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アニール装置は加熱時間の桁ごとに供給元が分かれる|高速熱処理装置はApplied Materialsが7割、ナノ秒はVeecoが量産出荷

アニール装置を作る会社は、加熱時間の桁ごとに入れ替わる。時間単位で焼くバッチ炉はTokyo Electron(TEL)とKOKUSAI ELECTRICが作る。ランプで秒単位に焼くRTPからミリ秒のレーザーまでを含む高速熱処理装置では、Gartnerの2023年統計でApplied Materialsが約7割を持ち、中国資本のMattsonが2位につける。ミリ秒ではSCREENのフラッシュランプとApplied、Veecoのレーザーが並ぶ。一方、最も短いナノ秒の層で2 nm世代の量産向け出荷と追加注文を発表したのはVeecoで、SCREENも表面を溶かすレーザー装置を持つ。

分かれる理由は熱源の違いにある。ここでいう熱源とは、ウェーハに熱を入れる手段を指し、ヒーター、ランプ、閃光ランプ、レーザーで出せる加熱時間の桁が決まっている。工程が進んで熱の上限が下がるほど、使える熱源は短いほうへ移る。工程ごとの熱の上限はアニールとサーマルバジェット、加熱時間が縮んできた理由は先端ロジックのアニールの時間スケールで扱っている。

上から、時間単位のヒーター炉(TEL TELINDY PLUS、KOKUSAI AdvancedAce-300、ASM SONORA)、秒の白熱ランプ(Applied Radiance Plus・Vulcan、Mattson Helios XP)、ミリ秒のフラッシュランプとアークランプ(SCREEN LA-3100、Mattson Millios)、マイクロ秒からミリ秒の走査レーザー(Applied Vantage Astra DSA、Veeco LSA)、ナノ秒のパルスレーザー(Veeco NSA500、SCREEN LT-3100)の5段を並べた図。
熱源が加熱時間の桁を決め、桁ごとに主なメーカーが入れ替わる。

熱源ごとに出せる加熱時間が決まっている

Section titled “熱源ごとに出せる加熱時間が決まっている”

アニールの方式を選ぶ基準を、Applied Materialsは製造工程のその時点でデバイスが耐えられる温度と時間だとする1。耐えられる時間が短い工程ほど、短く焼ける熱源が要る。

ヒーター炉は、炉壁ごと温めるので温度がゆっくりしか変わらない。代わりに100枚を超えるウェーハを同じ温度でまとめて焼ける。藍鯨新聞の金基研の記事は、炉のアニールが数時間かかるのに対し、高速熱処理は数秒から数ミリ秒で昇温する2と説明する。

タングステンハロゲンランプ3のような白熱ランプを使うスパイクRTPは、ウェーハを1枚ずつ秒単位で加熱し、ウェーハ全体の温度を上げる。キセノンのフラッシュランプは、1回の閃光で表面だけを数ミリ秒で焼く。SCREENはLA-3100で4、この数ミリ秒の熱量のプロファイルを制御するとしている。さらに短くするには、細く絞ったレーザーで表面を走査するか、パルスレーザーを当てる。パルスの長さがナノ秒になると、表面だけを溶かす温度まで上げられる。Veecoは、ミリ秒のレーザーアニールをSiの融点のすぐ下まで加熱する方式、ナノ秒の方式を融点を超える方式5と区別している。

バッチ炉は、成膜装置の大手2社が押さえる

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時間単位の層は、縦型炉を持つ成膜装置メーカーの領分だ。TELのTELINDY PLUS6は1回に125枚を処理し、用途に酸化、アニール、減圧CVDを並べる。シリーズの出荷は1万台を超えた。KOKUSAI ELECTRICのAdvancedAce-300も7、減圧CVD、酸化、拡散と並べて低温と高温のアニールを用途に挙げる。ASMの縦型炉SONORA8は最大150枚を処理し、ドーパントの拡散と活性化、アニールに使える。

どの炉も、同じ装置で成膜とアニールの両方を行う。炉のアニールは、成膜装置メーカーの製品群の中にある用途だ。KOKUSAI ELECTRICは単枚式のTANDUO7でも低温アニールとキュアを扱う。

高速熱処理装置は、Applied Materialsが約7割を持つ

Section titled “高速熱処理装置は、Applied Materialsが約7割を持つ”

Gartnerの2023年統計を引く報道によれば、高速熱処理装置の世界シェアはApplied Materialsが69.66%、屹唐半導体(Mattsonの親会社)が13.05%で2位だった9。中邮証券のレポートは、この市場の他の主な参加者としてKOKUSAI ELECTRICとVeecoを挙げる10。Veecoのレーザーアニールも入るので、この区分は秒のランプRTPだけでなく、ミリ秒のレーザーまでを含む単枚の高速熱処理と読める。

Gartnerの2023年統計による高速熱処理装置の世界シェアを1本の横棒で分けた図。Applied Materialsが69.66%、屹唐半導体(Mattson)が13.05%、その他が17.29%。
Gartnerの2023年統計では、高速熱処理装置の世界シェアはApplied Materialsが約7割で、2位の屹唐半導体(Mattson)を大きく離している。

Applied Materialsの首位は長く続いている。同社は2010年、2002年に出したVantage RTPが2年で市場首位に立ち、2009年にはランプ式RTPで過半のシェアを持った11と発表した。統計の区分は違うが、2009年のランプ式RTPでも2023年の高速熱処理装置でも首位にいる。主力のVantage Radiance Plusは12、ハニカム状に並べたランプ、7点の温度測定、100 Hzの閉ループ制御でスパイクアニールの均一性を出す。

