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講座集 / 信頼性と試験の統計 / 第 6 回

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VOL.05 信頼性と試験の統計 第 6 回 / 全 31 回

界面剥離の評価:4 点曲げでは亀裂長さを測らずに済む

界面の剥がれにくさを測る 4 点曲げ試験は、荷重の平らな部分を読むだけで、亀裂の長さを測らずにエネルギー解放率が出ます。実験室で測った値を実機へ持ち込める条件と、亀裂先端の特異性を解かずに同じ量を出す VCCT の中身を扱います。

24 分 標準 式 17 図 4 出典 8

この回の目次(8 節)
  1. §1 「実験室の値を実機に使ってよい」の前提
  2. §2 相似則が無いと、どうなるか
  3. §3 応力拡大係数のほうは、特異性を正面から解く
  4. §4 VCCT は、特異性を無視できる
  5. §5 式の中身は、「力 × 変位 ÷ 2 ÷ 面積」だけ
  6. §6 端の節点は、半分だけ数える
  7. §7 使い分け
  8. §8 実務での使い方

この回で示すこと

  1. 内側の荷重線間ではモーメントが一定で、ひずみエネルギーに亀裂長さが 1 次でしか入らず、 が定常値になる。
  2. 実験室の を実機へ持ち込めるのは線形弾性の界面だけで、はんだは非弾性ひずみエネルギー密度の寿命式で扱う。
  3. MVCCT の中身は、力 × 相対変位 ÷ 2 ÷ 面積だけ。

「この界面はどれくらい強いですか」と聞かれて、1 つの数で答えられるでしょうか。答えられるとすれば、その数は試験片の形や大きさを変えても同じであることが要ります。その数は何で、そしていつまで持ち込んでよいのか。

異種材料界面の密着性を測る標準手法が 4 点曲げ(4PB)剥離試験です。異種材料界面の破壊抵抗を測るための試験片を提案した 1989 年の論文1が出発点で、破壊靭性と臨界エネルギー解放率を測ります。同じ論文は有限要素法で、応力拡大係数と中央点変位が、試験片の寸法・弾性定数・亀裂長さでどう動くかを調べ、Al/PMMA の模型系で実証しています。

なぜ 4 点曲げなのか。3 点曲げではだめなのか。

理由は 1 つです。内側の 2 本の荷重線のあいだでは、曲げモーメントが一定だから。

亀裂が内側の荷重線のあいだにある限り、亀裂は一定モーメント条件にあります。

だから、ひずみエネルギー解放率が定常値になります。「界面亀裂長さが梁の上層の厚みより十分に大きければ、少なくとも定常特性を示すことが期待される」。

亀裂の上側の梁のひずみエネルギーは無視できるので、未き裂部と、き裂下部の下側梁だけを考えればよい。

この がどこから来るかを 2 段で出します。曲げモーメント を受ける Euler-Bernoulli 梁の曲率は

がヤング率、 が断面二次モーメント(単位 m⁴)。単位長さあたりのひずみエネルギーは「モーメント × 曲率 ÷ 2」で、これは弾性ばねの と同じ形です。。平面ひずみでは を に置き換えるので

は加えたモーメントで、亀裂長さは式に入っていません。

ここが定常性の正体です。き裂が 伸びるとは、「長さ ぶんの未き裂梁が、き裂ありの梁に置き換わる」ことです。だから亀裂長さ まで進んだ時点で解放されている総エネルギーは、単位幅あたり 。 はその 微分なので

は 1 次で入るだけなので、微分すると消えます。一定モーメントの区間にいるかぎり、どこまで伸びても同じ量が解放される。3 点曲げでは が位置によって動くので、 が に依存してしまい、この打ち消しが消えます。

