ファンアウトのずれ対策にマスクレス露光SCREEN DW-3100はチップごとに露光
Decaのデータから見ると、ファンアウト型パッケージの配線にマスクレス露光を使う理由の1つは、ウェーハ上に並べ直したチップが、チップを置くときと樹脂で固めるときに動き、マスクで一律に写した配線が端子から外れるからだ。マスクレス露光とは、マスクの代わりに設計データから露光パターンを作って描く方式を指し、描く位置をチップごとに変えられる。SCREEN SPEが2025年12月に発売したDW-3100について1、SCREENはウェーハの反り・歪みとチップの位置ずれを検出し、ウェーハごと、チップごとに最適な露光ができると説明する。
ずれの大きさは、ファンアウト用の露光を手がけるDeca Technologiesの2022年の発表2に数字がある。Decaは、5 mm角ほどの単一チップ品で最もよく調整した工程でも、成形後のチップの位置の仕様を±10 µm、回転0.06度(3σ)と定めた。チップを3個並べた品では、成形後のずれが±15 µm(3σ)になり得ると見積もる。Decaは、配線の密度を上げるほど、マスクを前提にした従来のずれ対策は難しくなると述べる。
ダイレクトイメージングは、マスクの代わりに設計データから光のパターンを作って描く
Section titled “ダイレクトイメージングは、マスクの代わりに設計データから光のパターンを作って描く”SCREENはこの方式をダイレクトイメージング(direct imaging)と呼ぶ。前工程の露光とリソグラフィではマスクの像を縮めて写すが、ダイレクトイメージングは描く内容をウェーハ1枚ごとに作り直せる。
DW-3100は、前の機種DW-3000と同じく、SCREEN独自のGLV(Grating Light Valve)で光を切り替える。SCREENの説明では1、GLVはMEMS技術で基板の上に数千本の細い反射リボンを列に並べた光変調器で、光の干渉を使って向きと強さを変え、多数のチャネルの光を同時に制御する。DW-3100は光学系を全面的に設計し直し、1 µm未満の解像3を掲げる。マスクを使う露光と比べた代償は、マスクレス露光とつなぎ露光の比較で扱っている。
並べ直したチップは、置くときと成形のときに動く
Section titled “並べ直したチップは、置くときと成形のときに動く”チップを先に並べて樹脂で埋め、その上に配線を作るファンアウト型のパッケージでは、配線を描く前にチップの位置が設計からずれる。Decaの発表は2、このずれ(ダイシフト)をファンアウトの最大の課題と呼び、原因を2つに分ける。1つはチップを機械で置くときのX・Y・回転のばらつき、もう1つは樹脂で埋めるときの押し流しだ。
ずれは、パッケージが大きいほど端で大きくなる。Decaは、上の±10 µm・0.06度の位置の仕様のまま本体36 mm角のパッケージを作ると、最大32 µmのずれが出ると見積もる。複数のチップを並べる品では、チップごとに別々にずれる。SCREENもDW-3100の発表で1、大型パッケージと異種チップを組み合わせる異種統合への対応から、精度が高く露光の制御が柔軟なダイレクトイメージング装置の需要が増えたと説明している。
マスクで写す場合は、パッドを大きくするか、チップごとに合わせ直す
Section titled “マスクで写す場合は、パッドを大きくするか、チップごとに合わせ直す”マスクを使うステッパーでも、ずれへの対策はある。Decaの整理では2、チップを先に並べるファンアウトをステッパーで露光する工程では、受けのパッドを大きく取る、チップの電極に対してビアを小さく開ける、成形での縮みを見込んでチップを置く座標をずらす、という方法を組み合わせる。Decaは、こうした方法が効くのはチップの電極ピッチが40〜45 µmまでで、それより細かいと足りなくなると述べている。
ステッパーでパッケージごとに位置を合わせて露光することもできる。Decaによれば、このダイごとの位置合わせは処理能力を下げ、複数チップのパッケージでは扱いにくい。広い範囲でまとめて合わせる装置もあるが、その分だけ精度を落とす。マスクレス露光なら、測ったずれに合わせて配線の図形そのものを描き換えられる。
DW-3100は、測ったずれを3種類の位置合わせで描画に反映する
Section titled “DW-3100は、測ったずれを3種類の位置合わせで描画に反映する”DW-3100は、ウェーハの反り、歪み、チップの位置ずれを画像処理で検出する補正技術を持ち、ウェーハ1枚ごと、チップ1個ごとに最適な露光ができる1とSCREENは説明する。製品ページ3は位置合わせの方式として、全体(グローバル)、局所(ローカル)、ダイ単位の3種類を挙げる。
ダイ単位でずれを補正して描く機能は、EV GroupのLITHOSCALE XTも掲げる。反りへの対応は、Applied MaterialsとUshioのDLT、NikonのDSP-100も掲げている。各社の比較は後工程のマスクレス露光装置の比較にまとめた。
ウェーハと角型パネルの両方に対応し、チップごとにIDも描ける
Section titled “ウェーハと角型パネルの両方に対応し、チップごとにIDも描ける”DW-3100は、製造プロセスに応じて3ウェーハ向けの構成と角型パネル向けの構成を選べる。パネルは反りが大きく、キヤノンはパネル用ステッパーのFPA-8000iW4で最大10 mmの反りに対応すると説明している。ガラス基板のパネルは、510×515 mm前後の寸法が多い。
もう1つの機能は、チップ1個ずつに固有のIDをパターンとして描くことだ。マスクで写すと全チップに同じ図形が入るが、データから描く装置なら、チップごとに違う番号を入れられる。SCREENは、医療機器のように信頼性が求められる分野で製造記録を管理しやすくなると説明する。露光で描くIDが製造履歴の管理で何を変えるかは、露光で描くチップIDの記事で扱った。
4件を表示
- 1SCREEN SPE:DW-3100の発売、GLVと補正技術とID描画(2025年12月)screen.co.jp abcd
- 2
- 3SCREEN SPE:DW-3100の製品ページ、解像と3種類の位置合わせscreen.co.jp abc
- 4キヤノン:FPA-8000iWの製品仕様、パネルの反りへの対応global.canon ↩