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マスクレス露光でチップごとに固有ID|SCREENは医療機器の製造記録に

マスクレス露光機は、チップ1個ずつに違うIDを図形として描ける。マスクレス露光とは、マスクを使わず設計データから露光パターンを作って描く方式を指す。マスクで写すと全チップに同じ図形が入るのに比べ、データから描く装置はチップごとに描く内容を変えられる。SCREEN SPEは2025年12月に発売したDW-3100でこの機能を挙げ、医療機器のように高い信頼性が求められる分野で製造記録を管理しやすくなる1と説明している。

IDを使う側の枠組みは、業界標準にある。SEMIのSEMI T23は2、半導体の製造、試験、組み立てを通して最終製品で使われるまで個々のデバイスを追うためのID付けを定める。EV Groupは2025年5月、マスクレス露光機LITHOSCALE XTのチップID描画がSEMI E142やSEMI T23のような個片の識別とトレーサビリティの標準に対応する3と発表し、用途に車載とセキュリティの市場を挙げた。これらの資料から見ると、露光で描くIDは、標準が扱うチップ単位の記録に使える番号になり得る。

マスクレス露光なら、チップごとに違う番号を描ける

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DW-3100は、マスクを使わずにGLVという光変調器で設計データから配線を描くダイレクトイメージング装置だ。チップの位置ずれに合わせて描く位置を変える仕組みは、DW-3100の解説で扱った。同じ仕組みで、描く図形そのものもチップごとに変えられる。SCREENは、この特長を生かして個々のチップに固有のIDを描ける1と説明する。

上段の左はマスクで写した6個のチップで、すべてに同じ灰色の図形が入る。右はデータから描いた6個のチップで、それぞれ違う青緑のIDの図形が入る。下段は、PDF Solutionsが説明するSEMI E142の基板マップが扱う単位として、ウェーハ、フレーム、ストリップ、トレイ、テープ・リール、パネル、プリント基板を並べている。
データから描く露光ならチップごとに違うIDを入れられる。SEMI E142の基板マップは、ウェーハからプリント基板までの単位で位置ごとのデータを扱う。

この機能はDW-3100で始まったものではない。前の機種DW-3000を使うカナダの研究施設C2MIは、DW-3000の特長としてロット番号、ウェーハ番号、チップ番号によるチップごとの追跡4を挙げている。EV GroupのLITHOSCALE XTは、ウェーハ1枚ごとにチップごとの固有IDをその場で生成する3「Dynamic Die Annotation」を持つ。マスクレス露光機の比較記事で並べた機種のうち、チップID描画を発表で明記しているのはSCREENとEV Groupだ。

SEMIの標準は、チップ単位の記録と個々のデバイスのIDを扱う

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SEMI E1425は基板マップの仕様で、ウェーハ、フレーム、ストリップ、トレイについて、マップのデータを報告、保存、送信するためのデータ項目を定める。対象は組み立てとパッケージングで、デバイスの試験も含む。PDF SolutionsのE142の解説によれば6、基板がウェーハなら、マップにはチップ1個ずつの詳しい情報を持たせられる。基板マップは基板の上の位置ごとにデータを持つので、トレーサビリティの要件を実装するのに向くという。

T23は、個々のデバイスのIDを最終製品で使われるまで通す方法を定め、単一のICから複数チップや3D構造まで2を対象にする。ID付けの手段としては、従来の方式から、電気で読み出すチップID(ECID)、パッケージに付ける2次元コードまでを挙げる。T23は2019年1月に初版が出て、2020年4月に改訂された。用語の整理はトレーサビリティの用語解説にある。

E142がチップ1個ずつの情報を位置で持つことと、SCREENとEV Groupがチップごとに違うIDを描けると発表したことを合わせると、露光で描いたIDは、基板マップの中でチップ1個を指す番号として使えると読める。

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