図 01
A. 内側の 2 本の荷重線のあいだは、モーメントが一定 界面亀裂 亀裂は内側の荷重線のあいだに、上層の厚みより十分長く 曲げモーメント M M が一定 U = M²(1 − ν²) / (2EI) 亀裂長さ a は式の外 B. 取るのは荷重のプラトーだけ プラトー 荷重 変位 この荷重から M を求める 亀裂長さは測らずに済む 誤差源が光学観察から ロードセルへ移る C. 亀裂長さを測る試験と、荷重を取る試験 普通の破壊力学試験 G = πσ² a / E  G は a の関数 a を 10% 間違えれば G も 10% ずれる 4 点曲げ(一定モーメント下) G は a によらず定常値になる 亀裂長さの追跡から自由 ただし線形弾性の界面だけ。絶縁膜/絶縁膜、絶縁膜/金属、モールド/チップは可。はんだは粘塑性なので不可。
内側の 2 本の荷重線のあいだでは曲げモーメントが一定なので、ひずみエネルギーの式では亀裂長さ a が消えます。だから試験中に亀裂を追う必要がなく、荷重−変位曲線のプラトーを取るだけで済みます。誤差源は光学観察からロードセルへ移ります。
亀裂長さが式に入っていないことの実務的な意味

普通の破壊力学試験では、 が亀裂長さ の関数です。だから試験中に を測り続けることになります。

無限平板中の板厚貫通き裂ならこの形で、 が半き裂長さ。 を 10% 間違えれば も 10% 間違います。

4 点曲げでは、 が から自由です。

だから試験手順が動きます。

  • 亀裂長さの光学的な追跡から自由
  • 荷重−変位曲線に立つプラトー(一定荷重域)を取るだけでよい
  • その荷重から を出し、 を計算する

測定誤差の主要因が「亀裂長さの読み取り」から「荷重の読み取り」へ移ります。ロードセルの精度は光学観察よりはるかに良いので、測定の再現性が桁で改善します。

接合強度が測り方で動くという問題への対策として、4 点曲げが選ばれるのはこのためです。ただし条件が 1 つ。亀裂が内側の荷重線のあいだにあり、かつ上層の厚みより十分長いこと。短い亀裂では定常になりません。

「実験室の値を実機に使ってよい」の前提

破壊力学の根本的な仮定は、はっきり書かれています。

「破壊力学の基本的な仮定の 1 つは、破壊靭性( など)が、破壊する構造物の寸法と形状から自由であること。実験室で測った破壊靭性の値を、構造物に適用できる。」

直後に条件。

「この相似則の仮定は、材料挙動が線形弾性である限りにおいて有効である。」

はんだは、この線形弾性の枠に入りません。

熱サイクルの全域で、はんだは粘塑性です。室温がすでに融点の半分近くにあたるので、常温でもクリープが進みます。

だから、はんだ接合の破壊に対して、実験室で測った をそのまま持ち込むのは筋が通らぬ話です。4 点曲げが有効なのは、絶縁膜/絶縁膜、絶縁膜/金属、モールド/チップのような、線形弾性とみなせる界面です。

この線引きは、試験手法を選ぶときに毎回確かめる必要があります。

粘塑性であること以前に、はんだの破壊はそもそも界面破壊とは別ものです。熱機械サイクル中のはんだ接合の亀裂進展を解析と実験の両方で追った 1994 年の論文2は、破壊の進み方を局所的な応力集中、微小亀裂、亀裂の発生、亀裂の進展、そして完全な分離による電気的オープンという順に並べています。同じ論文ははんだのクリープ特性に結晶粒成長の効果まで入れて解析し、粒成長と亀裂進展の組み合わせによっては、亀裂の進む速さがサイクルとともに速まることも遅まることもあると報告しています。

進展経路は、界面より、はんだのバルクの中です。4 点曲げが測っているのは 2 つの材料を引き剥がすのに要するエネルギーなので、測っている対象そのものが別になります。はんだで使うのは界面の より、非弾性ひずみエネルギー密度を駆動力にする寿命式のほう。両者は「エネルギーを駆動力にする」点だけが似ていて、対象も単位も別物です。

破壊条件そのものは素直な形です。

が一定なら、破壊応力 は亀裂長さ とともに動く。 が駆動力、 が材料の抵抗。

相似則が無いと、どうなるか

「寸法と形状から自由」がどれだけ強い性質なのかは、それが無かった時代の合否基準を追うとわかります。MIL-STD-883 の Method 2011 Condition D、ワイヤの破壊引張試験がそれです。

