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次世代半導体の本命は2nmロジック|政府支援の決定額2.6兆円がラピダス1社に集中

次世代半導体とは、日本の政策では2nm世代以下の先端ロジック半導体を指す言葉だ。生成AIのデータセンターや自動運転の計算を担うチップで、政府はラピダスへの出資の目的を「次世代半導体の量産」1と書く。2030年までの商用で「次世代」が意味するのは、GAAトランジスタで作る2nmと1.4nmのロジックだ。日本政府もそこへ資金を集め、ラピダス1社に委託費の支援上限と出資で約2.6兆円の支援を決めた。

しかし、量産の先頭はTSMCだ。TSMCは2025年第4四半期に2nm(N2)の量産を始めた2。ラピダスの量産開始は2027年度後半で3、約2年遅れる。ラピダスが取りに行くのは性能の首位より、AI向け2nmの供給不足と、試作から量産までの速さだ。

政府の支援決定額はラピダスの2nm量産へ集中している

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経済産業省とNEDOは、ポスト5G基金の研究開発委託としてラピダスに年度ごとの上限額を積み上げてきた。2022年度は700億円、2023年度は2,600億円、2024年度は5,900億円、2025年度は8,025億円で、2026年4月に2026年度分の6,315億円を承認した4。支援上限の合計は2兆3,540億円になる。2026年度分の内訳は、前工程が5,141億円、2nmチップを組み合わせるパッケージの後工程が1,174億円だ。

委託費とは別に、政府は出資もしている。経済産業省所管の情報処理推進機構(IPA)は2026年2月に1,000億円、6月に1,500億円を出資し、出資総額は2,500億円になった1。委託費の支援上限と合わせると約2兆6,040億円だ。

同じ目盛りの横棒4本。ラピダスへの政府委託費は2022〜2026年度の支援上限の累計で2兆3,540億円、IPAによる政府出資は2,500億円、2026年2月の民間32社の出資は1,676億円。ロームと東芝のパワー半導体投資計画への助成上限は1,294億円。
日本の政府資金はどこへ向かうのか。ラピダスへの委託費の支援上限と出資は計約2.6兆円で、2026年2月の民間32社の出資の約16倍、ローム・東芝のパワー半導体助成上限の約20倍になる。

ラピダスの計画では、必要額は研究開発に約2.6兆円、量産投資に約1.6兆円だ3。財源は、政府の委託費と出資、1兆円規模を目指す民間出資、政府の債務保証を使って2兆円以上を目指す民間融資、売上などの自己資金に分ける。2029年度ごろに営業キャッシュフローを黒字にし、2031年度ごろの上場を目指す。約2.6兆円の政府支援は、この1社の2nm量産が成功するかに懸かっている。

ラピダスの出資企業は32社、技術の源流はIBMにある

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ラピダスは2026年2月、政府と民間から総額約2,676億円を調達した5。民間の出資企業は32社で、合計約1,676億円だ。このうちトヨタ自動車、デンソー、ソニーグループ、NTT、日本電気、ソフトバンク、キオクシア、三菱UFJ銀行の8社は追加出資だった。新たにキヤノン、富士通、本田技研工業、日本IBM、日本政策投資銀行が加わり、材料・装置ではJX金属、富士フイルム、ウシオ電機、大日本印刷、地元からは北洋銀行と北海道電力が入った。設立時の73億円と合わせた出資は約1,749億円で、政府の支援決定額は今回の民間分の約16倍に当たる。

出資企業には、ラピダスの顧客になり得る会社と、ラピダスに材料や装置を売る会社が混ざる。自動車、通信、電機の大手はチップの買い手側、材料・装置メーカーと銀行は供給網と融資の側だ。

技術の源流はIBMにある。IBMとラピダスは2022年12月、IBMの2nm技術をラピダスの日本の工場で量産するための共同開発で合意した6。ラピダスの技術者は米ニューヨーク州のAlbany NanoTech ComplexでIBMの研究者と開発を進め、その成果を北海道千歳市の工場IIM-1へ移す。IIM-1は2025年7月、2nmのGAAトランジスタを試作し、動作を確認した7。会社の概要はラピダスの企業研究にまとめている。

2nm半導体のメーカーは4社、量産はTSMCが約2年先行する

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経済産業省は、ラピダスの2nm開発を先端半導体製造技術の開発4と呼ぶ。先端半導体とは、各社の最新世代の工程で作る半導体のことで、いまは2nm世代がその先頭にある。本記事で取り上げる2nm世代のメーカーは4社だ。4社とも、2nm世代のトランジスタはゲートがチャネルを四方から囲むGAA構造になる。FinFETからGAAへの移り方はプレーナMOS、FinFET、GAAの違いで比べている。

