コンテンツにスキップ

GAA接触抵抗の原因を2系統で切り分け|溝の中のvoidと成長前の表面

GAAナノシートのS/Dエピが規定の厚さまで育っているのに接触抵抗が高いとき、この記事では原因の候補を2系統に分けて調べる。1つは溝の形と埋まり方で、深い溝の中に残るvoidや結晶粒界がこれに当たる。結晶粒界とは、溝の底とシートの端面から別々に育った膜がぶつかってできる境目を指す。もう1つは成長前の表面で、界面に残る酸素や炭素だ。voidや粒界はトランジスタの性能を、界面の酸素や炭素はエピの結晶を損なうと報告されているが、接触抵抗への寄与はそれぞれ測って確かめる必要がある。前者は溝のエッチとエピの成膜法へ、後者は前洗浄とベークへ原因を返す。

2つを分ける理由は、調べ方と直す工程に違いがあるからだ。voidは断面や電子線で形として見え、界面の汚れはSIMSで界面のピークとして見える。S/Dエピそのものの役目と材料はソース/ドレインのエピは歪みと電流の通り道を同時に作るにまとめた。

症状の箱「接触抵抗が高い、エピの厚さは規定内」から3本の矢印が、溝の形と埋まり方、成長前の表面、エピ上面と金属の界面の3列へ伸びる。各列には現象、調べ方、原因を返す工程が並ぶ。溝の列はvoidと粒界、断面と電子線計測、溝のエッチとエピの成膜法。表面の列は界面の酸素・炭素・フッ素、SIMSとTEM、前洗浄と水素ベークと搬送の待ち時間。界面の列は金属とSiの間の酸化膜と活性化したドーパント、接触抵抗率の試験構造、コンタクトの前洗浄とアニール。
この記事の整理では、エピの厚さが出ているのに接触抵抗が高いときは、溝の形、成長前の表面、エピ上面と金属の界面の3つに分けて追うと、調べ方と直す工程を分けて追える。

溝の形が崩れると、エピはvoidを残して埋まる

Section titled “溝の形が崩れると、エピはvoidを残して埋まる”

Applied Materialsは2025年10月、GAAの深いS/Dの溝を従来のエピで埋めるのは難しく、voidや不均一な成長が出て性能と信頼性が下がることがある1と説明し、その対策としてCentura Xtera Epiを出した。この装置は成膜と削りを交互に行い、溝の側壁と底に膜が育つにつれて開口の幅を調整する。同社は、voidのない埋め込みでセル間の均一さが40%以上良くなると説明する。

溝の形そのものにも条件がある。Applied Materialsは2026年2月、GAAで掘る深く細い溝には深さの均一さ、まっすぐな側壁、平らな長方形の底が要り、わずかなばらつきでもトランジスタの速度と電力効率に響くとし2、溝を掘るエッチ装置Sym3 Z Magnumが均一なシートと質の高いエピにつながると述べた。溝を掘る工程はエッチングで扱う。

voidは形として見えるので、断面か電子線で確かめる。Applied Materialsは同じ2025年10月の発表で、電子線計測装置PROVision 10の用途にGAAトランジスタのエピのvoidの検出1を挙げた。voidが見つかれば、原因は溝のエッチとエピの成膜と削りの配分へ返す。

TCADでは、底とシートから育った膜の境目がpMOSの応力を半減させた

Section titled “TCADでは、底とシートから育った膜の境目がpMOSの応力を半減させた”

GAAのS/Dエピは、溝の底のSiと、積み重ねた各シートの端面から別々に育つ。POSTECHのTCADによる研究は、先行研究に基づき、このためにS/Dエピの中に結晶粒界ができ、チャネルの応力が緩むとして3、3 nm未満のナノシートで粒界の影響を計算した。傾き66度の粒界を1本入れたケースでは、pMOSのチャネルの圧縮応力は平均-2.03 GPaから-1.01 GPaへ半減し、nMOSでは低下が22%にとどまった。粒界より下の領域は引っ張りの応力になり、ボロンが速く拡散してチャネルへ入り込む。粒界の置き方によって、pMOSのオフ電流は最大275%増え、ソース側に粒界を置いたケースではオン電流が最大26%下がった。

