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ソニー2層トランジスタ画素の初搭載機|初搭載はXperia 1 Vの主カメラ

Sonyの2層トランジスタ画素とは、フォトダイオードと画素トランジスタを上下の別の層に分けた画素構造を指す。この画素は、2021年12月16日の技術発表1から約17か月後の2023年5月11日に、Sony ElectronicsがXperia 1 Vの主カメラの積層CMOSイメージセンサーとして発表した2。米国での最初の出荷は2023年7月28日だった。一方、2026年10月に閲覧したSonyのスマートフォン向けセンサー「LYTIA」の製品一覧3に並ぶ型番15個のうち、2層画素(2-Layer Pixel)の欄に印が付くのはLYTIA T808だけだ。

一覧で2層画素の印が付くT808の画素は1.12 µmだ。Sonyは2層トランジスタ画素を、画素を小さくしても撮像特性を大きく改善できる構造4と位置づける。Sonyの技術者の論文は、0.7 µm、1.0 µm、0.6 µmの画素でこの構造を試作している。仕組みの基本は2層トランジスタ画素の入門記事にまとめた。

2層トランジスタ画素の学会論文と製品を年ごとに並べた図。上の段は学会論文で、2021年のIEDMで0.7マイクロメートル画素の試作、2022年のVLSIで1.0マイクロメートル画素の飽和信号量12,000電子、2023年のVLSIでノイズ15%減とIISWで0.6マイクロメートル画素。下の段は製品で、2021年12月に技術を発表、2023年5月にXperia 1 Vの主カメラに搭載、2026年のLYTIAの一覧で型番15個のうち2層画素はT808の1型番。
技術発表から約17か月後に製品が発表され、2021年から2023年の学会論文はT808より小さい画素の試作を報告している。

最初の製品は、2023年5月発表のXperia 1 Vの主カメラだった

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Sony Electronicsは2023年5月11日、Xperia 1 Vを2層トランジスタ画素の積層CMOSイメージセンサーを載せた初めての旗艦スマートフォン2と発表した。センサーの名前は「Exmor T for mobile」で、24 mmのレンズの主カメラに使う。センサーはXperia 1 IVの約1.7倍の大きさだ。米国では同日に予約を受け付け、価格は約1,399.99ドル、最初の出荷は7月28日とした。

Sony Electronicsは、Xperia 1 Vの新しいセンサーについて、暗所性能が約2倍、飽和信号量が約3倍2と説明する。比べる相手は前機種Xperia 1 IVの24 mmレンズ用センサーで、センサーの大きさも違う。Sony Semiconductor Solutionsが画素構造の効果として示す1 µm角換算で飽和信号量が約2倍は4、これとは別の比較である。

技術発表から製品の発表までは約17か月だった。Sonyの技術者は2021年12月11日に始まったIEDM 2021で5、画素ピッチ0.7 µm、6752×4928画素の裏面照射型センサーを試作して動作を確かめたと報告している。画素チップと回路チップをつなぐSonyの量産技術は、hybrid bondingの量産の記事で扱っている。

2026年のLYTIAの一覧で2層画素の印が付くのは、型番15個のうちT808だけ

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Sony Semiconductor Solutionsは、スマートフォン向けのイメージセンサーをLYTIAのブランドで売る。2026年10月に閲覧した製品一覧には3、光学サイズ、画素サイズ、有効画素数とともに「2-Layer Pixel」の欄がある。一覧に並ぶ型番15個(710と700Cは1行に併記)のうち、この欄に印が付くのはLYTIA T808(1/1.43型、画素1.12 µm、5,200万画素)だけだ。

機種光学サイズ画素サイズ有効画素数一覧に載る主な機能
LYTIA T8081/1.43型1.12 µm5,200万2層画素、DCG-HDR、全画素AF
LYTIA L9101/1.28型1.22 µm5,000万Luminous HDR、TCG w/LOFIC、UHCG
LYTIA 9011/1.12型0.7 µm2億HF-HDR、DCG-HDR
LYTIA 9001/0.98型1.6 µm5,000万DCG-HDR

同じ一覧で、L910には「Luminous HDR」の印があり、Sonyはこれを1回の露光で16 EVのダイナミックレンジを得る性能と注記している。同じページは、1回の露光でためた電荷を3つの利得で読み出して合成するUHCG w/3HDRも、白飛びと黒つぶれを抑える機能として紹介する。一覧の上では、ダイナミックレンジを広げる手段として、2層画素のほかにこうした機能が並んでいる。

学会論文は、T808の1.12 µmより小さい0.6〜1.0 µmの画素で試作を報告している

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Sonyの技術者は2021年から2023年にかけて、T808の1.12 µmより小さい画素で2層トランジスタ画素を試作した論文を出している。

2022年6月のVLSIシンポジウムでは、画素1.0 µmのデュアルPD構造で飽和信号量12,000電子を示した6。画素を分離する溝の埋め込みを多結晶シリコンから酸化シリコンに替え、波長530 nmの量子効率を19%上げたとも報告している。

2023年6月のVLSIシンポジウムでは、画素トランジスタ層に不純物を入れないフィン型トランジスタを使い、相互コンダクタンスを2.42倍にし、ランダムノイズを15%、ランダムテレグラフ信号を99.3%減らした7。2023年のIISWでは、画素0.6 µmで飽和信号量8,000電子、ランダムノイズ0.99電子、ダイナミックレンジ78.1 dB8を報告した。

Samsungも2023年12月のIEDMで、フォトダイオード、画素トランジスタ、回路をそれぞれ別のウェーハに作って重ねる画素0.5 µm、6,400万画素の3層積層センサー9を発表した。画素の中でフォトダイオードとトランジスタを別の層に分ける考え方は、Sony以外の論文にも出ている。製造方法の違いは2層トランジスタ画素の製造工程の記事で比べた。

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