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ABFの増産、2030年までは群馬工場など|味の素、可児の拠点は2032年操業

味の素は、AI向け基板の増産に対するABFの供給を、2030年までは群馬工場などの段階的な増産で賄う計画だ。同社は2026年6月の電子材料事業の説明会で1、2030年までの需要増には群馬工場などの段階的な増産で、2030年以降の需要増には新たに取得した岐阜県可児市の拠点を含めて対応すると説明した。一方、2032年に操業する可児の第3拠点は、2030年以降の需要に向けた工場と位置づけられている。

同じ説明会で、味の素ファインテクノの社長は、現時点でサプライチェーン全体に懸念はないと述べた。ABF(味の素ビルドアップフィルム)とは、パッケージ基板のビルドアップ層に使う層間絶縁フィルムを指し、味の素は自社のシェアを95%超としている。ABFが基板のどこに使われるかは、有機パッケージ基板と反りの記事で扱っている。

ABFの需要は、基板の数だけでなく大きさと層数で増える

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味の素の説明会資料によると、パッケージ基板はHPC向けが2023年ごろに約70 mm角・9層、AI向けの2.5Dパッケージが2026年に約100 mm角・11層になり、2031年以降は約120 mm角・13層になる見通しだ。同社は、基板が大きく層が多くなるほど高性能半導体に使うABFの量が増えると説明している。AIサーバーには、CPU、GPU、ASICなどの大きな多層基板が多数載る。

フィルムの量が基板の面積と層数の積に比例すると仮定した筆者の計算では、2023年ごろの70 mm角・9層に比べて、100 mm角・11層で約2.5倍、味の素が2031年以降の見通しとする120 mm角・13層で約4.2倍になる。3つの点はHPC向け、2.5DのAI向け、3DのAI向けの見通しと、パッケージの種類も異なる。GPUとHBMを並べる大型パッケージの構成は、先端パッケージングにまとめている。

この需要は業績に表れている。味の素の中村茂雄社長の説明によると2、ABFを中心とする電子材料などの事業は2025年度の全社の事業利益の約3割を占める。説明会資料によると、機能材料事業の事業利益率は2018年度の約30%から2025年度には50%を超えた。2026年度は、期初の想定を上回るペースで伸びている。

2030年までの増産は、群馬工場の段階的な増強で賄う

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2023年から2033年の年表。群馬工場の項に載る投資枠250億円は2023年から2030年。群馬の新工場は2025年に稼働し、2030年まで段階的に増産する。可児の第3拠点は2026年に用地取得、2028年に着工、2032年に操業。イビデンは2026年度から2028年度に約5000億円を投じ、2027年度から順次稼働する。基板は2023年ごろ約70 mm角・9層、2026年に約100 mm角・11層、2031年以降に約120 mm角・13層の見通し。
イビデンの新設備は2027年度(同社の会計年度)から順次稼働し、可児の第3拠点は2032年に操業する。味の素は2030年までの需要増を群馬工場などの段階的な増産で賄う計画だ。

味の素がABFの原料として自社で作るのは、樹脂を溶かしたワニスだ。説明会資料によると、ワニスをPETフィルムに塗って切る工程と保管は外部に委託している。ワニスの量産拠点は群馬工場で、川崎の本社工場は研究開発、試作、少量生産を担う。

群馬工場では2025年に新工場が稼働した。味の素は約100億円を投じて最新のワニス製造設備を設けた。説明会資料の群馬工場の項には、2023〜2030年の投資枠250億円が載っている。2030年までの需要増には、群馬工場などで段階的に生産を増やす体制で対応する。TrendForceが紹介したTechNewsの記事(日経の報道に基づく)によると、味の素は2030年までに少なくとも250億円を投じてABFの生産能力を5割増やす計画だという3。2025年4月のこの報道が挙げる投資額は、説明会資料の投資枠と同じ250億円だ。

味の素は、この外部委託を含むサプライチェーン全体で安定供給の体制を作るとしている。

可児の第3拠点は、2030年以降の需要に向けた拠点だ

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味の素の2026年5月7日の発表によると4、子会社の味の素ファインテクノは、岐阜県可児市の可児・御嵩インターチェンジ工業団地に約12億円で新工場の用地を取得する。立地協定を2026年5月、取得契約を6月に結び、2028年に着工、2032年に操業を始める予定だ。

発表は新工場の特徴の1つ目に、2030年以降のABF需要に応える供給能力と、将来の能力増強の余地を挙げている。2つ目は、川崎と群馬から一定の距離を置いた事業継続計画(BCP)上の立地だ。6月の説明会資料は、可児の工場で自動化とDXによって群馬工場と同じ規模の生産能力を見込むとしている。可児が動けば、ワニスの量産拠点は群馬と可児の2つになる。

イビデンの増産は2027年度から順次稼働する

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ABFを使う基板の側では、イビデンの増産が2027年度(同社の会計年度)から順次稼働する。EE Times Japanによると、イビデンは2026年2月、AIサーバーなどに向けた高機能ICパッケージ基板の生産能力を増強するため、2026〜2028年度の3年間で総額約5000億円の設備投資を計画している5と発表した。最初の段階では河間事業場(岐阜県大垣市)の工場棟に約2200億円を投じ、2027年度から順次稼働させる。

2社の計画を並べた筆者の比較では、イビデンの新設備は2027年度から、可児の工場は2032年から動く。味の素は、2030年までの需要増を群馬工場などの段階的な増産で、2030年以降の需要増を可児を含む体制で賄うとしている。

ビルドアップ層の材料は、ほかの会社も開発している。レゾナックとRapidusの技術者によるIEEE EPSのレビューによると6、積水化学工業はECTC 2021で5.8 GHzのDk 3.3・Df 0.0023のビルドアップ材を、パナソニックはECTC 2023でポリフェニレンエーテル系の新しいプリプレグを発表した。味の素が自社発表で示す95%超のシェアから筆者が計算すると、ABF以外のビルドアップ材は市場の5%未満になる。

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