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CMP歩留まりを下げる凹凸と欠陥の2経路|凹凸は抵抗上昇、傷や残渣は短絡に

CMP(化学機械研磨)とは、研磨材の入った薬液とパッドでウェーハの表面を磨いて平らにする工程を指す。その不良は、2つの経路で歩留まりを下げる。1つは表面の凹凸だ。配線の銅が凹むディッシングと、絶縁膜ごと削れるエロージョンは銅を薄くし、配線抵抗を上げる。もう1つは欠陥だ。研磨で生じた異物、傷、腐食、残渣は、配線の短絡や断線になる。Applied Materials(AMAT)とMITが1999年に報告した銅CMPのvan der Pauw構造の試験系列では、過研磨を10%足すと銅が1000Å減った1。下層配線の狙いの厚さは約5000Åで、同じ論文は、制御の悪いCMPでは損失がその50%に容易に達しうるとし、そうなれば素子の故障か大きな歩留まり損失を招く可能性が高いと書く。

傷や異物は欠陥検査で探す。一方、凹凸による損失は配線抵抗の測定で捉えられる。MITとSEMATECHは、配線抵抗の測定値から残った銅の厚さを逆算する方法2を作り、断面観察の厚さとよく一致することを示した。歩留まりの入口となる欠陥マップの読み方は歩留まりと欠陥マップの入門にまとめた。

ディッシングは幅の広い配線で、エロージョンは密な配線で大きくなる

Section titled “ディッシングは幅の広い配線で、エロージョンは密な配線で大きくなる”

銅配線は、絶縁膜に掘った溝へ銅を埋め、溝の外にあふれた銅をCMPで削って作る。MITの論文は、ディッシングを隣の絶縁膜に対する銅配線の凹みの深さ、エロージョンを研磨前と研磨後の絶縁膜の高さの差と定義する。AMATとMITによれば、どちらも研磨がバリア膜に届いた時点から進み始める。銅と絶縁膜で削れる速さが違うためだ。ディッシングは配線の幅が広いほど、エロージョンは配線が密に並ぶほど大きくなる。

CMPの不良が電気特性と歩留まりへ伝わる経路を3列で示した図。過研磨と幅の広い配線はディッシング、過研磨と密な配線はエロージョンを生み、配線抵抗を上げ、次の配線層の加工に影響する。パッド上の大きな異物は大きな傷になり複数ダイのパターンを消す。スラリーの凝集やパッドの凸は微小な傷になり短絡・断線を、洗浄不足は有機残渣になり短絡・断線と次の層のパターン乱れを招く。
CMPの不良は、凹凸なら配線抵抗の上昇と次の層の加工へ、傷や残渣なら短絡・断線とパターン消失へつながる。

削れた銅の厚さは、そのまま配線抵抗の上昇になる

Section titled “削れた銅の厚さは、そのまま配線抵抗の上昇になる”

配線の抵抗は、長さに比例し、幅と厚さに反比例する。MITとSEMATECHの試験では、凹凸がなければ金属の密度が高い構造ほど配線抵抗が下がるはずなのに、実際には密度が高い構造で銅が薄くなっていた。シート抵抗は、エロージョンが大きい高密度の構造ほど上がった。同じ研磨でも、金属密度の高い構造ほどシート抵抗の上がり方が大きい。

AMATとMITの試験では、最適な過研磨でも幅100 µmの溝で約500Åのディッシングが残った。van der Pauw構造の試験で過研磨を10%足すと銅が1000Å減ったので、配線抵抗をそろえるには過研磨の時間を数%以内に収める必要があると論文は結論づけている。5000Åは下層配線の狙いの厚さで、1000Åは別の試験構造で測った値だ。この2つを組み合わせた筆者の計算では、狙い5000Åの配線が1000Å薄くなると、幅が同じなら抵抗は約25%上がる。

凹凸は次の層にも残る。AMATとMITは、平らでない表面が次の銅配線層の加工に影響することを、銅の厚さの損失と並ぶもう1つの課題に挙げている。配線材料が銅から変わる世代の課題はBEOLメタライゼーションで扱っている。

異物・傷・腐食・残渣は、短絡と断線になる

Section titled “異物・傷・腐食・残渣は、短絡と断線になる”

漢陽大学のKwonらは2013年の総説で、文献を引いてCMPで生じる欠陥の種類と、素子への影響、主な原因3を表にまとめている。

欠陥主な原因素子への影響
異物スラリーやパッドの残り、研磨の副生成物短絡・断線、パターンのゆがみ
大きな傷パッド上の大きく硬い異物複数のダイにわたるパターンの消失
微小な傷スラリーの凝集、パッドの凸短絡・断線
腐食(金属CMP)スラリーや洗浄液の化学組成断線、信頼性の低下
有機残渣洗浄の不足、スラリー成分の残り短絡・断線、次の層のパターン乱れ

同じ総説は、傷がCMPで最も多く生じる欠陥の1つで、初期の故障にも長期の信頼性の故障にもつながると書く。傷はCMPの直後には検出できず、フッ酸でエッチングした後に見つかることが多いという。研磨の後には研磨材のカス、薬品のカス、削り屑が残るので4、専用の洗浄装置で取り除く。複数のダイにまたがる傷は欠陥マップで線状につながる形になり、オークリッジ国立研究所はそうした傷の原因に搬送ロボットによるウェーハの扱いの不具合5を挙げている。

発生源は、凹凸なら研磨時間と配線密度、欠陥なら消耗材と洗浄から探す

Section titled “発生源は、凹凸なら研磨時間と配線密度、欠陥なら消耗材と洗浄から探す”

ここまでの資料を、発生源を探す順に並べ直すと次のようになる。配線抵抗が高く、その上がり方が配線の幅や密度で変わるなら、ディッシングとエロージョンを疑い、過研磨の時間と配線の密度を見る。過研磨の時間をそろえる方法はCMPの終点検出と装置内計測で扱っている。短絡や断線が多く、傷や異物が見つかるなら、パッド、スラリー、コンディショナーと洗浄を見る。総説の表も、対策としてスラリーのフィルター、パッドのコンディショニング、洗浄液の見直しを挙げている。消耗材の役割はCMPのスラリー、パッド、コンディショナーにまとめた。

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