Moコンタクト、EM故障は上のCu配線imecの試験構造、viaは約50 Ω
imecが2023年に報告した2 nm世代の試験用構造では、選択ALDのMoで10 nmのコンタクトを埋め、24 nmピッチのviaで約50 Ωの抵抗1を測った。同じ試験で、絶縁膜の中にMoは検出されず、エレクトロマイグレーション(EM)で壊れたのはMoのviaの上のCu配線だった。この記事は、この1つの試験用構造の結果を例に、WからMoへの置き換えの効果を、抵抗の値に加えて、比べる基準、選択性、界面、寿命の4点で整理する。
しかし、装置メーカーが示す改善幅は、基準も指標も違う。Applied Materialsは自社の選択Wに比べた接触抵抗、Lam Researchは従来のWの配線に比べた抵抗を挙げる。選択成膜とは、絶縁膜には付けず、穴の底の金属の面からだけ膜を育てる成膜だ。Moの配線とコンタクトで測る値の全体像は、BEOL新金属の計測・検査で扱った。
装置メーカーの改善幅は、基準のWも測る指標も違う
Section titled “装置メーカーの改善幅は、基準のWも測る指標も違う”Applied Materialsは2026年2月、Spectral Molybdenum ALDが自社の選択W装置に比べて重要な接触抵抗を最大15%下げる2と発表した。同社のブログでは、この約15%は先端の試験構造での選択Wとの比較だ3。Lam Researchは2025年2月、ALTUS HaloのMoが多くの場合、従来のWの配線に比べて抵抗を50%超改善する4と発表した。基準の選択Wの意味はWからMoへの下げ幅で、両社の用途の違いはMo ALD装置のApplied MaterialsとLam Researchで扱った。
imecは10 nmの穴を選択ALDのMoで埋め、24 nmピッチのviaで約50 Ωを測った
Section titled “imecは10 nmの穴を選択ALDのMoで埋め、24 nmピッチのviaで約50 Ωを測った”imecのvan der Veenらは2023年のIITCで、2 nm世代の試験用構造の10 nmコンタクトを、選択ALDのMoで埋めた結果を報告した。MoはSiO2、low-k(OSG 3.0)、SiCNの絶縁膜には付かず、下のRuの配線の上に選択的に付いた1。バリアを使わずに10〜20 nmの高さまで埋め、積層の絶縁膜の中にMoは検出されなかった。24 nmピッチでアスペクト比2のviaでは、Moの抵抗が約50 Ωだった。
選択性は、抵抗の値とは別に確かめる項目だ。imecは、積層の絶縁膜にMoが残っていないことを、抵抗の値と同じ報告で示した。選択成膜の仕組みは別の記事で扱った。
imecは、大気に触れてできた界面の酸化膜を除けば抵抗がさらに下がると見込む
Section titled “imecは、大気に触れてできた界面の酸化膜を除けば抵抗がさらに下がると見込む”同じ報告で、imecは成膜の途中で大気に触れたため、Moの上部の界面に酸化膜が入ったとした。imecは、この酸化膜を除けば抵抗がさらに下がる1と見込んでいる。imecのこの見込みから読むと、約50 Ωには酸化膜の分が含まれていると考えられる。酸化膜の除去と金属の成膜を大気に触れさせずにつなぐ装置は、コンタクト抵抗と真空一貫処理で扱った。
寿命の試験で壊れたのは、Moのviaではなく上のCu配線だった
Section titled “寿命の試験で壊れたのは、Moのviaではなく上のCu配線だった”imecは、MoのviaとCuの配線を組み合わせた系で寿命も試した。応力によるボイドは見られず、EMの試験では故障がつながる上のCuの溝でだけ起き、Moのviaは壊れずに残った1。この試験用構造では、寿命を決めたのはMoではなく、上のCu配線だった。
Moの埋め込みの過不足とCMP後の段差については、Applied Materialsが電子ビーム計測で測った例をMoコンタクトの計測と条件出しで扱った。Ru配線の値がどのピッチまで示されたかは、Ru配線の実証値をピッチごとに並べた記事にある。
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- 2Applied Materials:Spectral Molybdenum ALDなどトランジスタと配線の新装置(2026年2月)ir.appliedmaterials.com ↩
- 3Applied Materials:選択Moは先端の試験構造で選択W比 約15%(ブログ、2026年2月)appliedmaterials.com ↩
- 4Lam Research:Mo ALD装置ALTUS Halo(2025年2月)newsroom.lamresearch.com ↩