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VOL.04 先端パッケージングの寸法 第 22 回 / 全 42 回

接合界面の診断:チェーンの導通が保証するのは金属側だけ

ハイブリッドボンディングでは絶縁膜と金属が同じ面で同時に接合するので、デイジーチェーンがつながっても、分かるのは金属側が付いたことだけです。パッド径、周りの模様、ウェーハの厚み、重ね合わせの残差の 4 つを、症状ごとにどの測定で確かめるかを整理します。

24 分 応用 式 1 出典 9

この回の目次(9 節)
  1. §1 1 つの界面で、2 つの接合が同時に起きている
  2. §2 パッドを小さくすると、界面にある粒の数が減る
  3. §3 析出させた組織と、アニール後に界面にある組織は別もの
  4. §4 隣に何があるかで、削れ方が動く
  5. §5 相互作用は、短距離と長距離に割れる
  6. §6 2 つを切り分けるには、模様のほうを設計する
  7. §7 接合の波の速さを左右しているのは、面積より厚み
  8. §8 重ね合わせの残差は、装置と材料に割れる
  9. §9 現場で動く判断

この回で示すこと

  1. 1 つの界面で 2 つの接合が同時に起き、導通は金属側だけの証拠になる。
  2. パッドを小さくすると界面にある粒の数が減り、隣の模様で削れ方が動く。
  3. 接合の波の速さを決めているのは面積より厚みで、重ね合わせの残差は装置と材料に分けられる。

デイジーチェーンが導通しました。この事実が保証しているのは、界面のどこまででしょうか。

答えは「金属の経路だけ」です。ハイブリッドボンディングの界面には 2 種類の材料が同居していて、2 つは別々の機構で接合します。片方が付いても、もう片方の状態は未知のままです。

1 つの界面で、2 つの接合が同時に起きている

2020 年のハイブリッドウェーハ接合の招待講演1が、この技術の中身をそのまま書いています。

「ハイブリッドボンディングは、接合界面において絶縁体領域と金属領域の同時接合を可能にする。」

「同時」という語が鍵です。同じ 1 つの界面の上で、2 つの材料が、2 つの機構で付きます。

領域接合の機構付いたことを示す量
絶縁膜表面の官能基が縮合し、共有結合へ移る接合エネルギー、超音波像、断面での隙間の有無
金属銅の原子が接触面を越えて拡散するチェーン抵抗、ケルビン抵抗

2 つの列は、互いに独立です。

同じ講演は、この技術を支えているものとして CMP・一時接合・先端計測の進歩を並べています。計測が並んでいるのには理由があります。1 つの界面に 2 つの状態があるなら、状態を示す量も 2 つ要ります。

「接合した」と言うとき、どの列の話かを添える

現場の会話で最も混ざりやすいのがここです。

  • 「通った」— 金属の列。チェーンやケルビン構造の抵抗が仕様内に入った
  • 「付いた」— 絶縁膜の列。接合エネルギーが出た、超音波像が全面で埋まった、断面の隙間がゼロだった

金属だけが通っている状態は、実際に起こります。アニール中に銅は膨張します。パッドが凹んでいても、膨張した銅どうしが先に触れて経路を作ることがある。このとき抵抗は仕様内に入り、絶縁膜の側は未接合のままです。

逆もあります。絶縁膜が全面で付いていても、銅の界面に酸化膜や粒子があれば抵抗は仕様の外へ出ます。

だから合否を 1 つの数字で書く設計は、この界面に対しては粗すぎます。金属側と絶縁膜側の 2 つを、それぞれの量で別々に書きます。

パッドを小さくすると、界面にある粒の数が減る

2026 年の配線微細化とハイブリッド接合界面の研究2が、縮小したときに何が起きるかを分解しています。上下のチップにケルビン構造を作り、電気抵抗を測った実験です。

動かした量範囲起きたこと
パッド径4 µm → 0.8 µm接合界面にある粒の数が減り、接合の質が粒の方位へ強く依存するようになった(EBSD で確かめられている)
ピッチ10 µm → 2 µmチップどうしのパッド合わせが難しくなった

結果はこうまとめられています。方位依存の強まりと合わせの難しさの両方が、接合したチップ間の抵抗値のばらつきを広げた。ただしこの寸法でも理論抵抗値そのものは再現できている。