この計算に従えば、pMOSだけでオン電流の低下や短チャネル効果の悪化が目立つときは、溝の中の膜の育ち方を疑う手がかりになる。

成長前の表面に残った酸素と炭素は、エピに結晶欠陥を残す

Section titled “成長前の表面に残った酸素と炭素は、エピに結晶欠陥を残す”

ASMは、自然酸化膜と炭素の汚れが格子の並びと原子の結合を妨げ、エピ層に結晶欠陥を生むとして4、エピの直前に除く前洗浄モジュールPreviumを売っている。韓国の世宗大学とWonik IPSが300 mmのRPCVD装置で行った実験の論文も、導入部で先行研究を引き、界面の酸素はエピのSi膜に積層欠陥を生み、炭素はSiCとして析出して転位や積層欠陥の原因になる5と整理している。表面に残ったフッ素は、大気中で待つ間に再酸化を促すという。

同論文の実験が示したのは、前洗浄と成長前のベークの条件で界面の汚れがはっきり変わることだ。1:30に薄めたフッ酸で洗うと、SiGe膜と基板の界面の酸素は約10²⁰ cm⁻³だったが、1:200では約10¹⁹ cm⁻³に下がった。ウェットとドライの洗浄を組み合わせると、ドライだけより酸素がさらに少なかった。水素ベークでは、温度を700℃から上げるほど界面の酸素とフッ素が減り、850℃でピークが消えた。

ただし同論文は、ベークの温度を上げるとSiO₂やSiのパターンが侵食され、ドーピングの分布も変わると述べる。この実験では、水素ベークの後に塩化水素のベークを足すと、700℃でも効果的な洗浄になった。ASMはPreviumのうち、高アスペクト比の穴の自然酸化膜を、壊れやすい誘電体膜を残したまま除く気相の方式を4、先端ロジックとDRAMのエピに欠かせないものと位置づけている。

界面の汚れはSIMSで測り、原因を前洗浄と待ち時間へ返す

Section titled “界面の汚れはSIMSで測り、原因を前洗浄と待ち時間へ返す”

界面の汚れは、SIMSで界面の酸素、炭素、フッ素のピークとして測れる。上の論文はSIMSで界面のピークを比べ、TEMで界面の見え方を確かめた。ピークが高ければ、原因は前洗浄の薬液と方式、ベークの温度、洗浄から成膜までの待ち時間へ返す。同じ論文は、ドライ洗浄は真空の装置内でその場で行えるので、待ち時間の制約に対して有利だとしている。ウェーハを装置へ入れるときも、低温でガスを流しながら入れるほうが界面の汚れが少なかった。

エピの装置も、前洗浄を組み込んだ構成で売られている。Applied MaterialsのCentura Xtera Epiは前洗浄と削りの工程を一体にした小容積の反応室1を持ち、ASMはエピ装置Intrepid ESに前洗浄モジュールPreviumを組み込む構成6を用意している。両社の製品と市場の見通しはS/Dエピ装置と前洗浄の一体化で扱った。洗浄と再汚染の一般は洗浄・表面前工程・再汚染管理にある。

エピの上面と金属の界面は、コンタクトの工程として別に調べる

Section titled “エピの上面と金属の界面は、コンタクトの工程として別に調べる”

溝の埋まり方も成長前の表面も問題がないのに接触抵抗が高ければ、残る候補はエピの上面とコンタクトの金属の界面だ。imecは、接触抵抗を下げる方針として半導体側のドーピング濃度を上げることと、金属と半導体の界面の質を上げることの2つ7を挙げる。ドーパントの活性化はアニールとサーマルバジェット、金属とSiの界面の自然酸化膜と真空一貫の処理はコンタクト抵抗と真空一貫処理で扱っている。

7件を表示
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7