バッチ成膜装置シェア、TELとKOKUSAIで88%2024年、KOKUSAIがGartner値で算出
縦型バッチ成膜装置とは、数十枚以上のウェーハを縦型の炉にまとめて入れ、熱とガスで一度に膜を付ける装置を指す。この市場は、東京エレクトロン(TEL)とKOKUSAI ELECTRICの2社でほぼ分け合っている。KOKUSAI ELECTRICの統合報告書20251で同社がGartnerの2024年の数値をもとに計算したシェアでは、同社がTube(Batch)Depositionとして集計した区分の市場規模18億ドルのうちTELが47.4%、KOKUSAI ELECTRICが41.0%を持ち、足すと88%になる。残りは中国のNAURAが8.1%、ASM Internationalが3.5%だ。シェアの数字で見る限り、KOKUSAI ELECTRICと縦型炉の市場を争う相手はTELだ。
しかし、原子層堆積(ALD)に対応したバッチ装置に限ると、順位が入れ替わる。KOKUSAI ELECTRICは、TechInsightsの集計で2024年と2025年のバッチALD対応装置市場で売上高世界シェア1位だった2。同社は2024年のこの市場を約7億ドル、自社のシェアを70%超と推計している。バッチ炉でALDを量産に乗せる仕組みと同社の製品群は、KOKUSAI ELECTRICのバッチ成膜装置の解説で扱っている。
縦型炉の市場全体では、TELが首位に立つ
Section titled “縦型炉の市場全体では、TELが首位に立つ”縦型炉の用途は減圧CVD、酸化、拡散、アニール、ALDにまたがる。TELの主力機TELINDY PLUS3は1回に125枚を処理し、シリーズで1万台を超える出荷実績を持つ。同じ炉で熱処理と成膜の両方をこなす点は両社に共通で、炉のアニールについてはアニール装置の供給元を扱う記事にまとめている。
18億ドルの市場で、シェア1ポイントは約1,800万ドルに当たる(市場規模から計算)。TELとKOKUSAI ELECTRICの差6.4ポイントは、約1億1,500万ドルになる。
バッチALDでは、KOKUSAI ELECTRICは自社のシェアを7割超と推計する
Section titled “バッチALDでは、KOKUSAI ELECTRICは自社のシェアを7割超と推計する”KOKUSAI ELECTRICの推計では、バッチALD対応装置の市場は2022年に約10億ドル、2023年に約6億ドル、2024年に約7億ドルで、同社のシェアは2022年と2023年に70%、2024年に70%超だった。いずれも同社が開示情報と自社売上から推計した値だ。
ALDは、ガスの供給と入れ替えを繰り返すので時間がかかる。同社は、ALDの段差被覆性とバッチ処理の生産性を組み合わせたバッチALD技術4を自社の核に置く。有価証券報告書では、この技術を競合優位性の高い技術とし、高いシェアを持続している2と書く。
枚葉のALD装置の市場とはほとんど重ならない、というのが同社の見方だ。統合報告書2025は、枚葉ALDの市場を約33億ドル、バッチALDを約7億ドルと推計し、現時点で2つの市場はほとんど重ならない1と書いている。枚葉ALDの主な供給元と用途は、メタルゲート向けALDの記事と成膜方式の解説で扱っている。一方で同社は、自社製品が他社装置と部分的に競合し、複数の競合メーカーと競争関係にある2とも書く。
TELもミニバッチとラージバッチをそろえ、200枚機を出した
Section titled “TELもミニバッチとラージバッチをそろえ、200枚機を出した”どちらの会社も、小さい炉と大きい炉を持つ。KOKUSAI ELECTRICは、難しい成膜に向けた最大100枚の「ミニバッチ」と、生産性を追う最大200枚の「ラージバッチ」を持つ。TELの製品ページには3、最大50枚のミニバッチTELFORMULAと、125枚のTELINDY PLUS、プラズマを使う低温ALD向けのTELINDY PLUS IRad、最大200枚のEVAROSが並ぶ。
| 会社 | 小さい炉 | 大きい炉 | ALDの扱い |
|---|---|---|---|
| KOKUSAI ELECTRIC | ミニバッチ(TSURUGI系)、最大100枚 | ラージバッチ(AdvancedAce系、QUIXACE系)、最大200枚 | 両方の型でバッチALDに対応 |