中央値は合っていて、幅だけが広がった。この形は、数が減って平均が頼りにくくなったときの典型です。

析出させた組織と、アニール後に界面にある組織は別もの

方位を揃える側の手を考える前に、組織が接合中に作り替わることを確かめておきます。

同じ 2026 年の研究が、この点を明示しています。接合前にはパッド径ごとに違っていた微細組織が、接合後にはほぼ解消していた。組織は接合中に {220} 面が面外を向く方向へ進み、細かい組織は応力下で成長して、ひずみエネルギーを小さくする方位へ向き直る。

2026 年の銅微細組織の報告3が並べている 3 つの選択肢も、この見方で読み直せます。

組織接合前に仕込むもの接合中に起きること
粗大粒銅(cg-Cu)安定300 °C 超が要る
ナノツイン銅(nt-Cu)高い原子拡散性低温で接合が進む
準安定微細粒銅(fg-Cu)細かい粒アニール中に再結晶し、拡散が進む

fg-Cu が向かう先は、細かい組織を界面へ届けることそのものより、アニール中の再結晶を使うことにあります。細かい組織は不安定で、だからこそ動く。動くことが機能です。

接合前の組織と歩留まりを相関させるときの注意

接合前のウェーハで粒径を測り、接合後の歩留まりと照らす——という解析は自然に映ります。ところが上の 2 つの報告を合わせると、この相関は 2 つの母集団を混ぜています。

  1. 接合前の組織 — 析出条件で決まる
  2. 接合後に界面にある組織 — 接合中の再結晶と方位の向き直りを経たあと

パッド径ごとの組織差が接合後にほぼ消えるなら、接合前の粒径そのものは歩留まりの直接の要因から離れます。それでも接合前の組織が乗るのは、その後の再結晶の進み方を通じてです。

接合前後の両方で EBSD を取り、接合後の方位分布のほうを歩留まりへ照らします。接合前の値だけを使うと、再結晶という 1 段を飛ばした相関になります。

隣に何があるかで、削れ方が動く

界面の凹凸を作っているのは CMP です。同じ設計のパッドが、周りに何があるかで別の深さに削れます。この機構は、2001 年の接触力学にもとづくディッシング・エロージョンのモデル4が書いています。

モデルの骨子は 1 文です。「ディッシングとエロージョンは、ウェーハ上のフィーチャと研磨パッドのあいだの局所的な圧力分布によって支配される。」

圧力分布の計算には、Greenwood の仕事にもとづく接触力学を使い、パッドのコンプライアンス(たわみやすさ)と粗さを取り込みます。

ここが「隣の模様が乗る」ことの正体です。

  • パッドはたわみます
  • たわむ長さの範囲では、パッドは複数のフィーチャに橋を架けた状態で載ります
  • だから 1 つのフィーチャが受け持つ荷重は、そのフィーチャの周囲にあるものの配置で決まります

孤立した領域にあるパッドと、配列の内側にあるパッドは、同じ設計でも受ける圧力が別で、削れる深さも別になります。

モデルで振れる変数として並んでいるのは、パターン密度・線幅・押し付け力・選択比・パッドの物性。このうち前の 2 つはレイアウトの側、後ろの 3 つはプロセスの側にあります。

相互作用は、短距離と長距離に割れる

パッドのたわみが橋を架ける長さ——相互作用の届く距離——は、対策をどこへ打つかを決めます。2001 年の銅デュアルダマシンにおける相互作用の報告5は、題名そのもので 2 つを分けています。短距離の相互作用と、長距離の相互作用。

同じ報告は、当時の状況も率直に書いています。技術の公式発表から 4 年以上、3 年を超える研究開発を経てなお、最終工程の歩留まりは低いままで、量産に向けたプロセス統合の作業が多く残っている。

相互作用が 2 つの距離に割れることは、打ち手も 2 つに割れることを意味します。

距離何が原因か打ち先
短距離パッドが数本のフィーチャに橋を架ける範囲レイアウト。線幅の分割、局所ダミー、密度窓の設計規則
長距離パッドの大きさやウェーハの反りが及ぶ範囲プロセス。パッドの物性、押し付け力、コンディショニング

症状から距離を見分ける手順はこうです。凹み量をウェーハ上の位置に対して並べ直します。数 mm 以内で細かく上下していれば短距離、数十 mm の緩い傾きがあれば長距離です。