この試験法の成り立ちは、JEDEC がワイヤボンドの引張試験法を作り直した経緯をまとめた報告3が書いています。50 年以上前に Method 2011 Condition D が追加されたとき、試験手順と最小引張力の値は、超音波ウェッジボンドした Al と Au のワイヤを、ごく数種類の径で引張試験した結果に基づいていた。その元データから、はるかに広い径の範囲へ外挿された。以後、銅のウェッジボンド、銅のサーモソニックボールボンド、銀のボールボンド、セキュリティボンド、逆ボンド、多重ループやリボンが業界へ入ってきたのに、手順も最小引張力も変わらないまま、全部に対して参照され続けた、というのがその報告の出発点です。

数種類の径の実測から外挿した表が、どういう形をしているのかを追います。

「どちらの試験法でも、合格水準を確定する指標は、ワイヤを破断させるか接合界面を分離させるのに要するグラム重(gram-force)である。」

単位がグラム重です。J/m² とは別の量です。力そのものを基準にすると、幾何が動くたびに基準を作り直すことになります。実際、合格値はワイヤ径ごとに表になっています。

Au ワイヤ径 (inch)破壊力 (g)力 ÷ 径 (g/inch)力 ÷ 径² (g/inch²)
0.00082.43,0003.75 × 10⁶
0.0013.03,0003.00 × 10⁶
0.00123.73,0832.57 × 10⁶
0.00155.03,3332.22 × 10⁶
0.0027.53,7501.88 × 10⁶

「力 ÷ 断面積」は一定から離れます。最細と最太で 2.0 倍違います。つまりこの表は応力基準より別のところにある。かといって力 ÷ 径のほうも一定から離れていて、25% 動きます。両端で指数を取ると

破壊力はワイヤ径の 1.24 乗。面積(2 乗)とも直径(1 乗)とも別です。

手を動かして確かめます。もしこの表が応力基準(=断面積に比例)で作られているなら、いちばん細い 0.0008 inch の 2.4 g から、いちばん太い 0.002 inch の値を予測できるはずです。径の比は 、断面積の比はその 2 乗で 6.25 なので

表の値は 7.5 g。予測のちょうど半分です。太いワイヤの接合は、単位面積あたりで測ると細いワイヤの半分の強さで通ります。

では 1.24 乗のべき乗則でなら内挿できるのか。0.0012 inch を出してみます。 なので

表の値は 3.7 g。7% ずれます。0.0015 inch も同じく g に対して表は 5.0 g で 5% ずれる。単一のべき乗則で 5 行を再現する道は、塞がっています。数種類の径の実測から外挿した、という成り立ちが、そのまま形に出ています。

「相似則が無い」の実体がこれです。内挿すら通らない。一方 の側は、 という 1 本の式が全部の寸法を面倒みます。 が 2 倍になれば破壊応力は 倍、と即答できる。5 行の表と、1 本の式。置き換えが狙っているのはここです。

Al ワイヤの表では、同じ計算が 1.64 乗になります(0.001 inch で 2.3 g、0.010 inch で 100 g)。金属が替われば指数も替わる。一貫した相似則は、そもそもここに無いということです。

これが、破壊力学の が置き換えようとしているものです。 は面積あたりのエネルギー(J/m²)なので、式の形からして寸法と無縁です。表を作り直さずに、実験室の 1 つの値を任意の構造へ持ち込める。線形弾性であるかぎり、という但し書きの重みはここにあります。但し書きを外すと、グラム重の表へ戻ることになる。

この表には、もう 1 列あります。300 °C で 100 時間の熱処理をした後の合格値です。

Au ワイヤ径 (inch)破壊力 (g)300 °C 後 (g)残存率
0.00082.40.521%
0.0013.01.033%
0.00123.71.849%
0.00155.03.060%
0.0027.54.661%

細いワイヤほど、規格そのものが大きな強度低下を見込んでいます。21% と 61% の差の理由は、材料より別のところにあります。同じ Au です。幾何だけで、許される劣化率が 3 倍も開く。力を基準にするかぎり、熱履歴の分も表に足すことになります。