| 東京エレクトロン | TELFORMULA、最大50枚 | TELINDY PLUS 125枚、EVAROS最大200枚 | TELINDY PLUSが熱ALD、IRadがプラズマALD、EVAROSがALDのSiO2・SiN |
TELはEVAROSを、従来機より多い1回200枚を処理でき、TELINDY PLUSに比べてウェーハ1枚あたりのCO2排出を約25%減らす装置と説明する。用途にはALDのSiO2とSiN、ポリシリコンを挙げ、high-kへ広げる予定だ。KOKUSAI ELECTRICのAdvancedAce-IIは、一度に処理するロットを従来機の1.75倍にした5。
熱処理装置ではAMATが半分近くを持ち、KOKUSAIは枚葉の膜質改善で首位
Section titled “熱処理装置ではAMATが半分近くを持ち、KOKUSAIは枚葉の膜質改善で首位”成膜の後に膜を焼く熱処理装置では、相手が変わる。同じ統合報告書で同社がGartnerの2024年の数値をもとに計算したシェアでは、RTPと酸化・拡散を合わせた32億ドルの市場をApplied Materialsが47.2%、TELが13.2%、KOKUSAI ELECTRICが12.1%で分ける。ここでの首位はApplied Materialsで、合算32億ドルの47.2%を持つ。RTPの勢力図はアニール装置の記事に詳しい。
KOKUSAI ELECTRICが首位に立つのは、プラズマで膜質を改善する枚葉装置MARORAが属するPlasma Gate Modification Toolsの市場だ2。Gartnerの集計で2024年と2025年に1位で、同社は2024年の市場を約2億ドル、自社のシェアを50%超と推計する。
Applied MaterialsはかつてKOKUSAI ELECTRICの買収を進めていた。2021年3月、KKRとの株式購入契約は中国の規制当局の承認が期限内に得られず終了し、Applied MaterialsはKKRに1億5,400万ドルの解約金を払った6。KOKUSAI ELECTRICはその後、2023年10月に東京証券取引所プライム市場へ上場した1。
縦型炉の市場全体ではTELに6.4ポイント差の2位で、上期の売上見込みはNANDとDRAMで48%
Section titled “縦型炉の市場全体ではTELに6.4ポイント差の2位で、上期の売上見込みはNANDとDRAMで48%”KOKUSAI ELECTRICの2026年3月期の売上収益は2,351億円で、前期比1.6%減だった2。装置が1,400億円、サービスが951億円だ。2027年3月期は第1四半期の売上収益が754億円と四半期の過去最高になった7。
ここまでのデータを強みと弱みに分けると、この記事では次のように読む。強みは、バッチALDで7割超という同社推計のシェアと、枚葉の膜質改善での首位だ。弱みは、縦型炉の市場全体でTELに6.4ポイント差の2位であることと、売上のメモリーへの比重だ。同社が示した2027年3月期上期の構成見込みは8、NAND 14%、DRAM 34%、ロジック・ファウンドリ28%、その他5%、サービス19%で、サービスを含む全体に対し、NANDとDRAMを足すと48%になる。
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- 1KOKUSAI ELECTRIC:Gartner分類のシェアとバッチALD市場の推計(統合報告書2025)ssl4.eir-parts.net abc
- 2
- 3
- 4KOKUSAI ELECTRIC:バッチALD技術(KOKUSAI ELECTRIC’s Strengths)kokusai-electric.com ↩
- 5KOKUSAI ELECTRIC:成膜装置の製品一覧(Products & Services)kokusai-electric.com ↩
- 6
- 7KOKUSAI ELECTRIC:2027年3月期第1四半期の決算説明(2026年9月)ssl4.eir-parts.net ↩
- 8KOKUSAI ELECTRIC:2027年3月期第1四半期決算の質疑応答(2026年8月)ssl4.eir-parts.net ↩