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ガラス基板はCTE高めではんだひずみ半減|Lauらの解析、PCBに近いCTEを推奨

ガラスコア基板の熱膨張係数(CTE)とは、温度が1 °C変わったときに材料が伸び縮みする割合を指す。Lauらの有限要素解析では、20 mm角のガラスコア基板にSiチップをCu–Cuハイブリッド接合で載せた構造で、ガラスのCTEを4.8から10×10⁻⁶/°Cへ上げると、基板とプリント基板(PCB)をつなぐはんだボールのひずみが1サイクルあたり16%から8%へ半減した。解析ではSiを2.8、PCBを18×10⁻⁶/°Cとしており、4.8はSiより高いがPCBよりかなり低い基準値だ。

Lauらはこの結果から、ガラスコアのCTEはSiではなくPCBに近づけるべきだと勧めた1。チップと基板のあいだはアンダーフィルで守るが、基板とPCBのあいだのはんだボールにはアンダーフィルを入れないからだ。一方で、CTEの低いガラスはチップ側の接合には有利に働く。Leらの別の解析では、CTEの高いガラスほど端部のき裂を伸ばす力が小さく、ひずみと端部のき裂で同じ向きの結果が出ている。

ガラスコアは製品に残り、TGVと両面のRDLで上下をつなぐ

Section titled “ガラスコアは製品に残り、TGVと両面のRDLで上下をつなぐ”

ガラスコア基板は、ガラス貫通電極(TGV:Through-Glass Via)と両面の再配線層(RDL)を支え、最終パッケージに残る構造だ。TGVはガラスを垂直に貫く銅の導体で、上面と下面のRDLの間に電流の経路を作る。RDLは、チップレットやHBMの端子位置をパッケージ側の配線へ引き直す薄膜配線だ。LPKFのガラスコア向けページも2、TGVを両面のRDLを結ぶ垂直配線と位置づけている。

同じ「ガラス基板」でも、加工中だけ薄いウェーハを支えるガラスキャリアは別物だ。SCHOTTは3、薄化やハンドリングに使うキャリアと、高密度配線を担うコアを別の用途として分けている。規格も分かれ、SEMI 3D164はパッケージに永久に組み込まれるガラス基材を、SEMI 3D25は仮接合に使う直径200 mmと300 mmのキャリアウェーハを対象にする。キャリアは仮接合・剥離とウェーハ薄化のあいだだけ使い、剥離と洗浄で取り除く。製品の反りやはんだの寿命に効くCTEは、コアの側の問題だ。

図1製品に残るコアと外すキャリア
ガラスコア:製品に残る ガラスキャリア:加工中だけ支える 上面RDL ガラスコア TGV(銅) 下面RDL 薄化したウェーハ 仮接着層 ガラスキャリア 剥離・洗浄 製品ウェーハが残る キャリアは取り除く 規格:SEMI 3D16 測る:TTV・平坦度・CTE・反り 位置合わせ・導通・絶縁・クラック 規格:SEMI 3D2・3D23 測る:接着の均一性・剥離条件 残渣・薄化後のTTV
製品に残るのはガラスコアで、キャリアは剥離と洗浄で取り除く。反りとはんだの寿命を左右するCTEはコアの値だ

解析では、ガラスコアはチップ側の接合を楽にし、PCB側のはんだに負担を移した

Section titled “解析では、ガラスコアはチップ側の接合を楽にし、PCB側のはんだに負担を移した”

Lauらは、同じ著者らの前報の結果を次のように引いている。マイクロバンプでチップを載せた構成で、マイクロバンプにたまる非弾性ひずみは、ガラスコアで1サイクル4.43%、有機コアで9.12%だった1。チップ側では、ガラスコアが有機基板より有利に働いた。

基板とPCBをつなぐはんだボールでは逆になった。ひずみはガラスコアで1サイクル19%、有機コアで8.43%と、ガラスコアのほうが2倍を超えた。Lauらは、ガラスコアのCTE 4.8×10⁻⁶/°CとPCBの18×10⁻⁶/°Cの差が大きいことを理由に挙げる。基板とPCBのあいだのはんだボールにはアンダーフィルがなく、Lauらは基板が大きいほどこの弱点が目立つとしている。

解析では、CTEを4.8から10 ppm/°Cへ上げるとPCB側のひずみが半分になった

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Lauらは、10 mm角・厚さ350 µmのSiチップを、20 mm角・厚さ815 µmのガラスコア基板へ10 µmピッチのCu–Cuハイブリッド接合で載せ、PCBへはんだボールで実装した構造を解析した。Cu–Cu接合部のひずみは10⁻⁶台と小さく、最大のひずみは、はんだボールとPCBの界面の近くに出た1。その値は1サイクル16.02%で、Lauらははんだ接合の信頼性には大きすぎるとしている。

