トリム&フォーム(リード切断・成形)とは
トリム&フォームとは、樹脂封止を終えたリードフレームのパッケージから、ダムバーと樹脂バリを打ち抜いてリードを1本ずつ分け、外枠から切り離して実装用の形に曲げる工程です。 最後にパッケージを1個ずつ切り離します。
刃物と型で金属を打ち抜き、曲げる工程なので、パッケージには毎回機械的な力がかかります。リードの位置や平坦度は基板へのはんだ付けの歩留まりを左右し、打ち抜く力が強すぎれば、封止したパッケージそのものに割れが入ります。
ダムバーは封止時の樹脂漏れを防ぎ、封止後にプレスで打ち抜く
Section titled “ダムバーは封止時の樹脂漏れを防ぎ、封止後にプレスで打ち抜く”リードフレームには、リードの内端と外端の中間でリードどうしをつなぐダムバーがあります。米国特許US5939775の記述によると、ダムバーは封止のときに金型の縁を受け止め、エポキシ樹脂がリードの上へ漏れるのを防ぐ1役割を持ちます。それでも樹脂がリードの上へ漏れて付く(バリになる)ことがあり、封止後にはダムバーを取り除いてリードを1本ずつ分ける必要があります。同じ特許の記述では、リードに付いたバリは別のデフラッシュ工程で除去されます。
ダムバーは一般に、高トン数のプレスで機械的に打ち抜きます。同じ特許は、工具とリードの位置がずれると、ダムバーと一緒にリードまで削り取り、リードを弱めたり切ってしまったりすると指摘しています。
Nexperiaのフィリピン工場の報告では、対象の装置はトリム、フォーム、シンギュレーション(個片化)の3つの金型を順に通します。ダムバー用の金型はリードフレームをクランプしてダムバーを打ち下ろし、リードどうしを分けると同時に、パッケージの樹脂バリも取り除きます2。装置メーカーのBesiは、トリム&フォーム装置にレーザーマーキングやレーザーによるバリ取り、外観検査を組み込める構成をそろえています。
ダムバーを交互に切ると、リード幅の差が成形後のずれになる
Section titled “ダムバーを交互に切ると、リード幅の差が成形後のずれになる”ASM Assembly Automationの技術者によると、狭いピッチの製品では、ダムバーを偶数番のリードから先に切り、次に奇数番を切る交互方式と、一度にすべて切る一括方式があります。交互方式はパンチと型を丈夫に作れますが、成形でリードが大きく曲がる(スキュー)原因になります3。一括方式ではスキューが制御可能な範囲に収まり、交互方式では隣り合うリードが対になって不規則に曲がりました。
交互に切ると、ダムバーの位置でリードの幅がばらつき、切断バリも交互の模様になります。リードの断面が場所ごとにばらつくので、曲げたあとの戻り(スプリングバック)の大きさもリードごとにばらつき、平坦度が崩れます。リードのスキューは、パッケージの種類にもよりますが、通常0.038mm未満に抑えます。
ストレート、Jリード、ガルウィングの形は、成形金型で曲げて作る
Section titled “ストレート、Jリード、ガルウィングの形は、成形金型で曲げて作る”リードのあるパッケージは、リードの形でストレート、Jリード、ガルウィングの3種類に分類されます。ASMの技術者によると、ストレートは基板の穴に差し込むPDIP、JリードはPLCCやSOJ、ガルウィングはQFPやTSOPに使われます。外形は多くの場合JEDECやEIAJの規格に沿い、基板への実装品質に直結する寸法として、コプラナリティ、リード位置(スキューとオフセット)、リードの広がり、スタンドオフ高さが管理されます。外観では、リード先端のバリ、はんだの傷や割れが問題になります。
曲げ方には、型に押し当てて曲げるソリッド成形と、ローラーで曲げるローラー成形があります。ASMの技術者が各方式を比べた結果では、ローラー成形はソリッド成形よりリードにかかる応力がずっと小さく3、曲げ半径も小さくできました。ソリッド成形の応力が大きいと、スキューやリード位置のずれを生む要因が強まります。TSOPにはカムやスイングカムによるソリッド成形が好まれ、傾斜型のソリッド成形は金型が単純で安価なかわりに、はんだの付着や傷が出ます。