ランプRTPの技術競争は、パターンの粗密で温度がずれる問題(パターンローディング)をどう抑えるかに移っている。チップの中で光の吸収が場所ごとに違うと、同じランプで焼いても温度がそろわない。Applied MaterialsのVantage Vulcan13はランプをウェーハの下に置き、裏側から加熱してこの差を抑える。温度範囲は150〜1,300℃だ。MattsonのHelios XP14は白熱ランプで表と裏の両面から加熱し、同じ問題を消すとしている。対象は130 nmから5 nm以下までのロジック、3D NAND、DRAMだ。

2位のMattsonは、2016年5月に北京の投資ファンドE-Town Dragonによる買収が完了した15。親会社の屹唐半導体は2025年7月に上海の科創板へ上場した9。2025年の同社の高速熱処理装置の売上は14.81億元で、前年から32.85%伸びた10。

ミリ秒では、ランプとレーザーが並ぶ

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ミリ秒の層では、2種類の熱源が競う。1つは閃光ランプで、ウェーハ全面を一度に焼く。SCREENはウシオ電機と組み、キセノンのフラッシュランプを使うアニール装置LA-3000-Fを世界で初めて製品にし、2007年末には数十台が工場で使われていた3。現行機はLA-3100だ。MattsonのMillios16は水冷壁のアルゴンアークランプを使い、スパイクアニールとミリ秒アニールを1台で続けて行える。

もう1つは走査レーザーで、細い線状のビームでウェーハ表面をなぞる。Applied MaterialsのVantage Astra DSA17は同社初のレーザーアニール装置で、表面の数原子層を1ミリ秒未満で1,000℃超まで加熱する。同社は、RTPでの首位を足場にミリ秒の領域へ広げた製品だと位置づけ、FinFETのコンタクト抵抗を下げるために使われてきたとしている。Astraは、Radiance PlusなどのRTPの処理室と同じVantageのプラットフォームに載せられる。

Veecoのレーザースパイクアニール(LSA)は、Applied Materialsと正面から競う。VeecoはLSAを先端ロジックの浅い接合と、活性化率の高いソース/ドレインコンタクトを作るための装置5と説明し、主な競合にApplied Materials、Mattson、SCREENを挙げる。

ナノ秒の層で量産出荷と追加注文を得たのはVeecoで、SCREENも溶融アニールの装置を持つ

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Veecoのナノ秒アニール装置NSA500は、評価機から量産機へ進んできた。2023年11月に先端ロジックの顧客へ1台目を出荷し18、2024年第4四半期には2 nmのGAAロジックの量産向けに先端半導体メーカーへ出荷した19。この時点で、ほかに2社の先端顧客が評価を進めていた。用途には、3D構造の浅い層だけのアニールと、熱の上限が低い工程のアニールを挙げる。2026年6月には、評価機を受け入れた先端ロジックの顧客から追加の注文を受け、3社目の先端ロジック顧客にも評価機を出荷した20。追加の装置は2026年後半に出荷し、3社目の評価は2027年に終わる見込みだ。

SCREENは、フランスの子会社LASSEで1マイクロ秒未満で表面を溶かすLT-3100と、マイクロ秒のUVレーザーを使うQA-300021を作る。LT-3100は2016年に、CEA-Letiが進めるトランジスタを上へ積む3D集積(CoolCube)の研究のため、Letiのラインに入った22。SCREENは、ミリ秒のフラッシュランプとナノ秒のレーザーの両方を自社グループで持つ。

ナノ秒の層の勢力図は、2026〜2027年の3つの節目で決まる

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ナノ秒の装置は、顧客が評価機で工程条件を確かめてから量産機を注文する。Veecoも、2023年の評価機から2024年の量産向け出荷、2026年の追加注文へと段階を踏んだ。この層で誰が広く採用されるかを判断する材料は、次の3つだ。

1つ目はVeecoの行き先だ。Veecoは、イオン注入装置を作るAxcelis23と2025年9月に合併契約を結んだ。Axcelisの2026年6月期の四半期報告書では、中国の国家市場監督管理総局の承認が残り、両社は2026年後半の完了を見込んでいた24。当初の期限は2026年9月30日で、残る条件が規制当局の承認だけなら2027年6月30日まで自動で延びる。合併が成れば、ドーパントを入れる注入装置と、それを働かせるアニール装置を1社で売る体制になる。注入の工程はイオン注入にまとめている。

2つ目は、NSA500の3社目の評価が2027年に終わり、量産注文へ進むかどうかだ。量産向けに出荷した1社、追加注文を出した評価顧客に、3社目が加われば、ナノ秒アニールを使う先端ロジックの工場が増える。

3つ目は中国市場だ。Veecoはレーザーアニール装置が米国の輸出管理規則(EAR)の管理対象だとし、2025年第4四半期には中国の顧客へ送る2台が出荷前に税関で留め置かれ、その後に解放された5。一方で、中国資本のMattsonは秒とミリ秒の装置を持ち、2025年に高速熱処理装置の売上を3割余り伸ばした。中国の装置メーカー全体の動きは中国の半導体装置メーカーで比べている。

工程ごとの装置シェアの全体像は工程別の装置シェア、KOKUSAI ELECTRICの炉の選び方はKOKUSAI ELECTRICのバッチCVD/ALD装置群にある。

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