剥離後の洗浄、リンスで粒子数が約100倍差Veeco・Brewer Scienceの実験
剥離後のパーティクルを減らすには、薬液と洗浄の手順の両方が要る。ただし両者の役割には違いがある。Veeco InstrumentsとBrewer Scienceが2023年に報告した実験では、薬液の選定は仮接着材を溶かし切れるかどうかと、配線の金属を侵さないかで絞られた1。薬液を決めた後に粒子数を動かしたのは、リンス液の組み合わせ(約100倍、ほぼ2桁)と、浸漬とスプレーの順序だった。厚さ20 µmの仮接着材では、浸漬で軟らかくしてから高圧スプレーで当てる手順が、浸漬の後に低圧で流す手順より粒子を少なくとも約200分の1に、スプレーだけの手順より約6分の1に減らした。低圧で流した側は検査装置の計数が飽和したので、実際の差は200倍より大きい。
剥離後の洗浄とは、キャリアを外した後もデバイス面に残る仮接着材を、溶剤で溶かして除く工程を指す。Veeco InstrumentsとBrewer Scienceの報告は、仮接着材を除いた後に求められるサブミクロンの粒子水準が前工程並みに近づいていると書き、ハイブリッド接合のように寸法とピッチが1 µmを下回る工程では、高分子の残渣や粒子が元の欠陥の30倍の大きさのボイドを作りうるとするimecの研究2を引いている。粒子がボイドになる仕組みはハイブリッド接合のボイドと洗浄で扱っている。仮接着の材料とキャリアの選び方は仮接着・剥離の基本にまとめている。
薬液は、溶かし切れるかと金属を侵さないかで絞られる
Section titled “薬液は、溶かし切れるかと金属を侵さないかで絞られる”実験で使った仮接着材は2種類だ。BrewerBOND 230は厚く塗って薄化と裏面加工を支える材料で、厚さ20 µmで試した。BrewerBOND 701はレーザー剥離層で、厚さ200 nmで試した。どちらも300 mmウェーハに塗ってベークし、小片に割ってビーカーで薬液を試してから、全面のウェーハで洗浄した。
BrewerBOND 230では、フォトレジストの剥離に使うNMP系とDMSO系の溶剤は、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)のような強い成分を足しても膜の大部分を落とせなかった。単一成分の炭化水素系溶剤は膜を落とし、表面の水の接触角を90°から約40°まで下げた。接触角を最も下げたのは界面活性剤系の薬液だったが、配線に使う標準的な金属をエッチングするおそれから候補を外れた。最終的には、溶解が最も速かったメシチレンを全面の試験に使った。BrewerBOND 701でも界面活性剤系は同じ理由で外れ、接触角が同等だったAZ920(EMD Electronics)が選ばれた。
界面活性剤系の例のように、最もよく落とす薬液が配線の金属を侵すことがある。この段で決まるのは「落とせるか」までで、粒子数は次の段で決まる。
リンス液の組み合わせだけで、粒子数は約100倍(ほぼ2桁)変わる
Section titled “リンス液の組み合わせだけで、粒子数は約100倍(ほぼ2桁)変わる”全面のウェーハで最初に分かったのは、粒子数がリンス液とその順序に強く左右されることだった。100 nmを超える粒子が10個という受け入れ基準の粒子モニター用ウェーハで、装置の条件をそろえてリンス液だけを替えると、メシチレンではリンスAとリンスBの差が2桁近くあった。AZ920では逆にリンスBのほうがよく、差はおよそ100倍だった。
最適なリンス液は、前に使った薬液によって違った。報告は、リンス液の選び方を誤ると溶剤を流し切れず、析出や残渣になると書いている。装置の機能を使ってリンスAとBを決まった順に組み合わせたリンスCは、リンスA単独よりさらに粒子を減らした。研究チームは以後、BrewerBOND 230にはリンスC、BrewerBOND 701にはリンスBを使った。
厚い仮接着材は、浸漬で軟らかくしてから高圧スプレーで当てると最も落ちる
Section titled “厚い仮接着材は、浸漬で軟らかくしてから高圧スプレーで当てると最も落ちる”厚さ20 µmのBrewerBOND 230では、3つの手順を比べた。Test-Aは45分浸漬した後に低圧の液流を90秒(流量1000 mL/分)、Test-Bは同じ浸漬の後に1500 psiの高圧スプレーを90秒(流量500 mL/分)、Test-Cは浸漬なしで高圧スプレーを300秒だけ当てた。粒子はKLAのSurfscan SP2-XPで、150 nmを超える大きさを数えた。