ガラスのCTEを10×10⁻⁶/°Cへ上げると、角のはんだボールのひずみは1サイクル16%から8%へ下がった。Cu–Cu接合部の応力の大きさはほとんど変わらなかった。この解析では、チップ側の接合の条件をほぼ保ったまま、PCB側のはんだのひずみだけが半分になった。比べたCTEは4.8と10の2点だ。

Leらの解析でも、CTEの高いガラスほど端部のき裂を伸ばす力が小さかった

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割れでも結果は同じ向きだった。Leらは2025年、510 mm×515 mmのパネルの両面に4層のRDLを積む工程を有限要素法で解析し、ガラスの品種ごとに端部のき裂を伸ばす力(エネルギー解放率)を比べた。D263、Gorilla、セラミックガラスは、borofloat 33や溶融石英より、き裂を伸ばす力がはっきり小さかった6。CTEはそれぞれ溶融石英0.57、borofloat 33が3.25、D263が7.2、Gorillaが8.14、セラミックガラスが9.3 ppm/°Cだ。RDLの銅は17.6 ppm/°C、絶縁膜のABFは22〜46 ppm/°Cと大きく、ガラスのCTEが高いほど積層との差が縮む。Leらは、ガラスのCTEの違いがき裂の進展を左右する主な要因だとまとめている。

図2CTE差で反りとクラックが出る場所
構造全体の反り 端部を拡大 ビルドアップ層とガラスのCTE差 ダイシング端面 上面RDL(ビルドアップ層) 端面の微小クラックから 水平に走るクラック ガラスコア 下面RDL 銅とガラスのCTE差 TGV(銅) TGV端のクラック
CTE差は銅とガラス、ビルドアップ層とガラスの界面に生じる。反りは構造全体に出て、き裂はTGV端とダイシング端面から伸びる

割れの起点と対策はガラスコアの割れの記事で扱う。

合成石英AQはTGVの損失が低く、溶融石英は解析でき裂を伸ばす力が最大だった

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材料メーカーは、CTEの異なるガラスをすでにそろえている。SCHOTTのAF 32 eco7は3.2×10⁻⁶ K⁻¹の低膨張ガラスだ。日本電気硝子(NEG)8はガラスセラミックのGC Coreで6.1〜8.9 ppm/°Cの3品種を出し、熱設計に合わせてCTEを選べるコア基板を用意するとしている。

素材(公表元)CTE測定周波数DkDf曲げ強度
SCHOTT AF 32 eco(無アルカリのアルミノホウケイ酸ガラス)3.2×10⁻⁶ K⁻¹(20–300 °C)1 GHz5.135×10⁻⁴—
AGC EN-A1(無アルカリガラス)—10 GHz5.860×10⁻⁴—
合成石英AQ—10 GHz3.82×10⁻⁴—
NEG GC Core GCC-1(低誘電率型)6.1 ppm/°C2.45 GHz3.913×10⁻⁴150 MPa
NEG GC Core GCC-2(高膨張型)8.9 ppm/°C2.45 GHz7.02×10⁻⁴260 MPa
NEG GC Core GCC-3(高強度型)7.4 ppm/°C2.45 GHz7.94×10⁻⁴340 MPa

IEEE EPSの技術委員会資料9が引くTanakaらの測定では、側壁めっきのTGV1本が30 GHzで加える挿入損失は、無アルカリガラスEN-A1で0.48 dB、合成石英AQで0.23 dBだった。同じ資料はビアの充填でも比べ、側壁めっきのTGVの0.48 dBに対し、銅で完全に埋めたTGVは0.23 dBだった。

一方、Leらの解析で比べた溶融石英は、CTEが0.57 ppm/°Cと5品種で最も低く、端部のき裂を伸ばす力も最も大きかった。高膨張型のNEG GCC-2は、CTEが8.9 ppm/°Cで、2.45 GHzの誘電正接は2×10⁻⁴だ。

TGVの加工法ごとに、NEGは別のガラス組成を出した

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IEEE EPSの資料によれば、CO2レーザーやエキシマレーザーで直接開けるとテーパー形のビアに、超短パルスレーザーで改質してからエッチングすると砂時計形のビアになる。NEGは2025年5月、レーザー改質とエッチングに合う新しいガラス組成を開発した10と発表した。CO2レーザー向けの品種とは別の組成だ。

TGVに銅を付けるには、ガラスと銅のシード層の間に、TiやZnOなどの密着層を電気特性を損なわない100 nm未満の厚さで挟む。伝送損失を下げるため、穴は銅で完全に埋める方式が好まれる。同じ資料が引く報告では、100個のTGVをつないだデイジーチェーン10本を−40 °Cと85 °Cで各30分保持の温度サイクルにかけ、完全充填と側壁めっきのどちらも1000サイクルまで抵抗が変わらなかった。

AGC、NEG、大日本印刷(DNP)は510 mm×515 mm前後のパネルを掲げる。AGCのTGV製品11は510×515 mm、NEGは515×510 mm、DNPのコンフォーマル型TGV12は510×515 mmへの展開だ。各社の寸法と量産の目標年はガラスコアのパネル寸法と量産時期の記事にまとめた。

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