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VOL.04 先端パッケージングの寸法 第 28 回 / 全 42 回

バンプの形と寿命:1 K の冷却は電流密度 2.9% に相当する

バンプの体積を増やして砂時計型から樽型にすると、電流の集中は強まる一方で温度は下がり、2 つが逆向きに効くので寿命には最適な形があります。銅ピラーではめっきの条件がそのまま形になるので、形のばらつきを検査で押さえる必要があります。

22 分 標準 式 7 出典 7

この回の目次(7 節)
  1. §1 体積を増やすと、電流密度と温度が逆へ動く
  2. §2 ブラックの式で、交換比を求める
  3. §3 銅ピラーでは、めっきの条件がそのまま形状になる
  4. §4 形状のばらつきは、検査で拾う
  5. §5 洗いにくさは、ダイの寸法で増える
  6. §6 洗う工程を省く道と、材料を替える道
  7. §7 現場で動く判断

この回で示すこと

  1. 体積を増やすと最大電流密度は上がり、最大温度は下がるので、寿命に内側の最適がある。
  2. ブラックの式から、400 K で 1 K の冷却は電流密度 2.9% と交換できる。
  3. 銅ピラーではめっきの条件がそのまま形になり、洗いにくさはダイの寸法で増える。
1 K の冷却に相当する電流密度(400 K) 2.9 %

バンプを太らせます。電流密度は下がるでしょうか。

同じ電流を流すなら断面積が増えるので、平均の電流密度は下がります。ところが最大値は逆に動くことがあります。

2012 年のバンプ形状がエレクトロマイグレーション下の電流密度と温度分布へ与える影響の研究1が、この逆転を実際に示しています。

体積を増やすと、電流密度と温度が逆へ動く

2012 年の研究1の構成はこうです。3 次元の熱電連成有限要素解析で、形状の別なはんだバンプ接合部の電流密度と温度の分布を求め、平均故障時間(MTTF)を論じています。

結果が 1 文にまとまっています。

「バンプ体積が砂時計型から樽型へ増えるにつれて、最大電流密度は増加したが、最大温度は減少した。」

形状体積最大電流密度最大温度
砂時計型小低い高い
樽型大高い低い

2 つが逆向きに動きます。

最適が内点に出ます。「腰の半径 240 µm の砂時計型バンプが、最も長い平均故障時間を持つ。」

ブラックの式で、交換比を求める

畳むための式がブラックの式です。前節の研究1が平均故障時間という 1 つの量で形状を比べているのも、この式を経由しています。

は電流密度、 は絶対温度、 は電流密度の指数(はんだでは 2 前後)、 は活性化エネルギー。

対数を取って微分します。

寿命が変わらない条件は、右辺がゼロです。

、 eV、 K として

したがって

温度が 1 K 下がるごとに、電流密度を 2.9% 上げても寿命が保たれます。

交換比の使い方

上の関係を表にします( K、、 eV)。

温度の低下許される電流密度の増加
1 K2.9%
5 K15.6%
10 K33.5%
20 K78.5%

10 K 冷やせば、電流密度を 3 分の 1 増やせます。

だから形状の比較は、この交換比を掛けてから行います。

  1. 2 つの形状で、最大電流密度と最大温度を両方求める
  2. 温度差を交換比で電流密度へ換算する
  3. 換算後の値で比べる

注意が 2 つ付きます。

1 つ目は への依存です。 は温度の 2 乗で割られるので、高温ほど交換比が小さくなります。

1 K あたりの電流密度の余裕
350 K3.8%
400 K2.9%
450 K2.3%
500 K1.8%

高温で動かす設計ほど、冷却の見返りが小さくなります。

2 つ目は と の値です。どちらも材料と機構で決まる測定量で、文献値に幅があります。交換比の絶対値より、2 つの形状を同じ と で比べることのほうが確かです。

銅ピラーでは、めっきの条件がそのまま形状になる

形状を選べるなら、どう作るか。2012 年の 300 mm ウェーハにおける銅ピラーバンプの工程特性の報告2が、支配的な製造条件を挙げています。

銅ピラーが採用される理由から始まります。非常に細いピッチのフリップチップ配線と、パッケージ寸法の縮小に対応できるため、携帯機器の多くのパッケージで採用が進んでいる。2.5D インターポーザと 3D IC 集積のパッケージでも、ダイ積層とチップ・インターポーザ間の結線へ適用が広がっている。

工程の要点が 2 段へ割れます。

段制御する量
フォトレジスト塗布とパターニング
電気化学堆積(ECD)めっき浴の温度、めっき電流密度

めっき電流密度が、できあがるピラーの形へ直接入ります。レジストの開口の中で銅が成長するとき、電流密度の分布が成長速度の分布になる。開口の縁で電流が集中すれば、縁が高く盛り上がります。