メーカー国・地域2nm世代の工程量産開始・発表・計画
TSMC台湾N2(ナノシート)2025年第4四半期に量産開始2
Samsung韓国2nm GAA82026年2月に搭載機Galaxy S26を発表9
Intel米国Intel 18A(RibbonFET、PowerVia)2025年10月に年内の大量生産入りを発表10
Rapidus日本2nm GAA2027年度後半に量産開始の計画3

Samsungは、Galaxy S26に載るExynos 2600を、自社が業界初とする2nm GAA工程8で作る。Intelは18Aで、電源配線をウェーハの裏側へ回す裏面電源のPowerViaを同時に入れた。

2025年から2031年までの横軸に4社の節目を示した年表。TSMCは2025年第4四半期にN2、2026年にA16、2028年にA14、2029年にA13。Samsungは2026年2月に2nm搭載機の発表、Intelは2025年末に18Aの量産入りの計画。Rapidusは2025年7月に2nm試作、2027年度後半に2nm量産の計画、計画から数えて2030年前後に1.4nm。
ラピダスは先頭からどれだけ遅れるのか。2nm量産はTSMCから約2年遅れ、TSMCはその間にA16とA14へ進む。

先頭のTSMCは先へ進み続ける。裏面電源を入れたA16の量産を2026年に計画し11、1.4nm級のA14を2028年に量産に入れる12。2026年の北米技術シンポジウムでは、A13とA12を2029年に量産に入れる13と発表した。ラピダスは2nmの後、2〜3年ごとに1.4ナノ、1.0ナノを量産する3計画だ。SemiMapの計算では、2〜3年ごとの計画から1.4ナノは2030年前後になり、TSMCのA14(2028年)との差は約2年のまま残る。

3ナノは、TSMCが2022年12月に量産を始めた世代だ14。TSMCでは2nmがナノシート型のGAAへ移る最初の世代になる2。1ナノはラピダスが1.4ナノの次に掲げる目標で、TSMCは2029年のA13とA12までを公表している。「2nm」「1.4nm」は工程の世代を識別する名前で、名前と寸法の関係はプロセスノードにまとめた。

ラピダスの勝ち筋は、速さとAI向け2nmの供給不足

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ラピダスの試算では、2030年度の2nm世代の世界市場で供給が需要に対して約10〜30%不足する3。最初の顧客には、AIデータセンター向けのカスタム半導体を設計するファブレス企業を狙う。その後、自動車やロボットなどのエッジ端末へ広げる。

差を付ける手段は製造の速さだ。IIM-1は全工程を枚葉式にし、2025年6月までに200台以上の枚葉式装置を新しい搬送システムで結んだ7。経済産業省の資料によれば、ラピダスは全枚葉式の製造と新しい搬送システムで設計・試作改善・製造の期間を短くし、カスタム半導体を中心に顧客の獲得を目指す3。

経済産業省の2026年7月の報告では、ラピダスは2025年12月に先行評価用の設計キット(PDK)を出し、60社以上の顧客候補と量産に向けた協議を続けている15。一方で、計画の前提は2027年度後半までにトランジスタ性能と歩留まりを顧客が買える水準へ上げることだ。2028年度までに量産の顧客名と出荷量が出てくるかが、約2.6兆円の成否を測る最初の物差しになる。

次世代パワー半導体の大型助成は、ラピダスへの政府支援の約20分の1

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ネット記事では、SiC(炭化ケイ素)、GaN(窒化ガリウム)、酸化ガリウム、ダイヤモンドのような新しい材料の半導体も「次世代半導体」と呼ばれる。こちらの主な用途は電力の変換だ。

政府はこの分野も支援している。経済産業省は2023年12月、ロームのSiCと東芝のSiのパワー半導体への投資計画(総額3,883億円)を認定し、助成は最大1,294億円だ16。ロームの分は、宮崎の工場でSiCの素子とウェーハを作る量産投資だ。ラピダスへの約2.6兆円は、この助成の約20倍に当たる。

材料ごとの性能と量産の壁は、パワー半導体の解説とダイヤモンド半導体の解説にまとめた。

仕事と企業選びは、2nmの量産立ち上げに賭けるかどうかで決まる

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ラピダスは採用を急いでいる。正社員は2026年4月末に1,200人を超え15、千歳市とその周辺には半導体関連企業62社が拠点の設立を決めた。募集職種はラピダスの求人・採用情報で確かめられる。

2027年から2030年にラピダスで働くことは、量産立ち上げの当事者になる機会であり、顧客が増えなければ計画が縮むリスクも負う。量産の遅れに備えてリスクを分けたい人には、出資企業に並ぶ材料・装置メーカーも選択肢になる。ラピダス以外にも顧客を持つ会社なら、2nmの立ち上げに関わりながら売上を複数の顧客に分けられる。政策の全体像は日本の半導体戦略で続けて調べられる。

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    Samsung:Exynos 2600の製品情報semiconductor.samsung.com ab
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