Test-Aのウェーハは粒子が多すぎて、検査装置の計数が中央で飽和した。研究チームが計数上限の13万個をTest-Aの値と置いて比べると、Test-Bの粒子数は約200分の1以下で1、実際の差はそれ以上になる。Test-Bの表面のヘイズ(散乱光の強さ)は、磨いただけのシリコンウェーハと同程度まで下がった。Test-Aは光学顕微鏡で見る限りきれいだったが、ヘイズと接触角が高く、研究チームはこれを顕微鏡で捉えられない残留欠陥を示唆するものとし、確認にはさらに表面の分析が要るとしている。
浸漬を省いたTest-Cは、高圧スプレーを300秒とTest-Bの3倍以上当てても、Test-Bの約6倍の粒子を残した。ウェーハの中央には粒子のクラスターが出た。研究チームは、長い浸漬が材料を溶かして軟らかくし、高圧スプレーで一気に除けるようにすると説明する。バッチの浸漬槽と枚葉のスプレーを1台に載せたVeecoのWaferStorm(ImmJET機能付き)の構成では、Test-BのスループットはTest-Cの2.5倍になるとした。粒子数とスループットが同じ向きに改善した。
厚さ200 nmの剥離層は、スプレーだけで足りる
Section titled “厚さ200 nmの剥離層は、スプレーだけで足りる”薄いBrewerBOND 701では、浸漬を使わずにAZ920で試した。低圧の液流は60秒から120秒に延ばすと粒子が5分の1以下に減った。高圧スプレーは60秒で、液流の120秒と同程度まで減らした。高圧スプレーを120秒に延ばすとさらに3分の1以下になり、120 nmを超える粒子は600個を下回った。高圧スプレーの流量は500 mL/分で、液流の1000 mL/分の半分なので、薬液の使用量も少ない。
研究チームは、薄いBrewerBOND 701は厚いBrewerBOND 230よりはるかに早く落ちると見込み、浸漬の工程を省いた。どちらの層でも、高圧スプレーが粒子数を下げた。
2材料と1つの装置構成の実験では、20 µmの層は浸漬してから高圧スプレー、200 nmの層はスプレーだけで足りた
Section titled “2材料と1つの装置構成の実験では、20 µmの層は浸漬してから高圧スプレー、200 nmの層はスプレーだけで足りた”実験では、薬液を選び、その薬液に合うリンス液と順序を決め、最後に浸漬の有無とスプレーの条件を比べた。厚さ20 µmのBrewerBOND 230は浸漬してから高圧スプレー、厚さ200 nmのBrewerBOND 701は高圧スプレーだけで粒子が最も少なかった。数字は、この2材料とVeecoの1つの装置構成で得られたものだ。
装置メーカーも、洗浄をデバイス側とキャリア側で分けている。SUSS MicroTecのXBC300 Gen2は3、テープに貼った薄化ウェーハを洗うAR300TFと、厚いままのウェーハとキャリアを洗うAR300を別のモジュールにし、AR300ではパドル、スプレー、高圧から方式を選べる。東京応化工業は、サポートガラスを外して仮接着剤を洗うTWR系装置と、残渣を残さない専用シンナー4を組みで供給する。
高温を通った仮接着材ほど洗浄は難しくなる。Veeco InstrumentsとBrewer Scienceは、高出力のレーザーや高温にさらされた接着剤ほど除去が難しいと書いている。Brewer Scienceは2026年9月、350 °Cまでの工程の後でも溶剤で洗えるUVレーザー剥離材料5を発表した。シリコンキャリアの赤外剥離について、imecは剥離後に残る無機剥離層と高分子層を標準的な洗浄法で除去できた6と報告している。洗浄後の表面は、洗浄・表面前処理で扱う前工程の基準と比べることになる。
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- 1Veeco・Brewer Science:仮接着材の洗浄と粒子の課題(2023年10月、IMAPS)imapsource.org ab
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- 4東京応化工業:Zero Newtonの装置と専用シンナーtok-pr.com ↩
- 5Brewer Science:350 °C対応のUVレーザー剥離材料(2026年9月、IMAPS 2026)brewerscience.com ↩
- 6imec:シリコンキャリアの赤外レーザー剥離と残渣洗浄(2025年5月、ECTC)imec-publications.be ↩