再生ウェーハ、RSと昇陽が世界一を名乗るシェアはいずれも各社の自社推計
再生ウェーハの事業では、日本のRSテクノロジーズと台湾の昇陽半導体(Phoenix Silicon International)が、どちらも世界一を名乗っている。RSは2026年12月期第2四半期の決算説明資料で1、12インチ再生市場における自社のシェアを約31%とし、SEMIのデータにもとづく自社推計と注記している。昇陽は2025年第4四半期の決算説明資料で2、自社データにもとづく世界シェアを2024年33%、2025年38%と示し、2025年第2四半期の決算説明資料3では世界一の再生ウェーハ生産能力も掲げる。2社の数字は、RSが12インチ、昇陽が世界全体と対象の書き方が違い、推計した会社も時点も違う。
再生ウェーハとは、半導体工場が工程の監視や装置の立ち上げに使ったテスト・モニター・ダミーウェーハから膜を除き、研磨と洗浄で再び使える面に戻した基板を指す。売上の規模は、RSの2025年12月期のウェーハ再生事業が外部顧客への売上高275億2,800万円、営業利益101億6,700万円4、昇陽の2025年の全社売上高が45億900万台湾ドル(1億4,400万米ドル)だった2。テストウェーハの種類と使い方は、テストウェーハとモニターウェーハの入門で扱っている。
RSテクノロジーズは、連結営業利益の約7割を再生で稼ぐ
Section titled “RSテクノロジーズは、連結営業利益の約7割を再生で稼ぐ”RSの有価証券報告書によれば4、同社の再生事業は、半導体製造会社から使用済みのウェーハを預かって加工し、使える状態に戻して返す事業だ。仕入れたモニターウェーハとダミーウェーハを再生して売る事業と、酸化膜の成膜加工も同じセグメントに入る。再生の拠点は日本、台湾(連結子会社)、中国(持分法適用関連会社)の3か所で、大手ファウンドリを含む国内外の半導体製造会社が取引先だ。同社は、1枚のモニターウェーハを10回から20回程度再生できると説明している。
2025年12月期のウェーハ再生事業は、外部顧客への売上高が前期比15.7%増の275億2,800万円、営業利益が12.2%増の101億6,700万円だった。ここから計算すると、営業利益率は約37%になる。同じ期のプライムシリコンウェーハ製造販売事業は売上高187億7,800万円、営業利益41億5,900万円、半導体関連装置・部材等は売上高302億4,400万円、営業利益16億2,400万円だった。有価証券報告書の数字から計算すると、再生事業の売上高は連結売上高767億700万円の約36%、営業利益は連結営業利益142億8,100万円の約71%、セグメント利益の合計159億4,500万円の約64%にあたる。
2026年に入っても伸びは続いている。2026年12月期の上期は、再生事業の売上高が前年同期比6.8%増の142億8,400万円、営業利益が6.9%増の50億6,900万円で、営業利益率は35.5%だった。同じ決算説明資料は、12インチ再生ウェーハの生産能力を月69万枚から119万枚へ増やす計画を示す。2028年の内訳は日本57万枚、台湾52万枚、中国10万枚で、中国の拠点は持分法適用関連会社なので、その売上は連結の再生事業の売上高に入らない。
昇陽半導体は、2025年に12インチ換算で948万枚を出荷した
Section titled “昇陽半導体は、2025年に12インチ換算で948万枚を出荷した”昇陽の2025年第4四半期の決算説明資料によれば、2025年の出荷量は12インチ換算で948万6千枚、売上高は前年の35億5,100万台湾ドルから45億900万台湾ドルへ増えた。計算すると、売上高は約27%増え、出荷量は月平均で約79万枚になる。2025年の売上総利益率は34.0%、営業利益率は21.5%だった。昇陽の売上高にはウェーハの薄化加工も含まれるので、RSの再生セグメントだけの利益率とは比べる範囲が違う。
昇陽は2025年第2四半期の資料で、事業の70〜75%が先端プロセスのノード向けで、5 nm未満で使う再生ウェーハに対応すると述べ、翌年に月100万枚近い生産能力をめざすとした。台湾の英字紙Taipei Timesは5、昇陽が2025年にRSを抜いて世界最大の再生ウェーハ供給者になったと報じ、台中の新工場FAB3Bが2028年に12インチで月60万枚の能力で量産に入る計画も伝えている。
三益半導体工業は、信越半導体からプライムウェーハの加工を受け、再生も手がける
Section titled “三益半導体工業は、信越半導体からプライムウェーハの加工を受け、再生も手がける”三益半導体工業は6、デバイスメーカーからテスト・モニターウェーハを回収し、新品のテストウェーハと同等の品質に戻す再生事業を紹介している。2024年5月期の決算短信では7、プライムウェーハと再生ウェーハの加工・販売を合わせた半導体事業部の売上高が470億7,900万円だった。同期の有価証券報告書によれば8、半導体事業部のプライムウェーハ加工は信越半導体から受注している。同じ報告書は、信越化学工業が三益半導体の完全子会社化をめざして実施した公開買付けが2024年8月に成立したと記載している。
市場規模は推計する主体で開きがある
Section titled “市場規模は推計する主体で開きがある”再生ウェーハの市場規模は、調査会社と再生会社でそれぞれ推計されている。調査会社のMordor Intelligenceは9、2025年の半導体ウェーハ再生市場を7.3億ドルと推計し、2026年の7.7億ドルから2031年の10.5億ドルへ、年6.4%で伸びると見込む。同社の推計では、2025年の売上の44.98%がテスト・モニターウェーハ向けだった。別の調査会社のResearch Nesterは10、2026年のシリコンウェーハ再生市場を10.2億ドルとしており、同じ2026年のMordor Intelligenceの7.7億ドルと比べて計算すると、約3割大きい。
再生の工程と、1枚を何回まで使えるかを決める条件は、使用済みモニターウェーハの再生回数で扱う。
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- 1RSテクノロジーズ:2026年12月期第2四半期の決算説明資料(2026年8月)contents.xj-storage.jp ↩
- 2昇陽半導体:2025年第4四半期の決算説明資料(2026年3月)psi.com.tw ab
- 3昇陽半導体:2025年第2四半期の決算説明資料psi.com.tw ↩
- 4RSテクノロジーズ:有価証券報告書 第16期、セグメント別の売上高と営業利益(2026年3月)contents.xj-storage.jp ab
- 5Taipei Times:昇陽半導体の新工場とRSとの順位(2025年10月)taipeitimes.com ↩
- 6三益半導体工業:再生ウェーハ事業の紹介mimasu.co.jp ↩
- 7三益半導体工業:2024年5月期の決算短信mimasu.co.jp ↩
- 8三益半導体工業:2024年5月期の有価証券報告書mimasu.co.jp ↩
- 9Mordor Intelligence:半導体ウェーハ再生市場の推計mordorintelligence.com ↩
- 10Research Nester:シリコンウェーハ再生市場の推計researchnester.com ↩