ただしこの報告は 2001 年のデュアルダマシンについてのものです。相互作用が 2 つの距離に割れるという構造は今も使えますが、具体的な距離や歩留まりの数値のほうは、自分の工程で取り直します。構造だけを借ります。

2 つを切り分けるには、模様のほうを設計する

では、ディッシングとエロージョンをどう切り分けるか。2005 年の Cu-CMP の実測研究6の手順が、そのまま答えになっています。

この研究は、線幅と密度の組み合わせを意図的に並べた専用パターンを設計しました。そのうえで 100 mm ウェーハを標準のエッチングでパターニングし、銅をめっきし、荷重と速度を振れる実験用研磨機で研磨しています。パッドとスラリーは市販品、スラリー供給量はポンプで固定、コンディショニングなどの条件は標準的な工業実践に合わせてあります。

ディッシングとエロージョンをパターン形状と研磨条件の関数として測り、他のモデルと突き合わせました。

手順の核心は最初の 1 文にあります。2 つを切り分けるのに使ったのは、解析の工夫より線幅と密度を独立に振れる模様を先に作ることでした。

すでに流れている製品ウェーハでは、線幅と密度が相関しています。太い配線が並ぶ領域は密度も高い、というように。相関している 2 つの変数から、それぞれの寄与を後から分離するのは難しい。専用のテスト模様が要るのは、そのためです。

現場への移し方は 2 段です。

  1. レチクルの空き領域へ、線幅 × 密度の格子を入れる。線幅 4 水準 × 密度 4 水準で 16 個あれば、両方の傾きが独立に取れます
  2. 凹み量をその 16 個で測る。線幅の軸に沿った変化がディッシング、密度の軸に沿った変化がエロージョンです

接合の波の速さを左右しているのは、面積より厚み

界面が平らになったとして、接触は 1 点から始まって波のように広がります。大きいダイで周辺部が未接合のとき、「面積が大きすぎる」と受け取りたくなります。ところが測定されている依存は、別の寸法に乗っています。

1996 年のシリコンウェーハ接合における接触波速度の研究7が、2 つの寸法を分けて調べています。

動かした寸法範囲波の速さへの働き方
厚み270 µm 〜 5000 µm厚いほど遅い
直径—弱い依存にとどまる

厚みは 18 倍以上の範囲で振られていて、そこで明確な依存が出ています。直径のほうは弱い。

機構はエネルギー保存でとされています。波の速さは、2 枚のあいだの隙間に閉じ込められた気体が運動エネルギーとして受け取れる量で決まります。ウェーハを厚くすると、材料に蓄えられる弾性エネルギーが増え、そのぶん気体へ回る量が減って、波が遅くなります。

大きいダイの周辺が未接合のとき、先に確かめる寸法

上の結果は、切り分けの順番を決めます。

面積そのものより先に、厚みの構成を確かめます。

  • 薄化したダイは、この依存の速い側にいます。3D 集積で使うダイは多くがここです
  • 厚いキャリアに貼った状態で接合するなら、キャリアの厚みが弾性エネルギーの側へ乗ります。波は遅くなります

直径への依存が弱いという結果は、原因の候補から面積を後ろへ回します。大きいダイの周辺が未接合なら、波の速さより、平坦度・粒子・反りのほうを先に当たります。

なお上の実験は HF:H₂O に浸して疎水性にした表面で行われています。ハイブリッドボンディングの表面はプラズマ活性化を経た親水性の表面で、終端が別です。厚み依存という構造は借りられます。速度の絶対値のほうは、自分の系で取り直します。

重ね合わせの残差は、装置と材料に割れる

最後が合わせです。2024 年のウェーハ間重ね合わせの研究8が、残差をどこへ帰すかの手順を与えています。

目標は 300 mm 基板での再現性のある 200 nm 未満の重ね合わせ。測定は接合後に行い、およそ 80 点の座標とずれ量を取ります。

そのデータを、4 つのパラメータで当てはめます。

パラメータ内容
X 方向の平行移動
Y 方向の平行移動
回転
倍率

当てはめきれずに残った分が「残差重ね合わせ」で、これが非線形成分です。

報告は、それぞれの帰属先を書いています。

  • ・・ — ほぼ全面的に接合装置の特性に帰せられる。光学系と位置合わせ系
  • と非線形成分 — 多くの要因に依存し、調整と管理が最も難しいパラメータ

これが診断の手順になります。

  1. 80 点のずれを測る
  2. 4 パラメータで当てはめる
  3. 誤差が ・・ に乗っていれば、装置側。光学系と位置合わせ系を当たります
  4. 誤差が と残差に乗っていれば、入ってくるウェーハ側。報告が調べているのも、まさにウェーハ形状が全体の重ね合わせへ与える寄与です

