要求事項を満たすかの検証と、意図した用途を達成するかの妥当性の審査を行い、この審査に、品質保証担当部署が顧客の立場で信頼性を検証する信頼性認定試験を含めています。

名前は会社ごとに違います。キオクシアは製品としての信頼性の検証を開発認定試験(DAT: Design Approval Test)と呼び2、寿命試験や各種環境試験で要求仕様と品質・信頼性目標を満たすかを調べます。同社の手順では、研究開発の段階でTEGを使ってウェーハプロセスやパッケージを評価し、適したデザインを決める基礎データを取り2、そのデータをもとに設計・試作した製品で製品認定試験を行います。ルネサス エレクトロニクスはこれを品質認定と呼び、デバイスの設計試作の時期に実施します3。

テキサス・インスツルメンツは、全製品が発売前に認定と信頼性試験、または類似性による認定の根拠付けを経るとしています4。名前が別でも、試作したものを量産へ渡す手前でいったん止め、まとめて調べる場所である点は共通しています。

検査は製品に、認定試験は設計と工程に合否を付ける

Section titled “検査は製品に、認定試験は設計と工程に合否を付ける”

ルネサスは、量産段階の最終検査で電気的特性を全数について測ります。キオクシアは、製品認定試験に合格したものについて、出荷時にその出荷ロットへ初期品質保証検査を行い、初期的な電気的特性や外観を製造ロットごとに調べます。どちらも出荷される製品そのものを相手にした、繰り返しの作業です。

認定試験の相手は群です。キオクシアは製品評価で、デザインルールやパッケージによりファミリー分類を行い、そのファミリーの代表製品を用いて2信頼性試験を行い、代表製品以外は主な電気的特性と少量のサンプルによる試験にとどめます。テキサス・インスツルメンツも、認定の過程で製品、プロセス、パッケージの信頼性が業界標準を満たすことを確かめるとしています4。1品種ずつ全部を試すかわりに、設計と工程が同じものを一つの群へまとめ、代表で合否をつけます。

合格が付いているのが設計と工程なので、そこへ手を入れれば合格も付け直しです。ルネサスは製品品質認定の考え方として五つを挙げています。顧客の立場から客観的に行うこと、過去の事故例とフィールド情報を十分に盛り込むこと、設計変更や作業変更に際しても認定を実施すること、材料・部品とプロセスを重点的に認定すること、工程能力とばらつき要因を検討して量産時の管理ポイントを設定することです。同社は認定のステップを材料・部品認定、特性認定、製品品質認定の三つに分け、材料・部品と製品それぞれの設計検証を前の二つで、設計の妥当性の審査を製品品質認定で行います。

変更の受け付け側では、ロームの品質部門が変更の受け付けと管理を一括して行い、計画段階でDRBFMやFMEAによるリスク分析を実施し、抽出されたリスクに応じて信頼性の検証を行います。結果に問題がなければ承認プロセスへ進み、製品や製造の品質基本設計に関わる変更では、顧客への変更申請と承認を経て実施します。同社は開発検討、設計審査、初期流動、量産の各段階で検証を行います5。認定試験は、この並びの中で量産へ渡す直前の関門にあたります。

中身は、熱と電圧と湿度で寿命を早回しする試験の組み合わせ

Section titled “中身は、熱と電圧と湿度で寿命を早回しする試験の組み合わせ”
動作寿命試験と前処理の温度
動作寿命前処理高温高湿バイアス260℃125℃30℃−40℃HTOLLTOLベーク吸湿60%RHリフロー130℃110℃85%RH・96/264時間
シーラス・ロジックは、動作寿命試験を通常125℃と−40℃でバイアスをかけて行い、パッケージ試験は吸湿とリフローの前処理を経てから130℃または110℃・85%RHでバイアスをかけて行います。

キオクシアの製品認定試験の項目は、電気的特性、初期不良率、長期寿命試験(ランダム故障率)、限界試験、環境試験です2。ルネサスは、動作寿命、耐湿性、耐熱ストレス、耐機械的ストレス、耐環境性などの信頼性試験を実施し、製品が市場ニーズに合致しているかを確かめて合否を判定しています3。

シーラス・ロジックは、高温動作寿命試験(HTOL)を通常125℃とデータシート上の最大バイアスで行い6、長時間の電気的・熱的ストレスへの耐性を評価するとしています。低温動作寿命試験(LTOL)は通常−40℃でバイアスをかけ、ホットキャリアによる劣化を調べます。パッケージの試験(HAST/THB、TC、UHAST)の前には、基板実装を模した前処理として、ベーク125℃、吸湿30℃・60%RH、リフロー260℃6を通し、自動試験装置で測ります。これは吸湿レベルを決める試験と同じ、乾かして湿らせてリフローを通す並びです。高温高湿のバイアス試験は、130℃または110℃、85%RH、96時間または264時間6の条件で行い、そのあと電気的な故障を調べます。

インフィニオン テクノロジーズは、信頼性を加速試験のストレス条件のもとで、アレニウス、アイリング、コフィン・マンソン、ペックといった一般的な加速モデルによる外挿で示すとしています7。

「故障0個」の重みは、試験個数で決まる

Section titled “「故障0個」の重みは、試験個数で決まる”

認定試験の結果は「何個試して、何個壊れたか」として書かれ、故障0個という結果は試験個数とセットで読み取ります。ロームは信頼性試験を数十個のサンプリングによる加速寿命試験とし8、期待される結果を故障の発生ゼロとしています。

