キヤノンIAP、量産へ残る気泡と離型の課題平坦度はIntelが測定済み
CanonのIAPの平坦度は、Intelの評価で測られている。Intelの技術者は2026年9月のJM3誌の論文で1、パターン密度15%と75%の領域をまたぐ露光前の局所段差が、炭素ハードマスク系のほかの平坦化の10分の1になったと報告した。この評価はIntel1社による、炭素ハードマスクの層についてのものだ。
一方、量産に向けた条件は、Canon自身の特許に「望ましい」「起こりうる」「できる」という形で書かれている。つまり、液を広げるときに気泡を閉じ込めないのが望ましいこと、板を離すときに端で固まった材料が板に残りうること、縮みが小さく分解しにくい膜の組成を作れることだ。IAPの仕組みと、どの工程に入るかはCanon IAPの入門記事にまとめている。
Canonの特許は、押し当てで閉じ込める気泡を未充填の起点に挙げる
Section titled “Canonの特許は、押し当てで閉じ込める気泡を未充填の起点に挙げる”IAPは、ウェーハ上に置いた多数の滴を平らなガラス板で押し広げ、1枚の液膜にする。滴を吐くには材料の粘度が低い必要があり、Canonの特許は実施形態として23°Cで50 mPa·s以下の組成2を示す。別の特許は、充填を板と基板の間に空気やガスの泡を閉じ込めずに均一に進めるのが望ましく、それで未充填の欠陥を減らせる3と書く。
パーティクルについては、NILからの類推になる。CanonはNILで、型とウェーハの間に挟まったパーティクルがデバイスの不良だけでなく型のパターンの損傷も起こす4と説明し、超高性能フィルター、装置内の空気の流れの設計、パーティクル除去ユニット、エアカーテンで対策してきた。IAPも板をウェーハに押し当てる構造なので、同じ種類の欠陥が起こりうると類推できる。NILの欠陥密度の推移と量産の目標は、Canonのナノインプリントの記事で扱っている。
IAPの板は、ウェーハ1枚をまとめて押す大きさだ。別の特許は、板の面積を基板の90%以上、または同じかそれ以上としている5。NILが26 mm×33 mmの領域ごとに型を押すのに対し、IAPではウェーハ全面が一度に板に触れる。
Canonの特許は、離型で端の硬化材料が板に残る例を挙げる
Section titled “Canonの特許は、離型で端の硬化材料が板に残る例を挙げる”板を離す段にも欠陥の起点がある。Canonの特許によれば、硬化後に板を離すと、端からはみ出して固まった材料が板に残ることがある5。特許によれば、積もった材料はやがて剥がれ、後に処理するウェーハの欠陥になりうる。この特許は、板の面取りした端に、可視光の反射率30%超、紫外線の吸収率70%超の層を付け、端の材料を固まらせない構造を示し、板の寿命を延ばせると書く。
Canonの特許は、加熱と後工程に耐える膜の組成を例に示す
Section titled “Canonの特許は、加熱と後工程に耐える膜の組成を例に示す”IAPの膜は、固めた後も工程に残る。Canonの特許は、硬化膜をガラス転移点を超え、融点に近い温度で焼くことが多い2と書き、高い耐熱性と小さな縮みを求める。別の特許は、高いエッチング耐性、高い耐熱性、後の工程での小さな縮み6を持つ材料の必要を述べ、実施形態として、光硬化後の線方向の縮み6%以下、熱分解の開始温度300°C超、炭素含有率70%以上にできる組成を示す。
縮みは平坦度にも跳ね返る。IAPの膜は凹部の上ほど厚いので、膜が縮むと凹部の上ほど多く下がり、平らだった上面に段差が戻る。その大きさの見積もりはIAPの滴の置き方と平坦度で扱っている。
材料の開発にはCanon以外も加わっている。MerckグループのEMD Electronicsは、2026年2月のSPIE Advanced Lithography + PatterningでIAP材料の開発を講演した7。
NILでは欠陥密度とマスク寿命が量産採用の条件になった
Section titled “NILでは欠陥密度とマスク寿命が量産採用の条件になった”Canonは、ロジックとメモリーに向けてIAP装置を2027年中に製品化する8目標を掲げる。平坦度の数字は、Intelの評価で出ている。
NILでは、量産ラインでの欠陥密度とマスクの寿命が量産採用の条件になった。IAPでこれに当たるのは、欠陥検査で数えた欠陥密度と、同じ板で何枚まで押せるかの数字だ。
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- 2Canon特許:耐熱性を高めたIAP用光硬化材料(US11945966B2、2024年4月)patents.google.com ab
- 3Canon特許:IAPの平坦化装置と気泡のない充填(US11869813B2、2024年1月)patents.google.com ↩
- 4Canon:ナノインプリントリソグラフィのパーティクル対策global.canon ↩
- 5Canon特許:IAP用の板と端の硬化防止層(US12195382B2、2025年1月)patents.google.com ab
- 6Canon特許:IAP用光硬化材料の収縮・耐熱・エッチング耐性(US12428508B2、2025年9月)patents.google.com ↩
- 7EMD Electronics:SPIE 2026でのIAP材料開発の発表emdgroup.com ↩
- 8Canon:インクジェット方式のウエハー平坦化技術IAPを実用化(2026年1月)global.canon ↩