図 02
A. 破壊力は径の 1.24 乗。面積とも直径とも別 破壊力 (g) 2.4 7.5 15.0 0.0008 0.001 0.0012 0.0015 0.002 Au ワイヤ径 (inch) 断面積に比例(傾き 2) 両端を結ぶ 1.24 乗 傾き 2 なら 0.002 inch は 15.0 g のはず 実測は 7.5 g。予測のちょうど半分 両端から出る指数は 1.24 1.24 乗で内挿しても 5〜7% ずれる(3.97 対 3.7) B. 細いほど、規格が大きな低下を見込む 0.0008 0.001 0.0012 0.0015 0.002 21% 33% 49% 60% 61% 300 °C・100 時間の後に残っていてよい割合 同じ Au なのに、幾何だけで 21% と 61% 力が基準だと、熱履歴の分も表に足す Al ワイヤでは指数が 1.64 金属が替われば指数も替わる 1 本の式に畳めず、寸法ごとに表が要る Gc は J/m²。式の形からして寸法と無縁
両対数で引くと、MIL-STD-883 の 5 点はどの直線からも離れます。断面積に比例するなら 0.002 inch は 15.0 g のはずが実測は 7.5 g で半分、両端から出る 1.24 乗で内挿しても 5〜7% ずれる。相似則が無いというのは、内挿すら通らないということです。

さらに 「グラム重が合格でも、ダイのボンドパッドやパッケージ側でのボンドリフト(界面での剥がれ)は明らかに懸念である」として、破断位置と破壊モードを結果に含めることになっています。スカラー 1 個では、どこが壊れたかは別に要る。VCCT が を 、、 に分けるのは、この不足を数値解析の側で埋める操作です。強さの数値と、壊れた場所の情報は、別々に持つ必要があります。

界面のエネルギー基準へ移ったあとも、測定条件で値が動く問題は残ったままです。 が「幾何から自由」なのは相似則の仮定の上での話で、実測値がそのまま普遍定数になるという意味とは別です。

応力拡大係数のほうは、特異性を正面から解く

もう 1 つの流儀が応力拡大係数です。き裂先端近傍の面内応力が

の特異性があるので、 で応力が発散します。

FEM でこれを再現するには、き裂先端に特別な要素(クォーターポイント要素)が要ります。節点を辺の 1/4 位置へ移して、 の場を作る。クォーターポイント特異要素を有限要素法でき裂先端のふるまいの模擬へ当てた 2010 年の論文4が、この要素を主題にしています。

メッシュを作るのが面倒で、しかも先端まわりを十分細かく切って初めて精度が出ます。

VCCT は、特異性を無視できる

そこで使われるのが VCCT(virtual crack closure technique、仮想き裂閉口法)です。

原理は 1 行で言えます。

「き裂進展中に解放されるエネルギーは、き裂を元の長さまで閉口させるのに要るエネルギーに等しい。」

だから、き裂を元の長さまで閉口させるのに要る力は、閉じた状態のき裂の上下面に働いている力に等しい。

元の VCCT は 2 段階でした。修正き裂閉口積分で応力拡大係数を有限要素法から計算した 1977 年の論文90013-3)が原型です。

  1. き裂が閉じた状態の FE 解析から、力を得る
  2. き裂を目標長さまで伸ばした 2 回目の FE 解析から、変位を得る

MVCCT(修正 VCCT)は 1 段階です。仮定はこうです。

「小さなき裂進展は、き裂先端近傍の応力場と変位場を、ほぼそのままに保つ。したがって、伸ばした先端の後方の変位は、元の先端の後方の変位とほぼ等しいと見なせる。」

1 回の解析で済みます。

肝心の性質。「VCCT は応力や変位の形と無関係に計算できるので、き裂先端の特異性を無視できる。」仮想き裂閉口法の歴史・手順・適用をまとめた総説5が、この手法の全体像を 1 本にまとめています。