手順の値打ちは、原因の候補を 2 つに割るところにあります。装置の調整で直る分と、上流のウェーハ形状に由来する分は、打ち手がまったく別です。4 パラメータの当てはめは、その 2 つを分ける最小の道具です。

現場で動く判断

  1. 「接合した」を 2 列で書きます。金属側はチェーンとケルビンの抵抗、絶縁膜側は接合エネルギーと超音波像と断面。チェーンの導通が保証するのは金属の経路だけです。
  1. パッド径を縮めたら、中央値より幅を追います。界面の粒の数は径の 2 乗で減るので、相対ばらつきは径に反比例して広がります。径 5 分の 1 でばらつき 5 倍が目安です。
  1. 接合前の粒径より、接合後の方位分布を歩留まりへ照らします。パッド径ごとの組織差は接合後にほぼ消えます。接合前の値だけを使うと、再結晶という 1 段を飛ばした相関になります。
  1. 凹み量が仕様の外へ出たら、ディッシングとエロージョンへ割ります。線幅で動くならディッシング、密度で動くならエロージョン。対策は細く割るのと密度を均すので、まったく別です。
  1. 切り分けには、線幅 × 密度の専用模様をレチクルへ入れます。製品ウェーハでは 2 つが相関しているので、後からの分離が難しくなります。4 水準 × 4 水準の 16 個で両方の傾きが独立に取れます。
  1. 相互作用の距離を、凹み量の空間分布から確かめます。数 mm で細かく上下していれば短距離(レイアウトへ)、数十 mm の緩い傾きなら長距離(プロセスへ)。
  1. 大きいダイの周辺が未接合のとき、面積より厚みを先に当たります。接触波の速さは厚みで明確に動き、直径への依存は弱い。薄化ダイは速い側にいるので、周辺の未接合は平坦度・粒子・反りのほうを疑います。
  1. 重ね合わせは 4 パラメータで当てはめてから帰属させます。・・ に乗っていれば装置、 と非線形残差に乗っていれば入ってくるウェーハの形状です。

界面にボイドが残ったとき、その個数が壊れ方を切り替えます。2021 年の分子動力学による解析9によれば、孤立したボイドなら延性のまま強度が下がるだけですが、ボイドが配列すると延性から脆性への遷移が起き、強度が大きく落ちます。上の 8 つは、どれもボイドの個数を確定する側にあります。

出典

  1. 1 (Invited) Hybrid Wafer Bonding – The Fusion of Low Temperature Dielectric and Metal Bonding Technologies (2020) doi:10.1149/09804.0145ecst
  2. 2 Effects of Interconnect Scaling on Post-Bonding Microstructure and Interface Resistance Variability in Hybrid Bonded Cu-Cu Connection (2026) doi:10.2139/ssrn.7150938
  3. 3 Advancing Low-Temperature Hybrid Bonding via Tailored Copper Microstructure Engineering (2026) doi:10.4071/001c.167486
  4. 4 A Contact-Mechanics Based Model for Dishing and Erosion in Chemical-Mechanical Polishing (2001) doi:10.1557/proc-671-m4.6
  5. 5 CMP related/CMP revealed short- and long-range integration interactions in copper dual damascene technology (2001) doi:10.1557/proc-671-m5.2
  6. 6 Dishing and Erosion in Cu-CMP (2005) doi:10.1115/wtc2005-63978
  7. 7 The influence of wafer dimensions on the contact wave velocity in silicon wafer bonding (1996) doi:10.1063/1.117266
  8. 8 Paths Towards Ultra High-Density Interconnect 3D Systems: Contribution of Wafer Geometry for Achieving Sub 200NM Wafer-to-Wafer Bonding Overlay (2024) doi:10.4071/001c.116667
  9. 9 Effect of Annealing-Induced Tensions on the Mechanical Failure of Copper/Copper Interface in Wafer-to-Wafer Hybrid Bonding (2021) doi:10.1149/2162-8777/abe590