SCREEN枚葉洗浄、転機はHKMG導入2008年に枚葉がバッチを上回る
SCREENホールディングスは、ウェーハ洗浄装置の枚葉式、バッチ式、スピンスクラバーの3方式で世界首位を掲げる会社だ。沿革によれば1、同社の枚葉洗浄装置の世界シェアが60%を超えたのは2009年だった。同社がGartnerの数字から作った図では、2007年にhigh-k/メタルゲート(HKMG)が導入された後、2008年に枚葉式の比率がバッチ式を上回った2。沿革の発売年から見ると、SCREENは300 mmウェーハ向けの枚葉機を2003年までに市場へ出していた。
2005年のマスク事業からの撤退は、この首位とは別の事業の話だ。SCREENが1979年に作り始めた精密マスクは、コンピューターの表示装置に欠かせない部品だった3。1979年の開始と2005年の撤退は、どちらも精密部品事業の「精密マスク」と記されている。同社は2005年の撤退と同じ時期に、塗布と画像処理の技術を太陽電池やライフサイエンスへ広げ始めた1と説明している。
SCREENは、300 mm向けの枚葉洗浄機を2003年までに出していた
Section titled “SCREENは、300 mm向けの枚葉洗浄機を2003年までに出していた”SCREENの半導体製造装置事業は、1975年のウェーハエッチング装置EMW-322/4113から始まった。1978年にレジスト塗布装置Spinnerを出し、1982年には米国の大手半導体メーカーへウェットステーションを24台まとめて納めた。1988年には、槽にウェーハをまとめて沈めるモジュール構造のウェットステーションを開発し、ウェーハを1枚ずつ回して処理する枚葉スピンプロセッサSPW-812-Aを出荷した。
300 mmウェーハの時代に入ると、SCREENは1997年にバッチ式のFC-3000、2000年に枚葉式のMP-3000を開発し、2003年に枚葉式のSU-3000を発売した1。2006年にはSU-3100が続き、沿革は2009年に枚葉シェアが60%を超えたと記す。同社は2025年の発表で、洗浄装置は1975年の参入当初から事業の主力だった4と書いている。
SCREENは、HKMG導入を枚葉化の転機に挙げる
Section titled “SCREENは、HKMG導入を枚葉化の転機に挙げる”SCREENは2025年12月のIR Dayで、Gartnerの数字をもとに洗浄装置のバッチ式と枚葉式の比率を1999年から示した。図の見出しは「2007年にHKMG導入後、バッチ・枚葉比率が変わる」で2、2000年代前半はバッチ式が多く、2008年に枚葉式が上回る。同じ資料でSCREENは、枚葉洗浄が有利な点として金属イオンによるウェーハ間の汚染を防ぎ、制御できることを挙げる。
HKMGは、トランジスタのゲート絶縁膜にhigh-k材料を、ゲート電極に金属を使う構造だ。槽にまとめて沈めるバッチ式では、ウェーハが同じ薬液を共有する。SCREENが挙げる金属イオンの汚染は、この共有した薬液を通じて隣のウェーハへ移るものだ。1枚ずつ別のチャンバーで洗う枚葉式洗浄なら、薬液をウェーハごとに分けられる。SCREENのファクトブックの棒グラフから市場規模を読み取って計算すると、2025年は枚葉式が8割強を占める。各社の枚葉機の処理能力の比較は枚葉洗浄の再現性と処理能力にまとめている。
2005年に撤退したマスクは、表示装置の部品の系譜だった
Section titled “2005年に撤退したマスクは、表示装置の部品の系譜だった”SCREENの社名は、1934年に国産化に成功した写真製版用のガラススクリーン5に由来する。銅版彫刻師の石田才次郎が1868年に開いた石田旭山印刷所から、1937年にガラススクリーンの研究部門が分かれ、1943年に大日本スクリーン製造が独立した。
網目を精密に刻む技術は、半導体より先に表示装置へ向かった。SCREENは1963年にカラーテレビのブラウン管用シャドウマスクの生産を始め、1968年にソニーのトリニトロン用アパーチャーグリルを量産した6。1979年に始めた精密マスクも、コンピューターの表示装置向けの部品だった。2005年に撤退したのは、この精密部品の系譜だ。沿革は、この事業を半導体製造装置ではなく精密部品の部門に分類している。
沿革は、精密マスクを長年会社を支えた柱と呼び、撤退と同じ時期に塗布と画像処理の技術を太陽電池やライフサイエンスへ広げた1と書く。
2025年の枚葉シェアは34%で、3方式の首位は保っている
Section titled “2025年の枚葉シェアは34%で、3方式の首位は保っている”SCREENが2026年9月のファクトブックで示した2025年の世界シェアは、Gartnerの出荷金額の集計をもとに枚葉式洗浄装置で34%、バッチ式で43%、スピンスクラバーで56%だった7。3方式とも首位で、図の推移線では枚葉式とバッチ式は前年より下がり、スピンスクラバーは上がった。市場規模は、同じ図の棒グラフから読み取ると枚葉式が約54億ドル、バッチ式が約10億ドル、スピンスクラバーが約3億ドルだ。
