SemiMapサイト内検索

VOL.04 先端パッケージングの寸法 第 30 回 / 全 42 回

配線層数とバンプピッチ:14 層なら線幅 12.7 µm で頭打ち

バンプの隙間を通せる配線の本数と層数で、配列の外まで引き出せる列数が決まります。全部の列を引き出せた時点で、それ以上層を増やしても線を細くしても効かなくなり、細い線の限界は露光より先にレジストの倒れで来ます。

23 分 標準 式 4 出典 6

この回の目次(7 節)
  1. §1 隙間を通る本数は
  2. §2 辺が に達すると、層数と線幅の寄与がゼロになる
  3. §3 バンプピッチの壁は、接合の方式が作っている
  4. §4 層数と線幅の伸びしろは、桁が別
  5. §5 細い線の上限は、露光より手前の倒れ
  6. §6 面のうち細い部分だけを高価にする
  7. §7 現場で動く判断

この回で示すこと

  1. 隙間を通る本数は で、外へ出せる列数はその層数倍。
  2. 配列の辺がその 2 倍に達すると、層数と線幅の寄与はゼロになる。バンプピッチ 130 µm・20 mm 角では 14 層・線幅 12.7 µm が境目。
  3. 細い線の上限は、露光より手前のレジストの倒れで決まる。
14 層での線幅の境目(ピッチ 130 µm・20 mm 角) 12.7 µm

基板の配線が詰まったとき、最初に出る案は「層を増やす」です。層数の寄与がゼロになる領域があります。

理由は、配線が通る場所がバンプとバンプの隙間までだからです。隙間の幅を線幅で割った本数が、1 層あたりの通行量。そこへ層数を掛けたものが、面から外へ出せる列数になります。

配列の辺がその 2 倍に達した時点で、全部のバンプが外へ出ます。そこから先で層数と線幅が買えるものは、ゼロです。

隙間を通る本数は

バンプのピッチを 、パッドの直径を 、配線のピッチ(線幅+間隔)を とします。

隣り合うバンプのあいだに残る幅は 。そこを通せる本数は

層数を とすると、外側から逃がせる列数は

基板
ビルドアップ130 µm60 µm20 µm31442
ビルドアップ(微細)130 µm60 µm10 µm71498
再配線層40 µm20 µm0.8 µm254100
再配線層(0.4 µm)40 µm20 µm0.4 µm504200

層数 14 の 42 列に対して、層数 4 の 100 列。層は 3.5 分の 1 なのに、列は 2.4 倍。差を作っているのは のほうです。

この は、配線の自動化でも中心的な量です。2026 年の多容量の順序付きエスケープ配線1は、従来の手法が「隣り合うピンのあいだの配線容量を 1 本と仮定していた」点を出発点にしています。容量が複数本ある場合へ拡張した探索手法で、50×50 のピン配列の問題に対して成功率を 4 倍、求解時間を半分にしたと報告しています。

「隙間に何本通るか」が、そのまま探索問題の難しさを決めていた。

辺が に達すると、層数と線幅の寄与がゼロになる

配列の側を入れます。1 辺 の面に、ピッチ で正方配列を作ると 1 辺の個数は 。

外側から 列ぶんが逃がせるので、逃がせる総数は

2 つの領域があります。

領域条件外へ出せる数層数と線幅の寄与
エスケープ律速 にも にも比例
バンプ律速どちらもゼロ

境目は です。これを と について解くと

mm で数を入れます。

境目の での線幅 での線幅
130 µm60 µm1.10 /µm12.7 µm3.6 µm
40 µm20 µm12.5 /µm1.12 µm0.32 µm
10 µm5 µm200 /µm0.070 µm0.020 µm

バンプピッチ 130 µm の基板では、14 層で線幅 12.7 µm に達した時点で全部逃がせます。そこから層を増やしても線を細くしても、逃がせる数は のまま。