クォーターポイント要素も、特異メッシュも無しで済みます。普通の要素で計算が通ります。

3 つの破壊モードすべての が得られます。

図 03
A. 応力拡大係数は、特異性を作り込んで求める 応力 き裂先端からの距離 r 1 / √r で発散する き裂先端 辺の中央より 節点を辺の 1/4 位置へ移して、1/√r の場を作る 先端まわりを十分細かく切って初めて精度が出る メッシュを作るのが面倒 B. VCCT は、場の形と無関係に計算できる き裂 Z(先端の節点力) w − w*(相対変位) Δa まだ接合している側 G = 先端の節点力 × 後方の相対変位   ÷ 2 ÷ き裂が作る面積 ΔA 閉口に要るエネルギー = 解放されるエネルギー 応力や変位の形について、場の形と無関係に計算 だから特異要素も、特異メッシュも無しで済む MVCCT なら 1 回の解析で済む(元は 2 回) 3 モードすべての G が同時に出る。違いは成分だけ
応力拡大係数の側は 1/√r の発散を要素で作り込むので、先端に特異要素と細かいメッシュが要ります。VCCT は場の形について何の仮定も要さず、節点力と後方の相対変位を掛けて面積で割るだけなので、普通の要素で計算でき、しかも 3 モードが同時に出ます。

式の中身は、「力 × 変位 ÷ 2 ÷ 面積」だけ

3 次元ソリッド(8 節点)での式が、記号に埋もれていますが中身は単純です。仮想き裂閉口法の総説5は、2 次元の四辺形要素(1 次・2 次形状関数)に加えて、3 次元ソリッド要素とプレート/シェル要素の式も揃えています。

3 本とも、形はまったく同じです。

別なのは、どの方向成分を取るかだけ。

モード方向力変位物理
I(面に垂直)開口
II(き裂進展方向)面内すべり
III(き裂前縁に沿う)面外せん断(引き裂き)

「モードの分離」というと難しく聞こえますが、実体は成分の取り出しです。

が付いているのは、閉口のあいだに力が 0 から最大まで線形に増えるので、仕事が になるからです。ばねの弾性エネルギーと同じです。

総和。

2 次元では です。

端の節点は、半分だけ数える

3 次元でき裂前縁に沿って計算するとき、簿記が要ります。

「 と の位置の力は、半分だけが を仮想的に閉口させるエネルギーに寄与する。 の力の半分は隣の面積 に、 の力の半分は隣の面積 に寄与する。」

き裂前縁を要素の列で分割したとき、列と列の継ぎ目にある節点の力を、両隣で山分けする。二重計上を避けるためです。仮想き裂閉口法の総説5は、この種の帳尻合わせに加えて、き裂先端の要素の長さや幅が不揃いな場合の補正と、幾何学的非線形の解析と組み合わせるときの修正も載せています。

面積の取り方も要素タイプで変わります。

要素き裂面積
3D ソリッド(8 節点)
プレート/シェル(4 節点)

式そのものは同じで、面積の取り方だけが別が別です。プレート/シェルでは、前後の要素幅の平均を使う。

要素の長さや幅がき裂先端で不揃いな場合の補正と、任意形状のき裂前縁への手順も用意されています。同じ総説は、異種材料のあいだを進むき裂や層間剥離に固有の問題があることと、それを小さくする方策にも触れています。この記事が最初に引いた「線形弾性の界面だけ」という線引きが、解析の側にも回ってくるということです。

図 04
A. 列の境目にある節点は、両隣で山分けする すでにき裂 健全 ΔA(J) ΔA(L) ΔA(N) Ki Li Mi 半分ずつ Δa b き裂前縁を、要素の列で分割する Ki と Mi の力は、半分だけ ΔA(L) へ乗る 残り半分は、隣の ΔA(J) と ΔA(N) へ Li は列の内側なので、そのまま全部 ΔA(L) へ 山分けを忘れると、二重計上になる B. 面積の取り方だけが、要素で替わる 3D ソリッド(8 節点) b Δa ΔA = Δa × b プレート/シェル(4 節点) b1 b2 ΔA = Δa × (b1 + b2) ÷ 2 式そのものは同じで、面積の取り方だけが別 モードの違いは、どの方向成分を取るかだけ
き裂前縁を要素の列で切ると、列の境目にある節点は 2 つの面積に挟まれます。だから Ki と Mi の力は半分だけ ΔA(L) へ回り、残り半分は隣の ΔA(J) と ΔA(N) へ回る。山分けを忘れると、同じ力を 2 度数えることになり、G が過大に出ます。