洗浄装置の累計出荷は、2025年7月に15,000台を超えた4。内訳の中心は、枚葉式のSU系、バッチ式のFC系、スピンスクラバーのSS系だ。スピンスクラバーは、成膜の後に付いた粒子をブラシや純水のスプレーで物理的に落とす8装置で、SCREENはSS-3300Sで16チャンバーと毎時最大1,000枚9を掲げる。この処理能力を搬送とチャンバー数のどちらで稼いだかは、SCREENのスピンスクラバーの処理能力で追っている。
洗浄が強くても、前工程装置全体では大手と規模が違う。SCREENはGartnerの2025年のランキングで、前工程装置の売上25億9,100万ドル、シェア2%で8位だった7。一方で、会社の利益の大半は半導体製造装置から出る。2026年3月期のセグメント別の営業利益10から計算すると、4セグメントの合計の9割余りを半導体製造装置が占めた。この偏りが中期経営計画の達成にどう効くかは、SCREENの中期経営計画の達成条件で計算している。
洗浄の会社として、先端プロセスの開発拠点に入っている
Section titled “洗浄の会社として、先端プロセスの開発拠点に入っている”2026年、SCREENは他社の先端プロセス開発の枠組みに2つ加わった。5月にはApplied MaterialsのEPIC Centerにinnovation partnerとして参加し、ウェーハ洗浄と表面処理の技術を持ち込む11と発表した。7月にはIBMのsub-1 nmチップ技術のエコシステムへの参加12を公表し、High NA EUVなどの先端プロセスと装置の共同開発を続けるとした。
乾燥の最後に残った液がパターンを倒す仕組みは乾燥とパターン倒壊に、洗浄工程の全体は洗浄と表面前処理にまとめている。会社の基本データと競合との比較はSCREENの企業研究にある。
年表でたどる転換点
Section titled “年表でたどる転換点”| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1868 | 銅版彫刻師の石田才次郎が石田旭山印刷所を開く |
| 1934 | 写真製版用ガラススクリーンの彫刻法で特許を取り、国産化に成功 |
| 1943 | 大日本スクリーン製造が独立 |
| 1963 | ブラウン管用シャドウマスクの生産を始める(精密部品) |
| 1975 | ウェーハエッチング装置EMW-322/411で半導体製造装置へ |
| 1979 | 表示装置用の精密マスクの生産を始める(精密部品) |
| 1988 | 枚葉スピンプロセッサSPW-812-Aを出荷 |
| 2003 | 300 mm向け枚葉洗浄装置SU-3000を発売 |
| 2005 | 精密マスクの生産を終え、マスク事業から撤退 |
| 2008 | 洗浄装置の枚葉比率がバッチを上回る(Gartnerをもとに作ったSCREENの図) |
| 2009 | 枚葉洗浄装置の世界シェアが60%超 |
| 2025 | 洗浄装置の累計出荷15,000台超、Gartnerをもとにした枚葉シェア34%(ファクトブック) |
| 2026 | Applied MaterialsのEPIC CenterとIBMのエコシステムへ参加 |
12件を表示
- 1SCREEN:沿革 1989〜2013年、300 mm洗浄装置とマスク撤退screen.co.jp abcd
- 2SCREEN:IR Day 2025資料、HKMG導入と枚葉・バッチ比率(2025年12月)screen.co.jp ab
- 3SCREEN:沿革 1973〜1988年、エッチング装置と精密マスクscreen.co.jp ab
- 4SCREEN:洗浄装置の累計出荷15,000台超(2025年7月)screen.co.jp ab
- 5SCREEN:沿革 1868〜1944年screen.co.jp ↩
- 6SCREEN:沿革 1945〜1972年、シャドウマスクとアパーチャーグリルscreen.co.jp ↩
- 7SCREEN:ファクトブック2026、洗浄装置の市場とシェア(2026年9月)screen.co.jp ab
- 8SCREEN:半導体製造工程と各工程の洗浄screen.co.jp ↩
- 9SCREEN:スピンスクラバーSS-3300Sの仕様screen.co.jp ↩
- 10SCREEN:財務ハイライトとセグメント別業績(2026年7月)screen.co.jp ↩
- 11SCREEN:Applied Materials EPIC Centerへの参加(2026年5月)screen.co.jp ↩
- 12SCREEN:IBMのsub-1 nmエコシステムへの参加(2026年7月)screen.co.jp ↩