コンテンツにスキップ

ウェーハ再生回数は研磨方法次第|再生の上限、RSは20回程度と記載

再生ウェーハとは、使い終わったテスト・モニター・ダミーウェーハから膜を除き、研磨と洗浄で再び使える面に戻した基板を指す。使用済みのモニターウェーハは、1枚あたり10回から20回程度再生できる。再生会社のRSテクノロジーズが有価証券報告書1にそう書いている。Intelの米国特許US6761625は2、従来の研削・ラッピング・研磨では1回に厚さが約10〜20 µmかそれ以上減り、新品のテストウェーハは1回か数回しか再利用できないと書き、回数が削り方で変わることを示している。2005年に出願されたApplied Materialsの米国特許US7657390は3、ウェーハ内部へ拡散した銅が表面の分析では検出されず、保管や輸送の間に表面へ戻ってくると指摘している。

SEMI M38は4、再生ウェーハをメカニカル用、炉用、パーティクル用、リソグラフィ用の4分類に分け、分類ごとに要求値の表を定めている。同じ規格は、熱履歴の分からない材料や内部の汚染に注意するよう求めており、表面の値だけでは分からない履歴を、規格も特許も問題にしている。テスト・モニター・ダミーの呼び名と表面の状態の基本は、テストウェーハとモニターウェーハの入門で扱っている。再生会社の売上とシェアは再生ウェーハの事業で比べている。

再生は、膜を剥がして削り、新品に近い面へ戻す工程だ

Section titled “再生は、膜を剥がして削り、新品に近い面へ戻す工程だ”

RSテクノロジーズの有価証券報告書によれば、再生は「ストリッピング・エッチング(表面膜の除去)」「プレソート検査(中間検査)」「ポリッシング(研磨)」「1次洗浄」「2次洗浄」「最終検査」の順に進む。同社はこの事業を、ほぼ新品と同等の品質に戻す、いわばシリコンウェーハのクリーニング事業と説明している。三益半導体工業も5、回収したテスト・モニターウェーハを新品のテストウェーハと同等の品質に戻すとし、再生ウェーハを作るときのCO2排出量は新品のテストウェーハを作るときの約8分の1だとしている。

上段に再生工程の6段階として、膜の除去、中間検査、研磨、1次洗浄、2次洗浄、最終検査を並べる。最終検査の後に、本稿でつないだSEMI M38のメカニカル用、炉用、パーティクル用、リソグラフィ用の4分類の枠があり、使ったウェーハは破線で最初の工程へ戻る。
RSテクノロジーズが説明する再生の6工程と、SEMI M38の4つの用途分類を本稿でつないだ図。工場で使ったウェーハは、また回収される。

膜の剥離と研磨の深さは、膜の種類で変わる。北米の再生会社Pure Waferは6、除去できる膜としてCu、Ti、TiN、Ta、Cr、Zr、酸化膜などを挙げ、300 mmまでの再生ウェーハで表面金属1E10 atoms/cm²未満、厚さばらつき(TTV)1 µm未満を示している。研磨と洗浄の仕組みはCMPと洗浄の記事で扱う。

再生できる回数は、研磨の方法で変わる

Section titled “再生できる回数は、研磨の方法で変わる”

Intelの特許US6761625は、従来の再生では研削、ラッピング、研磨で厚さが約10〜20 µmかそれ以上減るため、新品のテストウェーハは1回か、多くても数回しか再利用できないと書く。Applied Materialsの特許US7657390は、銅などで汚れた表面層をCMPで除く工程で、約2〜20 µm、典型的には約10 µmを除くとしている。

300 mmウェーハの厚さは、Silicon Valley Microelectronicsの製品仕様7で775±25 µmだ。仮に再生1回で10 µmずつ削るとして計算すると、RSテクノロジーズが上限とする20回の再生で200 µmが減り、575 µm前後が残る。どこまで薄くなったら装置の搬送やチャックで使えなくなるかは、用途ごとの受け入れ条件で決まる。

RSテクノロジーズは事業紹介で8、エッチング量を最小にする技術が再生の回数を増やすとしている。Intelの特許は、新品のテストウェーハ表面のパーティクルを除く用途に限って、低い押し付け力で500 Å未満だけを研磨する方法を提案し、この方法なら新品のテストウェーハを数百回以上再利用できると主張している。膜を剥がす使用済みモニターの再生とは対象が違うが、計算すると500 Å(0.05 µm)は10 µmの200分の1にあたる。

銅はウェーハ内部へ潜り、表面の分析では見えない

Section titled “銅はウェーハ内部へ潜り、表面の分析では見えない”

回数とは別に、ウェーハが通った工程の履歴も問題になる。Applied Materialsの特許US7657390は、銅がシリコン中を低温でも速く拡散し、室温でも数か月の保管で内部の銅が表面へ出てきてデバイスを汚すと書く。同じ特許によれば、表面の汚染を調べるICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析)は、表面から内部へ拡散した銅を検出しない。保管期間が長いと、あるいは輸送や倉庫で温度が上がると、内部の銅が表面へ戻る。

この特許の対策は、基板を約160 °C以上(典型的には約240〜440 °C)で約50秒以上(典型的には約60〜220秒)加熱して内部の銅を表面へ出し、急冷して表面に留めてから研磨で除く方法だ。RSテクノロジーズも事業紹介で、銅の除去技術を自社の強みに挙げている。特許の記述どおりなら、表面の検査値が良い1枚でも、内部の銅の有無は表面の分析だけでは分からない。

SEMI M38は、再生ウェーハを4つの用途分類に分ける

Section titled “SEMI M38は、再生ウェーハを4つの用途分類に分ける”

M38は、研磨した再生シリコンウェーハを、メカニカル用、炉用、パーティクル用、リソグラフィ用の4分類に分け、分類ごとの要求値を表にしている。項目ごとに、値を定めるもの、「買い手が指定する(customer specified)」もの、「届いた値のまま(as-supplied)」のもの、「指定しない(unspecified)」ものを使い分ける。顧客が支給した再生ウェーハも、第三者から調達した再生ウェーハも対象だ。

M38の規格紹介は、熱履歴の分からない材料、内部の汚染、金の膜のような付着物には注意するよう求めている。

M38の対象は、180 nmと130 nm世代を含む先端デバイスの生産に使う再生ウェーハで、2012年3月版が2023年10月に再承認されている。より高い性能が要る用途には、新品ウェーハのSEMI M19、M8、M24を参照するよう案内している。

9件を表示
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9