コンテンツにスキップ

極薄ウェーハ15 µmをシリコンで支持|赤外レーザー剥離と併用、Brewer Science

Brewer Scienceの2025年12月2日の告知によれば、15 µmまで薄くした300 mmウェーハを扱う工程は、シリコンのキャリア、同社の高温用接着剤BrewerBOND C1301-10、EV Groupの赤外レーザー剥離装置EVG880 LayerReleaseの組み合わせだ。Fraunhofer IZM ASSIDが中心になり、Brewer Science、EV Groupと3者でWaferBond ‘25で共同発表すると告知された1。告知は、機械的な安定、高温への適合、応力をかけない分離という3つの課題を挙げている。

仮接着とは、薄くするウェーハをキャリアへ剥がせる形で貼り、加工の後に外す工程を指す。告知の題が掲げたのは、薄さだけではなく高温への適合だ。Brewer Scienceは告知の中で、450 °Cまでの高温に適合する接着剤技術は何かという問いを立て、その答えとしてこの組み合わせを示した。薄さだけなら、DISCOはキャリアを使わず研削だけで300 mmウェーハを5 µmまで薄くした例2を示している。仮接着の材料と耐熱は仮接着・剥離の基本に書いている。

告知された工程は、シリコンキャリア、C1301-10、EVG880 LayerReleaseで組まれている

Section titled “告知された工程は、シリコンキャリア、C1301-10、EVG880 LayerReleaseで組まれている”

Brewer Scienceの告知によれば1、WaferBond ‘25はドイツのケムニッツで開かれ、発表はFraunhofer ASSIDが主導する。発表の題は、赤外剥離に対応する高温で安定な仮接着剤とシリコンキャリアを使った、300 mm極薄ウェーハのハンドリングだ。接着剤にBrewerBOND C1301-10を使い、剥離にEVG880 LayerReleaseの技術を組み合わせる。

赤外剥離はシリコンキャリアと対になる。EV GroupのIR LayerReleaseは3、シリコンが透過する波長の赤外レーザーをキャリアの裏面から当て、成膜で作り込んだ無機の剥離層に吸収させて分離する。ガラスキャリアでUVレーザーを使う従来の方式とは、光を通す材料も、光を吸う層も違う。

接着剤の耐熱は、2024年に420 °Cで発表され、2025年の告知は450 °Cを問いに掲げた

Section titled “接着剤の耐熱は、2024年に420 °Cで発表され、2025年の告知は450 °Cを問いに掲げた”

この組み合わせには前段がある。Brewer Scienceは2024年12月のEPTCで、EV Group、ams OSRAMと共同で、420 °Cまで耐える仮接着剤BrewerBOND C1301-50を、EVGの赤外剥離と組み合わせて発表した4。同社はこのとき、CVDのような高温工程は、仮接着材の剥離温度250 °Cに現状では制約されていると説明していた。2025年の告知では、C1301-10の組み合わせについて、450 °Cまでの高温への適合を問いの形で掲げた。

Brewer Scienceの剥離方式の表の耐熱(化学剥離220 °C、加熱スライド250 °C、フォトニック剥離280 °C、機械剥離400 °C、ガラス越しのUVレーザー剥離400 °C)と、シリコンキャリアと赤外剥離で発表された接着剤(C1301-50が420 °C、C1301-10が案内文で450 °C)、EV Groupの層転写向けの無機剥離層1000 °Cを並べた横棒グラフ。
C1301-10の450 °Cは発表告知の案内文の値で、同じC1300系はBrewer Scienceの剥離方式の表で400 °C以下とされている。

ガラスキャリアの側でも材料は進んでいる。Brewer Scienceは2026年9月、350 °Cまで構造を保ち、308 nmと355 nmのUVレーザーで剥がせる剥離材料5をC1301系の接着剤と組んで発表した。同社は、PECVD、ハイブリッド接合、銀焼結、熱圧着接合が250〜350 °Cを求めるようになったと説明する。Brewer Scienceの剥離方式の表は6、同じC1300系を使う機械剥離とガラス越しのレーザー剥離を400 °C以下としている。

赤外剥離は、2024年に量産向けの装置が出た

Section titled “赤外剥離は、2024年に量産向けの装置が出た”

