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ソニー2層トランジスタ画素の作り方|課題は耐熱接合と深いコンタクト

Sonyの2層トランジスタ画素は、加工済みのウェーハどうしを貼るのではなく、フォトダイオードを作った層の上に2層目のシリコンを貼り合わせ、その層に画素トランジスタを作る「3D順次積層」で作る。Sonyの技術者はIEDM 2021の論文で1、この製造に必要な新しい工程技術として、熱に安定な貼り合わせと深いコンタクトを挙げた。3D順次積層とは、下の層の上で上の層の素子を順に作る製造法を指す。この方法で画素を上下に分けるには、貼り合わせと層を貫く深いコンタクトという、1層の画素にはない工程が要る。

その後の論文で改良の中心になったのは、層をつなぐ接続と、電荷を電圧に変えるフローティングディフュージョン(FD)の容量だ。Sonyは複数のFDをまとめてつなぐ接続を導入し、2023年のIISWでは、この接続を埋め込み型にしてFDの容量を46%減らした2。さらにフィン型の画素トランジスタでFDを共有する画素の単位を縮め、従来のサブローカル接続を使う構造に比べて変換利得を2.26倍、ランダムノイズを67%減らしたと報告した。画素構造の基本は2層トランジスタ画素の入門記事にまとめた。

上の層のトランジスタは、貼り合わせの後に作る

Section titled “上の層のトランジスタは、貼り合わせの後に作る”

Sonyの論文によれば、2層トランジスタ画素の1層目のシリコンにはフォトダイオードと転送ゲートを作り、画素どうしを溝で完全に分ける。2層目には増幅トランジスタ、選択ゲート、リセットゲートと、上下をつなぐ深いコンタクト2を置く。この2層を作る方法として、Sonyは3D順次積層の工程1を開発した。

3D順次積層は、別々に作ったウェーハどうしを貼り合わせる方法とは順番が違う。テキサスA&M大学の研究者のレビュー論文は3、順次積層では貼り合わせの前に上の層を加工しておく必要がなく、下の層の上で上の層の素子を作ると説明する。同じレビューは、上の層を作る熱処理で下の層の素子を傷めないことを、順次積層の課題に挙げている。

画素の中でフォトダイオードとトランジスタを別の層に分ける2つの作り方を左右に比べた図。左はSonyの3D順次積層で、1層目にフォトダイオードと転送ゲートを作り、2層目のシリコン層を貼り合わせ、貼った層に画素トランジスタを作る。上下は深いコンタクトでつなぐ。論文が挙げる課題は熱に耐える貼り合わせ、深いコンタクト、FDの容量。右はSamsungの3枚のウェーハ積層で、フォトダイオード、画素トランジスタ、回路を別々のウェーハに作って重ね、上下は画素内のCu-Cu接合と深いコンタクトでつなぐ。論文が挙げる課題はボイド、銅パッドの高さ、深いコンタクト、接合後のゆがみ。
Sonyは貼り合わせた層にトランジスタを作り、Samsungは加工済みの3枚のウェーハを重ねる。課題として、Sonyの論文は熱と深いコンタクトを、SamsungのECTC論文は接合の品質を挙げる。

この順番では、2層目のトランジスタを作る熱処理が、すでにできている1層目のフォトダイオードにかかる3。Sonyの論文が新しい工程技術の1つ目に挙げるのは、熱に安定な貼り合わせだ。下の層が耐えられる熱処理の温度と時間の総量は、サーマルバジェットと呼ばれる。熱処理の種類と時間の関係はアニールとサーマルバジェットの記事で扱っている。

深いコンタクトは、FDの容量を増やす

Section titled “深いコンタクトは、FDの容量を増やす”

2層に分けると、各画素のフォトダイオード側と2層目のトランジスタを、層を貫く深いコンタクトでつなぐ必要がある。テキサスA&M大学のレビュー論文は3、多数の深いコンタクトがFDの容量を増やし、変換利得を下げると整理している。FDの容量が大きいと、同じ電荷から得られる電圧が小さくなり、ノイズの影響が相対的に大きくなる。