だから前節の「形状」は、めっきの条件の下流にあります。砂時計型か樽型かを選ぶには、はんだの体積とパッドの寸法だけでなく、ピラーの上面の平坦さが効いてきます。

同じ報告が、高品質・高歩留まりの銅ピラーバンプを 300 mm ウェーハ上で作るための指針を結論として示しています。

形状のばらつきは、検査で拾う

形状が寿命へ乗るなら、形状を測る手段が要ります。2009 年の銅ピラーとマイクロバンプの検査要求と課題の報告3が、この側を追っています。

検査の対象になる量を書き出します。

量なぜ要るか
高さ平坦性。低いバンプは相手に届かないまま
径電流密度の分母
形状前節の と
欠け・異物接合の妨げ

2001 年のバンプ高さが異方性導電フィルムのフリップチップにおける信頼性へ与える影響の研究4が示すとおり、高さそのものが信頼性の変数です。

高さのばらつきが問題になる理由は、最も低いバンプが接触の可否を確定するためです。

平均とは別に、レンジが効きます。液相で押し込み量が消えることを合わせると、溶ける工程ではレンジが吸収され、溶けぬ工程では最後まで残るという区別になります。

洗いにくさは、ダイの寸法で増える

最後に、組み立ての後に残る工程を確かめます。フラックス残渣の除去です。

2007 年のフリップチップダイ下のフラックス残渣除去に関する流体流動の研究5が、難しさの増え方を書いています。

「エリアアレイパッケージは、ダイ寸法が大きくなり、ダイ下のはんだバンプ数が増える方向へ動いている。」そして「I/O 数とダイ寸法が増えるにつれ、ダイ下でフラックス残渣へ浸透し、流れ、溶かす能力は、いっそう難しくなる。」

3 つの動詞が並んでいるのが要点です。

段何が要るか
浸透液がダイ下の隙間へ入る
流れ入った液が動き、汚れを運ぶ
溶かす化学的に残渣を落とす

3 つとも、ダイが大きくなると難しくなります。浸透の距離が伸び、流れの抵抗が増え、滞留時間が長くなる。

洗う工程を省く道と、材料を替える道

フラックス残渣の問題を根元から組み替える道もあります。

1 つ目はフラックスを省くこと。2025 年のフラックスレス熱圧着のパネルレベルへの拡張が示す方向で、残渣そのものがゼロになります。

2 つ目は、はんだの材料を替えることです。2026 年のインジウムバンプによるフリップチップ接合の報告7が対象にするインジウムは、融点が低く延性が高い材料です。低い温度で接合できれば、フラックスの活性度への要求も下がります。

材料を替えると、前半のブラックの式の係数も替わります。 と は材料で決まる量なので、インジウムと錫合金では交換比が別になります。

だから材料の変更は、3 つを同時に動かします。

動く量どこへ乗るか
融点工程温度、液相にいた時間
延性熱疲労、高さのばらつきの吸収
、エレクトロマイグレーションの交換比

現場で動く判断

  1. 形状1・めっき条件2・洗浄5の 3 段を、1 枚の表で持ちます。3 つとも、ダイ寸法が大きくなると同じ向きへ厳しくなります。
  1. 形状を比べるときは、最大電流密度と最大温度を両方求めます。体積を増やすと 2 つは逆へ動きます。2 つ揃って初めて、寿命の向きが決まります。
  1. 交換比は です。、 eV、400 K で 1 K あたり 2.9%。10 K 冷やせば 33.5% の電流密度が買えます。
  1. 高温で動かす設計ほど、冷却の見返りが小さくなります。350 K で 3.8%、500 K で 1.8%。 で割られるためです。
  1. と の絶対値より、同じ値で 2 形状を比べることを優先します。文献値に幅があるので、絶対の寿命より相対の順位のほうが確かです。
  1. 形状はめっきの条件の下流にあります。めっき浴の温度とめっき電流密度が、ピラーの形へ直接入ります。
  1. 高さは、平均とは別にレンジで測ります。接触に要る押し込み量は 。溶ける工程ではレンジが吸収され、溶けぬ工程では最後まで残ったままです。
  1. 洗浄時間は で伸びます。ダイが 3 倍、ギャップが半分で 18 倍。幾何が固定なら、粘度と溶解速度で吸収します。
  1. 材料を替えると、3 つが同時に動きます。融点、延性、そしてブラックの式の と 。交換比も引き直します。

出典

  1. 1 Effect of Bump Shape on Current Density and Temperature Distributions in Solder Bump Joints under Electromigration (2012) doi:10.4028/www.scientific.net/amr.569.82
  2. 2 Copper Pillar Bump Process Characterization on 300mm Wafers (2012) doi:10.37665/ppaygwp61921
  3. 3 Copper Pillar and Micro Bump Inspection Requirements and Challenges (2009) doi:10.37665/wafpnpy51039
  4. 4 The effects of bump height on the reliability of ACF in flip-chip (2001) doi:10.1108/09540910110361686
  5. 5 Fluid Flow Studies for Removing Flux Residue Under Flip Chip Die (2007) doi:10.37665/waasogm82454
  6. 6 Effect of Cleaning Process Parameters and Materials on Flux Residue for Flip Chip Assembly (2005) doi:10.37665/smdrbbj14080
  7. 7 Indium Bump Interconnect (IBI) Flip Chip Bonding (2026) doi:10.4071/001c.167032