コプラナリティの許容値は0.050mm以下で、パッケージの反りが直接響く
Section titled “コプラナリティの許容値は0.050mm以下で、パッケージの反りが直接響く”ASMの技術者は、コプラナリティを最も低い着座面と最も高いリードとのあいだの垂直距離としています3。測定には投影機や光学式のリードスキャナーを使い、許容値は金型の出荷基準で一般に0.050mm以下です。
コプラナリティを大きく崩す要因は、ダムバーの切断状態とパッケージの反りです。切断バリが大きいとダムバーの切り方がコプラナリティに影響します。QFPではコプラナリティとパッケージの反りが直線的な関係にあり、TSOPでは反りがスタンドオフとパッケージ全体の高さに大きく響きます。成形金型は、パッケージの反りを吸収できるように設計する必要があります。
ダムバーを打つ力でリード側にクラックが入り、Nexperiaはパンチを三角形に変えた
Section titled “ダムバーを打つ力でリード側にクラックが入り、Nexperiaはパンチを三角形に変えた”Nexperiaのフィリピン工場では、SOT1210パッケージのトリム、フォーム、シンギュレーションの工程で、リード側のパッケージクラックが特定の1台の機械で急に増えました。ダミーのリードフレームを1工程ずつ通して調べたところ、クラックはダムバーを取り除いた直後に発生し、後の金型を通るにつれて広がっていました2。
この機械はパッケージを裏返し(デッドバグ)で載せていました。SOT1210は上側の樹脂が下側より薄く、リードが薄い上側の近くにあります。リードを曲げてクラックが出るまでの力は、表向き(ライブバグ)で平均9.59N、裏返しでは平均3.56Nでした。さらに、樹脂バリを取るためのパンチの部分がダムバーの一部まで同時に打っていたことが分かりました。
向きを変えるには装置の設計変更が多く必要になるので、Nexperiaは平らな打ち抜きパンチを、ダムバーから先に少しずつ切る三角形のパンチに変えました。計算ではパッケージへの応力が33%下がり、リード側クラックの不良率(PPM)は、報告書の記載では51週目(WWK51)の値で98%減りました。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”トリム&フォームとは何ですか?
樹脂封止を終えたリードフレームのパッケージで、リードどうしをつなぐダムバーと、リードのあいだに漏れた樹脂バリを取り除き、リードを外枠から切り離して実装用の形に曲げる工程です。最後にパッケージを1個ずつ切り離します。
ダムバーは何のためにあるのですか?
封止のときに金型の縁を受け止め、樹脂がリードのあいだから外へ漏れるのを防ぐためです。封止後は、リードを電気的に1本ずつ分けるために切り取ります。
リードはどんな形に曲げますか?
ストレート、Jリード、ガルウィングの3種類が代表的です。ASMの技術者によると、ストレートはPDIP、JリードはPLCCやSOJ、ガルウィングはQFPやTSOPで使われています。
コプラナリティとは何ですか?
パッケージを平面に載せたときの最も低い着座面から、最も高いリードまでの垂直距離です。ASMの技術者によると、金型の出荷基準では一般に0.050mm以下が許容値で、ダムバーの切断状態とパッケージの反りが大きく影響します。
トリム&フォームで起きやすい不良は何ですか?
リードの曲がり(スキュー)、コプラナリティの悪化、切断バリのほか、パッケージのクラックがあります。Nexperiaの事例では、ダムバーを打ち抜く工程でリード側にクラックが入り、パンチを三角形に変えてパッケージへの応力を33%下げました。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- リードフレームとは── トリム&フォームで切り分ける金属の枠
- モールド樹脂とは── ダムバーが漏れを防ぐ封止材
- パッケージマーキングとは── トリム&フォーム装置に組み込まれることがある刻印工程
- 反りとは── コプラナリティを崩す主な要因
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