バンプピッチが壁になっている。50×50 のピン配列を対象にした配線探索1の規模も、この の桁に立っています。

バンプピッチの壁は、接合の方式が作っている

天井を動かすには、バンプピッチを詰める必要があります。そこには別の物理が立っています。

2024 年のインプリント技術による 10 µm ピッチの配線とバンプの形成2が、この壁を明示しています。フリップチップ接合の最小バンプピッチは、チップと基板の熱膨張率の差による伸縮の差で制限される。そのため従来のはんだを使う技術では、35 µm 以下の接合ピッチがきわめて難しい。

だからピン数の多い異種チップの統合は、シリコン貫通ビアを使う 2.5D の側へ回った。同じ研究は、その製造技術が本質的に高価な工程であることも指摘しています。

提案されているのは別の道です。導電ペーストをバンプとして使う低温フリップチップ接合で、インプリント法により配線とバンプをピッチ 10 µm で同時に形成する。非導電ペーストを塗布し、フリップチップ接合し、140 °C で硬化させて接合強度を上げ、導電ペーストの抵抗を下げる、という流れです。

方式到達バンプピッチ律速
はんだのフリップチップ35 µm熱膨張率差による伸縮の差
シリコン貫通ビアの 2.5D40 µm 以下工程費用
インプリント+導電ペースト10 µm硬化温度と接触抵抗

上の表の µm の行が、ここで意味を持ちます。境目の が 200 /µm なので、4 層なら線幅 20 nm。横へ引き出す設計では届きません。

だから細いバンプピッチは、横へ引き出す代わりに縦へ積む設計と組みます。2 つの技術が一緒に来る理由が、この割り算にあります。

層数と線幅の伸びしろは、桁が別

エスケープ律速の領域では、 と が同じ重みで乗ります。伸びしろの大きさが別です。

2026 年の 1 µm 多層高密度ビルドアップ基板の報告3が、業界の要求を 2 つの数で挙げています。最小寸法は 1 µm 以下へ、層数は 30 を超えて。

同じ報告は、最初の製品が 1 µm の最小寸法と 2 層で出たことも書いています。細さが先に来て、層数が後から来る。

2 つの軸の走ってきた幅を表にします。

軸過去現在倍率
層数 8303.75 倍
線幅 20 µm1 µm20 倍

同じ重みで乗る 2 つの軸のうち、片方が 20 倍で片方が 3.75 倍。どちらへ投資してきたかが、この比に出ています。

層数の側には固有の壁もあります。層を 1 枚足すたびに歩留まりが掛け算で落ちるので、30 層は 1 層あたり 99.9% でも全体 97%。線幅の側は 1 枚の中の話なので、この掛け算には入っていません。

細い線の上限は、露光より手前の倒れ

線幅の側にも固有の壁があります。解像度より先に、形が保てなくなる。

2026 年のパネルレベル再配線層インターポーザ作製におけるドライフィルムレジストのパターン倒れ防止の研究4が、この壁を追っています。ドライフィルムレジストは、現像後に水とレジストの親水的な相互作用でパターンが倒れやすい。

対処として提案されていた「すすぎによる疎水化」を、3 種類の薬剤で比べています。

すすぎ表面自由エネルギーパターン倒れ機械強度
TMAC下がる(疎水化)悪化低下
CTAC下がる(疎水化)悪化低下
BHAC下がる(疎水化)防げた向上

3 つとも疎水化には成功していて、結果が逆を向いています。疎水性が上がるという同じ指標の中で、倒れが悪化する薬剤と防げる薬剤に割れた。

原因は機械側でした。ナノインデンテーションで機械強度を測ると、BHAC だけが強度を上げている。レジスト内部の水素結合が強まり、見かけの架橋密度が上がったため、と結論されています。

疎水化という 1 つの指標で選んだら、3 分の 2 を外していたことになります。倒れは表面の濡れ性と内部の強度の両方で決まる量でした。

構造の側から攻める道もあります。2016 年の有機インターポーザ向け超微細トレンチ配線工程の提案5は、レジストで柱を立てる代わりに溝を掘って埋める方向です。柱がゼロなら、倒れる対象もゼロです。