EV Groupは2024年5月にEVG880 LayerReleaseを発表し7、量産(HVM)向けの専用装置として、前世代の装置の2倍のスループットを示した。同社は、無機剥離層が1000 °Cまでの処理に適合し、赤外光で室温のまま分離するので、デバイス層とキャリアを傷めないと説明する。

imecも、この方式を量産の候補として評価している。2025年5月のECTCの論文では、シリコンキャリア上の仮接着剤と赤外レーザー剥離を組み合わせ、よく似た無機の剥離層で、仮接着剤による貼り合わせにも直接接合(フュージョン接合)にも使えること8を示した。剥離後に残る無機剥離層と高分子層は標準的な洗浄法で除去でき、量産で使えるとしている。剥離後の洗浄で粒子数が手順によってどれだけ変わるかは、剥離後の洗浄の記事で扱う。

TELとSUSSは、50 µm前後の極薄ウェーハを扱う機能を公開している

Section titled “TELとSUSSは、50 µm前後の極薄ウェーハを扱う機能を公開している”

Tokyo ElectronはSynapse Z Plusに約50 µm未満の極薄ウェーハを安定して搬送する機能を載せた9と説明する。SUSS MicroTecは、剥離・洗浄装置のXBC300 Gen2が50 µm以下の極薄ウェーハを扱えるとし10、機械的ピール専用のDB12Tもテープに貼った50 µm以下のウェーハからキャリアを外せるとする11。

各社が公開した薄ウェーハの厚さを、範囲の向きつきで並べた図。TELのSynapse Z Plusは約50 µm未満、SUSSのXBC300 Gen2とDB12Tは50 µm以下、Brewer Scienceのフォトニック剥離は20 µm未満、Fraunhofer IZM ASSIDの告知された工程は15 µm。別枠で、DISCOがキャリアなしの研削だけで示した5 µm。" loading="lazy" decoding="async" />
各社の公開値は、範囲の向きがそれぞれ違う。TELとSUSSは50 µm前後の極薄ウェーハを扱う機能、Brewer Scienceのフォトニック剥離は20 µm未満への対応、15 µmは告知された工程の値で、DISCOの5 µmはキャリアなしの研削だけの例だ。

Fraunhofer IZMのウェーハレベル・システム集積の部門は、仮支持の対象を厚さ20 µm超のデバイスウェーハとし、300 mmのシリコンインターポーザウェーハを50 µmまで薄くした実績を掲載している12。15 µmの発表を主導するASSIDは、同じ研究所の別の拠点だ。Brewer Scienceは、無機の光吸収層をパルス光で剥がすフォトニック剥離が20 µm未満の薄化ウェーハに対応するとしている6。

研削だけなら、もっと薄くできる。DISCOは、装置、研削ホイール、研削条件を最適化すれば通常の研削だけで300 mmのシリコンウェーハを5 µmまで薄くできるとし、ルネサスの提供したウェーハを例に示している。

シリコンキャリアの利点は、温度のほかにTTV、位置合わせ、再利用にある

Section titled “シリコンキャリアの利点は、温度のほかにTTV、位置合わせ、再利用にある”

imecは2025年12月のEPTCの論文で、有機接着剤とUVレーザー剥離をガラスキャリアで使う方法には、熱安定性の低さ、TTV(厚さばらつき)の大きさ、機械的な位置合わせの悪さ13という限界があると書いた。そのうえで、再利用できるシリコンキャリアの上に無機の積層だけで組む赤外剥離を評価し、より高い温度での処理と薄化の改善ができるとした。ウェーハ全体を研削で削る方法と所有コストを比べると、キャリアを再利用すれば大きく節約できるという。

EV Groupは、ガラス基板は主にシリコン向けに作られた工場の装置では扱いにくく、改造に費用がかかる7と説明する。同社は、シリコンキャリアなら前工程の材料、工程、設備をそのまま使えるとしている。

研削を使わずに薄い層を作る道もある。Tokyo ElectronのUlucus LXは、レーザー照射、ウェーハの除去、洗浄を1台で行うExtreme Laser Lift Off技術9を載せ、永久接合の工程で裏面研削、研磨、化学エッチングの置き換えを狙う。同社は、除去した余分なシリコンウェーハを再利用でき、純水の使用量を90%以上減らせるとしている。

EV Groupは、裏面電源供給やCFETのような次の世代のトランジスタ構造で極薄層の転写が要るとして、IR LayerReleaseを前工程にも勧めている。Brewer Scienceが高温工程の一つに挙げたハイブリッド接合の量産の状況は、HBMへのハイブリッド接合の採用に書いている。EVG880 LayerReleaseは量産向けとして2024年5月に発表され、imecは洗浄まで含めて量産で使えると評価した。15 µmの工程は、2025年12月の学会発表として告知された。

13件を表示
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  11. 11
  12. 12
  13. 13