コンテンツにスキップ

imecはCFETを4.5トラック以下のセルに|A7世代は2033年とTom's Hardware

imecがCFETを語るときの条件は、2022年と2026年で種類が違う。2022年のimecは、配線ピッチ16 nmの4トラック、つまりセル高さ64 nmのセルでは、フォークシートでもチャネルが狭すぎて必要な性能を出しにくい1と書いた。これはフォークシートが足りなくなる条件だ。2026年9月のimecは、CFETを4.5トラック以下のセルを作る構造2と位置づけ、A7世代から産業界がCFETへ移る可能性が高いとした。こちらはCFETで作れるセルの範囲を示す。Tom’s Hardwareによれば、imecは2026年6月のロードマップでA7を2033年に置いた。

一方、同じ2026年9月の記事は、A7の選択肢としてCFETのほかに、ナノシートを限界まで縮める道と、機能ごとに層を分けて積むCMOS 2.0を並べた。Tom’s Hardwareが伝える2026年のロードマップの値から計算すると、2022年に示された4トラック・配線ピッチ16 nmの条件に届くのはA5になる。フォークシートがCFETの前後でどう使われるかはフォークシートとCFETのロードマップで扱う。

横に並べる構造では、nとpの間隔とシート幅がセル高さを分け合う

Section titled “横に並べる構造では、nとpの間隔とシート幅がセル高さを分け合う”

CFET(complementary FET)とは、nMOSとpMOSを横に並べず、上下に積むトランジスタ構造を指す。標準セルの高さは、セルに通る配線の本数(トラック数)と配線ピッチの積だ。nMOSとpMOSを横に並べる限り、セルの高さの中に、nのシート、pのシート、両者の間隔が入る。imecの外壁フォークシートの記事は、ナノシートでは、セルの高さを縮めるか、チャネルを広げて駆動電流を取るかを設計者が選ぶ3と書く。

フォークシートは、nとpの間隔を絶縁壁で詰めて、その分をシート幅かセル高さに回す。imecは2019年、フォークシートに埋め込み電源レールなどを組み合わせれば、セルの高さを4.3トラックまで下げられるとした4。この時の検討は、配線ピッチ16 nmの5トラックのライブラリを基準にしていた。

2022年の判断は、その先の4トラックについてだ。imecはここでフォークシートのチャネルが狭くなりすぎるとし、CFETなら上下に積むことでnとpの間隔をセル高さの計算から外し、実効チャネル幅を最大にできるとした1。imecのJulien Ryckaert氏は、積んで得た面積を、トラック数を4以下へ押し下げることにも使えると述べている。

2026年のロードマップでは、CFETはA7の4.5トラックから候補になる

Section titled “2026年のロードマップでは、CFETはA7の4.5トラックから候補になる”

Tom’s Hardwareが伝えるimecの2026年6月のロードマップでは、N2はセル高さ約132 nmの6トラック、A14は2028年で115 nmの5.5トラック、A10は2030〜2031年で98 nmの5.5トラックだ5。A7は2033年で、セル高さは約80 nm、4.5トラックになり、ここでCFETが量産への挿入の有力候補になる。A5は2035〜2036年に約64 nmの4トラック、A3は2038年に50 nmの3トラックへ進む。ゲートピッチはA10からA5まで42 nmのままだ。

Tom's Hardwareが伝えるimecの2026年ロードマップの世代別セル高さを示す棒グラフ。N2は132 nmで6トラック、A14は115 nmで5.5トラックで2028年、A10は98 nmで5.5トラックで2030〜31年、ここまでがナノシート系。A7は80 nmで4.5トラックで2033年、A5は64 nmで4トラックで2035〜36年、A3は50 nmで3トラックで2038年で、CFETが候補の世代。4トラック×配線ピッチ16 nmの64 nmに破線を引いている。
Tom's Hardwareが伝えるimecの2026年ロードマップでは、CFETはセルが4.5トラックへ下がるA7(2033年)から候補になる。2022年にフォークシートが足りなくなるとされた4トラック・配線ピッチ16 nmの64 nmは、A5のセル高さに当たる。

筆者の計算では、Tom’s Hardwareの値からセル高さをトラック数で割ると、配線ピッチはA10とA7でどちらも約18 nm、A5で16 nm、A3で約17 nmになる。この計算から見ると、A10からA7でセルが縮む分は、配線ピッチがほぼ同じまま、5.5トラックから4.5トラックへトラック数を減らすことで得られる。

Ryckaert氏は2026年のロードマップの説明で、ナノシートの4世代目に当たるA7では、従来のナノシートを縮める難しさが増え、CFETが次の時代の解として現れうる5と述べた。Tom’s Hardwareは、A7でゲートピッチがA10から変わらないので、チップメーカーがA7でCFETを採る場合も採らない場合もありうるとみる。

CFETへ移ると、ナノシートにない工程が加わる

Section titled “CFETへ移ると、ナノシートにない工程が加わる”

CFETは、面積と引き換えに専用の工程を増やす。上下で別のしきい値電圧を作るための絶縁層MDI、上下のソース・ドレインを別々に取り出すstacked MOL、上下を約30 nmの間隔で独立に接続するコンタクト6がその例だ。上下への配線をセルに収める方法はCFETのMOL接続とMRWに、下段を裏面からつなぐ利点はCFETの下段コンタクトと裏面接続にまとめた。

裏面からのコンタクトは、2026年にさらに進んだ。imecは2026年のVLSIシンポジウムで、ソース・ドレインの下に表側から絶縁層を作る新しい方式を示し、下段pFETの駆動電流を従来の方式の5倍にした2。アクセス抵抗は1,753 Ωµmから378 Ωµmに下がり、下段pFETの生存率は45%から85%に上がった。しきい値電圧を変える方法も、CFETの低温のゲート工程に合う、熱履歴の小さい方式を示した。imecは、表裏の重ね合わせ精度がさらに進むまでは、mCFET(モノリシックCFET)が産業界での採用に最も早い道だとみる。

TSMCは2028年のA14にナノシートの経験を生かしたセル構造を使い、CFETは論文の段階にある

Section titled “TSMCは2028年のA14にナノシートの経験を生かしたセル構造を使い、CFETは論文の段階にある”

TSMCは、ナノシートでの設計最適化の経験を生かしたNanoFlex Proを、2028年に量産するA14に使う7。CFETについては、eeNews Europeの紹介によれば、TSMCはIEDM 2024でゲートピッチ48 nmのモノリシックCFETインバーターの論文を発表する予定だった8。マイナビニュースの紹介によれば、TSMCはIEDM 2025でゲートピッチ48 nm未満のCFETによる101段のリング発振器と6T SRAMのビットセルの論文を発表するとした9。

Tom’s Hardwareによれば、imecは2026年のロードマップでA14を2028年、CFETが候補になるA7を2033年に置く。

9件を表示
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9