Sonyはこの問題に、接続の形を変えて対処してきた。2022年のVLSIシンポジウムでは、複数のFDをまとめてつなぐサブローカル接続を導入して、変換利得とランダムノイズを改善した4。2023年のIISWでは、この接続を1層目のシリコン表面ではなく側壁に接する埋め込み型に変え、配置と深さを最適化してFDの容量を46%減らした2。FDを共有する画素の単位は、フィン型の画素トランジスタを採用して2×4から2×2に縮めた。埋め込み接続と共有単位の変更を合わせて、従来のサブローカル接続を使う構造に比べて変換利得は2.26倍、ランダムノイズは67%減った。

発表工程の変更報告された結果
IEDM 20213D順次積層、熱に安定な貼り合わせ、深いコンタクト画素0.7 µm、6752×4928画素で動作を確認
VLSI 2022画素分離の溝を酸化シリコンで埋める、サブローカル接続画素1.0 µmで飽和信号量12,000電子、波長530 nmの量子効率19%増
VLSI 2023不純物を入れないフィン型の画素トランジスタランダムノイズ15%減、ランダムテレグラフ信号99.3%減
IISW 2023埋め込みサブローカル接続、フィン型トランジスタ、縦型転送ゲート画素0.6 µmで飽和信号量8,000電子、ランダムノイズ0.99電子

2層目と1層目で、別々に工程を最適化できる

Section titled “2層目と1層目で、別々に工程を最適化できる”

上下に分けると、1層目と2層目の工程を別々に選べる。2022年の論文では、画素を分ける溝の埋め込み材を従来の多結晶シリコンから酸化シリコンに替え、溝が光を吸わないようにして波長530 nmの量子効率を19%上げた4。IISW 2023の論文は、2層構造で転送ゲートを置ける面積が広がり、溝で画素を完全に分けたことで、転送ゲートを電荷の取り残しと飽和信号量だけを見て設計できるようになったと書いている。

2層目では、トランジスタの形そのものを変えている。2023年のVLSIシンポジウムでは、チャネルに不純物を入れない2本フィンのフィン型トランジスタを画素トランジスタに使い、相互コンダクタンスを2.42倍にし、ランダムノイズを15%、ランダムテレグラフ信号を99.3%減らした5。

Samsungは3枚のウェーハを画素内のCu-Cu接合で重ねた

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画素の中でフォトダイオードとトランジスタを分ける方法は、3D順次積層だけではない。Samsungの技術者は2023年12月のIEDMで、上のウェーハにフォトダイオードと転送ゲート、中のウェーハに画素トランジスタ、下のウェーハにアナログ回路と論理回路を作った、画素0.5 µm、6,400万画素のセンサー6を発表した。従来構造に比べてランダムテレグラフ信号ノイズを85%減らし、飽和信号量は6,000電子を超えたという。

Samsungの方法では、ウェーハを貼り合わせる工程そのものが課題になる。2024年のECTCで、Samsungの技術者はシリコンを貫く深いコンタクトと、画素内の銅どうしの直接接合を使う3枚積層の工程7を報告し、4つの改良を挙げた。接合面を平らにしてボイドをなくすためのCMPと銅パッドの配置密度の調整、熱膨張を考えた銅パッドの高さの決め方、変換利得を上げるための深いコンタクトの寸法と側壁酸化膜の見直し、そして後のリソグラフィーと積層に備えた接合後のゆがみの抑制だ。ボイドの原因と洗浄はhybrid bondingのボイドの記事、位置ずれが歩留まりと信頼性に与える影響はhybrid bondingの位置ずれの記事で扱っている。

Sonyの論文が新しい工程として挙げるのは、熱に安定な貼り合わせと深いコンタクトだ。SamsungのECTC論文が挙げるのは、ボイド、銅パッドの高さ、接合後のゆがみといった接合の品質と、深いコンタクトだ。深いコンタクトは両社の論文に出てきて、Sonyの論文はFDの容量、Samsungの論文は変換利得とノイズとの関係で改良している。

両社の論文に出てくる工程は、貼り合わせ、深いコンタクト、溝の埋め込み、フィン型トランジスタにわたる

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ここで挙げた論文から工程を拾うと、Sonyの論文には熱に安定な貼り合わせ、層を貫く深いコンタクト、酸化シリコンで埋める画素分離の溝、フィン型の画素トランジスタが出てくる。SamsungのECTC論文には、接合面を平らにするCMP、銅パッドの配置密度と高さ、接合後のゆがみの抑制が出てくる。2層の画素を作る工程開発は、これらの工程にまたがる。画素チップと回路チップを銅の端子でつなぐ量産の事例はhybrid bondingの量産の記事で扱っている。

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