使い分け

まとめると、選択肢はこうなります。

手法要るもの得られるもの条件
4 点曲げ試験試験片、荷重測定(実測値)線形弾性、亀裂が内側荷重線間
応力拡大係数特異要素、細メッシュ、、線形弾性
VCCT(2 段階)2 回の FE 解析、、—
MVCCT(1 段階)1 回の FE 解析、普通の要素、、小さなき裂進展の仮定

MVCCT が実務の既定値になる理由が、この表に出ています。特殊要素が要らず、1 回で済み、3 モード分離できる。

複合材の層間剥離進展のモデル化にも適用実績があります。複合材構造の層間剥離進展を解く有限要素解析の手順を組み立てた 2007 年の論文6がその一例で、界面き裂へ仮想き裂閉口法を当てる定式化そのものは1995 年の論文7が与えています。電子実装の破壊解析で既定値として選ばれているのも、この 3 つが揃っているからです。

手順としては、4 点曲げで を実測し、MVCCT で構造中の を計算して比べる。実測が材料の抵抗、解析が駆動力。接合エネルギーの実測値は、この の側にあたります。

実務での使い方

界面の密着性を測るなら 4 点曲げです。亀裂長さを測らずに済み、荷重のプラトーだけで が出ます。

ただし亀裂は内側の荷重線のあいだに、上層厚みより十分長く。短い亀裂では定常になりません。

実験室の破壊靭性を実機に持ち込めるのは、線形弾性の界面だけです。はんだは対象外です。はんだの亀裂は界面より、はんだの中の結晶粒界を走ります。

合否基準の単位を見てください。グラム重なら、幾何ごとに表を作り直す必要があります。MIL-STD-883 の Au ワイヤ引張基準は径の 1.24 乗、Al は 1.64 乗で、指数すら別ものです。J/m² に移ることが、その表を 1 つの数へ畳む操作です。

強さの数値と、破断位置の情報は、別々に持ってください。グラム重が合格でも、ボンドリフトなら不合格です。

VCCT なら、き裂先端の特異要素が無しで済みます。普通のメッシュで が出ます。

MVCCT の式は「力 × 相対変位 ÷ 2 ÷ 面積」です。モードの違いは成分の取り出し方だけ。

き裂前縁の端の節点力は、隣の面積と山分けしてください。忘れると二重計上になります。

プレート/シェルとソリッドの違いは、面積の取り方だけです。式は同じです。

ここまでで、寸法から自由な 1 つの数を測る手順と、それを構造の駆動力と並べて比べる手順が揃いました。ただし「寸法から自由」は相似則という仮定の上での話で、実測値がそのまま普遍定数になるという意味とは別です。同じ界面を同じ 4 点曲げで測っても、曲げ速度や試料幅のような試験条件で は動きます。異種材料界面の破壊抵抗を測る試験片を提案した 1989 年の論文1自身が、応力拡大係数と中央点変位を試験片の寸法と弾性定数の関数として調べているのは、そのためです。「 は材料の側の量」という前提が、実測でどこまで保たれるのか。そこを確かめる作業は、この手順に含まれていません。

出典

  1. 1 Charalambides ほか, A Test Specimen for Determining the Fracture Resistance of Bimaterial Interfaces (1989) doi:10.1115/1.3176069
  2. 2 Crack Propagation in Solder Joints During Thermal-Mechanical Cycling (1994) doi:10.1115/1.2905507
  3. 3 JEDEC's Generation of Wire Bond Pull Test Methods to Address Pulling of Copper Wire Bonds (2021) doi:10.4071/1085-8024-2021.1.000249
  4. 4 Application of quarter-point singular element in finite element method to simulation of crack tip behavior (2010) doi:10.32508/stdj.v13i2.2113
  5. 5 Krueger, Virtual crack closure technique: History, approach, and applications (2004) doi:10.1115/1.1595677
  6. 6 Orifici ほか, Development of a finite-element analysis methodology for the propagation of delaminations in composite structures (2007) doi:10.1007/s11029-007-0002-6
  7. 7 Chow ほか, Finite element calculation of stress intensity factors for interfacial crack using virtual crack closure technique (1995) doi:10.1007/bf00370563
  8. 8 Rybicki・Kanninen, A finite element calculation of stress intensity factors by a modified crack closure integral (1977) doi:10.1016/0013-7944(77)90013-3