個数の決め方には二つの流儀があります。パラメトリック手法は、想定する故障メカニズムごとに故障分布と加速率を考え、目標の累積故障確率を満たすように個数と時間を計算します。個数も時間も可変ですが、故障分布の形状パラメータや活性化エネルギーといった値があらかじめ分かっている必要があります。ノンパラメトリック手法は、AEC-Qに代表されるように試験個数・試験時間・試験条件があらかじめ決まっている方法です。個数は二項分布から求まり、計算は簡単ですが、加速条件や市場での稼働時間は計算に入りません。

後者の計算例では、許容故障が0個、信頼度90%、LTPD10%のとき、試験個数は22個です。許容故障が1個、信頼度90%、LTPD5%のときは77個になり、基準を厳しくするほど必要な個数が増えます。同じ「故障0個」でも、22個で得た0個と77個で得た0個では、言えることの強さが違います。

試験個数の規模
許容故障0個・信頼度90%・LTPD10%22個許容故障1個・信頼度90%・LTPD5%77個AEC-Q100の初期故障率試験2400個
正方形1つが1個です。許容故障0個・LTPD10%の22個と許容故障1個・LTPD5%の77個に対し、AEC-Q100の初期故障率試験は2400個で行います。

初期故障は数十個では確かめられず、量産後の試験が受け持つ

Section titled “初期故障は数十個では確かめられず、量産後の試験が受け持つ”

ロームは、信頼性試験の主目的を真性の劣化、つまり摩耗故障の検証としています。欠陥に起因して確率的に起きる初期故障の検証には数十個のサンプル数では不足するため、バーンインスタディやHVS(High Voltage Stress)スタディで検証します。AEC-Q100の信頼性試験基準に規定されている初期故障率試験は2400個で行いますが、ロームはこの規模でも初期故障率を正確に求めるのは難しいとしています。

そのため量産に入ってからも試験が続きます。キオクシアは、認定試験に合格したものへ出荷ロットごとの初期品質保証検査を行い、さらに出荷製品の信頼性レベルを確かめるため、定期的な信頼性モニタを行います2。プロセスやパッケージのファミリー単位で、寿命試験や環境試験を定期的に行うものです。

ソニーも、開発段階でつくり込まれた摩耗故障に関する信頼性レベルが量産以降も維持されているかを調べるため、量産品を抜き取って定期的に製品レベルの信頼性を検証します。抜き取りは、ウェーハプロセス、組立プロセス、製造場所などの組み合わせを考慮して各製品ファミリーから行います。

試験条件は、業界の規格と団体のガイドラインから選ぶ

Section titled “試験条件は、業界の規格と団体のガイドラインから選ぶ”

ロームは、北米や欧州で知られるJEDECと国内規格であるJEITAをベースに信頼性試験を実施しています。規格間の差はハーモナイズが進み、JEDECやJEITAから国際規格として提案されたIEC規格も増えています。一方でAEC(Automotive Electronics Council)やVDAといった車載基準は工業団体のガイドラインという位置づけだとしたうえで、これらへの準拠に取り組んでいます。

半導体デバイスが製品寿命を通して受ける温度・湿度・温度変化・通電状態と時間の関係をまとめたものを、ミッションプロファイルと呼びます。この考え方は、JEITAのEDR-4708「半導体集積回路 信頼性認定ガイドライン」やAEC-Q100/Q101/Q102でも示されています。認定という語は、規格の名前そのものに入っています。

認定試験は、規格が用意した条件表を選び、自社の製品と工程へ当てて、量産へ移してよいかを決める作業です。そのため公開される合否は、どの条件表で何個を試したかとセットで初めて意味を持ちます。ハイブリッド接合の信頼性について、2022年のレビュー論文は公開データの多くが認定試験の合否だとしています。

認定試験とは何ですか?

設計した製品と、それを作る工程を、量産へ移してよいかどうか合否判定する試験です。ソニーセミコンダクタソリューションズの品質保証体系図では、試作の先に認定試験の枠があり、合格と不合格の二本の線が伸びています。

出荷前の検査とどこが違いますか?

合否が付く相手が違います。キオクシアは製品認定試験に合格したものについて、出荷ロットごとに電気的特性や外観を調べる初期品質保証検査を行います。認定試験の合否は設計と工程に、出荷検査の合否は製品そのものに付きます。

何個くらい試すのですか?

ロームは、信頼性試験を数十個のサンプリングによる加速寿命試験としています。許容故障0個・信頼度90%・LTPD10%なら22個、許容故障1個・信頼度90%・LTPD5%なら77個です。

試験個数はどう決まるのですか?

二つのやり方があります。故障分布と加速率から個数と時間を計算するのがパラメトリック手法、AEC-Qのように試験個数・試験時間・試験条件があらかじめ決まっているのがノンパラメトリック手法です。

一度合格すれば、ずっと有効ですか?

変更のたびにやり直します。ルネサス エレクトロニクスは、製品品質認定の考え方の一つに、設計変更や作業変更に際しても認定を実施することを挙げています。

認定試験の外に残る故障はありますか?

初期故障です。欠陥に起因する初期故障の検証には数十個のサンプル数では不足するため、バーンインスタディやHVSスタディで検証します。

試験の条件は誰が定めるのですか?

業界の規格と団体のガイドラインです。ロームはJEDECと国内のJEITAをベースに信頼性試験を実施し、AECやVDAなどの車載基準を工業団体のガイドラインと位置づけています。

8件を表示
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8