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半導体のPFAS除去、imecはCARを優先|CARのPFASは主に光酸発生剤に

PFAS規制への対応で、imecが最初に取り組んでいるのは、EUVのレジストを金属酸化物レジスト(MOR)に替えることではなく、化学増幅レジスト(CAR)からPFASを抜くことだ。MORの現在の配合はPFASを含まず、Lam Researchのドライレジストも工程でPFASを使わない。それでもimecは、CARがより広いピッチの配線を含む多くの層で標準の材料であることから、PFASフリーのCARを優先する1。imecは、環境と規制上の懸念を理由にPFASの除去に取り組んでいる。

PFASとは、炭素とフッ素が強く結びついた有機フッ素化合物の総称を指す。分解されにくく、環境に長く残る。難しいのは、CARではPFASが光で酸を出す光酸発生剤に入っていて、性能を支えていることだ。imecが試したPFASフリーのCARは、ピッチ32 nmの線と隙間で、一部はPFASを含む参照材料と同等以上の結果を出した。しかしimecは、さらに細かい解像度への課題を挙げている。

CARのPFASは、主に光酸発生剤に入っている

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CARは、露光で光酸発生剤(PAG)が酸を出し、その酸が加熱中にレジストの溶けやすさを変える。imecによれば、CARのPFASは主にこのPAGに入っている1。PAGのフッ素を含む基は、酸の拡散を抑え、膜を均一にし、表面のエネルギーを下げる。ポリマーのトリフルオロメチル基や、酸の拡散を調整する光分解性クエンチャーにもPFASが入ることがある。配合はメーカーごとに異なり、多くは開示されない。

半導体業界団体SIAのSemiconductor PFAS Consortiumは2023年、多くのCARでPFBS(ペルフルオロブタンスルホン酸)のアニオンがPAGの主力になっている2と整理した。業界はまず炭素8個のPFOSから炭素4個のPFBSへ短くしてきた。PFASを全く含まないPAGへ移る見通しは、それよりはるかに不確かだとコンソーシアムは書く。

EUVレジストの4方式とPFASの関係。CARではPFASは主に光酸発生剤に入り、PFASフリー版はimecで評価中。MORは現在の配合がPFASフリー。ドライレジストは工程でPFASを使わないとLamが説明する。MTRはPFASフリーを開発目標に置く。
EUVレジストの4方式のうち、PFASを抜く作業が要るのはCARだ。MORとドライレジストは元からPFASを使わず、MTRはPFASフリーを開発目標に置く。

PFASフリーのCARは、ピッチ32 nmで参照材料に並んだ

Section titled “PFASフリーのCARは、ピッチ32 nmで参照材料に並んだ”

imecは2023年夏、主要メーカーの要望を受けて、EUV用CARのPFASフリー化に取り組み始めた。最初は炭素の鎖を短くする方針だったが、初期の結果がよかったため、PFASを全く含まない材料へ目標を上げた。結果は2025年のSPIE Advanced Lithography + Patterningで発表されている。

試験に使ったのは、ピッチ32 nmの密な線と隙間と、ピッチ36 nmの六方配置のコンタクトホールだ1。線と隙間では、工程のばらつきに対して不良が出ない幅(failure-free latitude)が、一部のPFASフリー材料でPFASを含む参照材料と同等か上回った。コンタクトホールでも、形の丸さと寸法の均一性は良好だった。

一方で、imecは課題も挙げる。PFASを抜くと配合の選択肢が減り、さらに細かい解像度へ最適化しにくくなる。露光量の余裕と欠陥の抑え込みでも、トレードオフが見えた。imecがHigh-NAでCARを使って示した配線はピッチ22 nmで、この試験のピッチ32 nmより細い。High-NAでCARが届いているピッチはHigh-NA EUVのレジスト比較で並べている。

imecは同じ記事で、メーカーが配合を明かさずにPFASの含有量を比べられる評価方式を2024年4月に導入したと述べる。半導体メーカーは、この方式で材料メーカーに含有量の情報を求められる。PFASの含有量を、性能と並べて材料ごとに比べられるようになった。

MOR、ドライレジスト、MTRは、PFASを使わないことを売りにできる

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MORについて、imecは現在の配合はPFASフリー1だと書く。スズの酸化物を使うMORは解像度とエッチング耐性に優れ、最も細いピッチに向く。ただしimecによれば、MORは主にEUVと極端な解像度の用途向けに設計されており、配線の後工程の広いピッチを含む大半の層ではCARが標準のままだ。

Lam Researchは、ドライレジストの工程では酸、塩基、溶剤、PFASのどれも使わない3と説明する。前駆体の供給や採用の状況はドライレジストの供給網で扱っている。

東京応化工業と英Irresistible Materialsは2026年2月、MTR(マルチトリガーレジスト)の共同開発で、PFASとPFOSを含まず、金属も含まない配合を中心目標に置く4と発表した。MORはPFASを含まない代わりにスズなどの金属を含む。MTRは、PFASと金属の両方を含まないことを目標に掲げた。

2023年の業界団体の資料は、PFASを含まないPAG全般の量産まで15〜20年超と見積もった

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置き換えに時間がかかるという見方は、業界団体の資料に数字で出ている。Semiconductor PFAS Consortiumは2023年の資料で、EUV用に限らずKrFやArFを含むPAG全般について、PFASを含まないPAGの研究から、それを使うレジストが量産に行き渡るまで約15年から20年超かかる2と見積もった。内訳は、初期の発明に3〜4年、レジストの配合に3〜8年、顧客の工程開発と統合に約10年だ。CARそのものも、最初の論文から量産まで20年かかった。

同じ資料は、業界全体で100種類を超える配合を作り直す必要があり、その作業に5年から10年超、材料メーカーの顧客1社あたり2,500万〜6,000万ドルの費用がかかると試算する。半導体メーカー側の認定には、1社あたり6年から12年超と約1,200万ドルを見込む。2023年の資料の時点では、KrFやArFを含め、既存のPFAS系PAGの性能に並ぶ代替分子は見つかっていなかった。imecのPFASフリーのCARの結果は、その後の2025年に出ている。

DUVでも動きは出ている。富士フイルムは2025年7月にPFASを使わないネガ型のArF液浸レジストを開発した5と発表し、2026年2月にはポジ型のPFASフリーArF液浸レジストの開発の進捗をSPIEで報告すると発表した6。

EUの規制は、2026年末にECHAの委員会の最終意見がそろう

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EUでは、オランダ、ドイツ、デンマーク、ノルウェー、スウェーデンの当局が、すべてのPFASとすべての用途を対象にした制限案を2023年1月13日に欧州化学品庁(ECHA)へ提出した7。ECHAの2026年3月26日の発表によれば、リスク評価委員会(RAC)は2026年3月2日に最終意見を採択し、社会経済分析委員会(SEAC)は3月10日に意見案をまとめた。

両委員会は、用途を絞った適用除外を付けたうえでEU全体の制限を支持する。SEACは、代替品がないことを示す証拠と費用便益の評価で正当化できる用途に、適用除外が必要だとする。SEACの意見案への意見募集は2026年5月25日に締め切られ、最終意見は2026年末までに採択される見込みだ。その後、欧州委員会が制限案を作り、加盟国で構成するREACH委員会で採決する。

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