面のうち細い部分だけを高価にする

最後に、費用の側です。

細い線は面積あたりの費用が高いので、細い線を要する面積を小さくすれば費用が下がります。

20 mm 角のチップを 2 つ横に並べた場合で数えます。

方式細線の必要面積比
全面のインターポーザ45 × 25 = 1125 mm²1.00
継ぎ目だけの橋20 × 2 = 40 mm²28 分の 1

細線の面積が 28 分の 1 になります。高密度の配線が要るのは、2 つのチップが向かい合う辺の近くまでだからです。

2024 年の 2.3D 有機インターポーザパッケージにおけるダイ間リンクの設計とシミュレーション6が、この中間の形を追っています。高密度ファンアウトの銅再配線層で隣接する IC どうしと下の基板をつなぐ、逐次的に製造する銅とポリイミドの積層です。

同じ研究は、電気的な条件も出しています。複数の再配線層の配置を比べ、信号と接地を互い違いに配置した構成が 3 次元電磁界解析と回路シミュレーションの信号品質の条件を満たした、と。

細線の面積を減らす設計は、接地の取り方の設計とひとつながりです。幅を惜しむほど、信号の隣へ入れる接地の本数が減る。

現場で動く判断

  1. 隙間を通る本数は です。130 µm・パッド 60 µm・線幅 20 µm で 3 本。この 1 行が、層数の議題より先に来ます。
  1. 逃がせる列数は です。14 層 × 3 本 = 42 列に対して、4 層 × 25 本 = 100 列。層を 3.5 分の 1 にしても、列は 2.4 倍になります。
  1. 境目は です。 mm・ µm なら、14 層で線幅 12.7 µm。そこから先は、層数と線幅の寄与がゼロになります。
  1. 天井は です。130 µm で 23,409、40 µm で 250,000。天井を動かせるのはバンプピッチだけです。
  1. はんだのバンプピッチは 35 µm で止まります。熱膨張率差による伸縮の差2が律速。インプリントと導電ペーストで 10 µm2という別の道があります。
  1. 10 µm のバンプが通るのは、縦へ積む設計と組んだときまでです。横へ引き出すには 4 層で線幅 20 nm が要るからです。2 つの技術が一緒に来る理由です。
  1. 層数と線幅の伸びしろは桁が別です。最小寸法 1 µm 以下・層数 30 超3という要求に対して、線幅は 20 倍、層数は 3.75 倍。層は歩留まりの掛け算も背負います。
  1. 細い線の上限は、解像度より先に倒れで来ます。疎水化に成功した 3 薬剤のうち、倒れを防げたのは 1 つ4。選ぶ指標は表面自由エネルギーより、機械強度の側です。
  1. 柱をゼロにする道もあります。溝を掘って埋めるトレンチ配線5。レジストの柱を立てる工程とは、別の壁に当たります。
  1. 細線の面積は 28 分の 1 まで縮みます。高密度を 2 チップの継ぎ目に限る形です。信号と接地を互い違いにする構成6と、幅の設計がひとつながりになります。

出典

  1. 1 MCMC-Escape, Multi-Capacity Ordered Escape Routing Based on Monte-Carlo Tree Search (2026) doi:10.1145/3795522
  2. 2 10 micron Pitch Wiring and Bump on Substrate Formed by Imprinting Technology to Apply Low Temperature Flip Chip Bonding (2024) doi:10.4071/001c.117002
  3. 3 1um Multi-Layer High Density Build Up Substrates (2026) doi:10.4071/001c.167499
  4. 4 Wet Surface Treatment for Preventing Pattern Collapse of Dry-Film Photoresist in Panel-Level Redistribution Layer Interposer Fabrication (2026) doi:10.3390/polym18182249
  5. 5 Proposal of Ultra-fine and High Reliable Trench Wiring Process for Organic Interposer (2016) doi:10.4071/isom-2016-wa23
  6. 6 Die-to-Die Interconnect Design and Simulation for 2.3D Organic Interposer Package (2024) doi:10.4071/001c.116400