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電子サイクロトロン共鳴(ECR)とは

電子サイクロトロン共鳴とは、磁場中で電子が回る周波数とマイクロ波の周波数をそろえ、共鳴によって電子を効率よく加速して作る高密度プラズマです。 低い圧力でも高い密度へ届きます。圧力を下げた領域では、電力を上げても電子がすぐ壁へ逃げます。ECRは磁場で電子を回らせ、滞在を伸ばす道を選びました。その磁場が均一性と装置の大きさの負担になり、半導体の量産では無磁場の方式に席を譲っています。

2.45GHzのマイクロ波には、0.0875Tの磁場が共鳴する

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共鳴で加速される電子
2.45 GHzマイクロ波の電場磁力線0.0875 T回るたびに加速電子の軌道磁力線
0.0875 Tの磁場で電子が磁力線のまわりを回る周波数は、2.45 GHzのマイクロ波とそろいます。電子は回るたびに電場から加速を受けます。

ECRは、電場と磁場との相互作用による共鳴を利用して生成される高密度プラズマです1。磁力線のまわりを回る電子には、磁場の強さで決まる固有の周波数があります。ここへ同じ周波数の電場を重ねると、電子は回るたびに加速を受け、原料ガスを多く解離させます。

電場周波数が2.45GHzのとき、共鳴条件を満たす磁場強度は0.0875Tです。周波数と磁場は、一対で決まります。シュトゥットガルト大学IGVPの低圧プラズマ用の反応器では、2.45 GHzのマイクロ波を伝送線路とホーンアンテナで真空容器へ放射し、容器の底の下に並べたコバルト・サマリウム永久磁石48個で、2.45 GHzの共鳴周波数に当たる強さの磁場2を作ります。こうするとマイクロ波から気体分子の電子へのエネルギーの受け渡しが非常に効率よく進み、安定したプラズマを作って保てます。

低い圧力で密度を保てることが、ECRの値打ち

Section titled “低い圧力で密度を保てることが、ECRの値打ち”

圧力を下げると、粒子どうしの衝突が減ります。イオンが壁やパターン底へ向かう道が真っ直ぐになり、形の制御が利きます。その一方で、電子が壁へ逃げるまでの時間も短くなります。磁場で回らせれば、同じ圧力でも滞在が伸びて密度を保てます。

高密度プラズマの初期には、磁場とマイクロ波の相互作用で高密度のプラズマを生成する方式が開発されました3。低圧かつ高密度という要求が、この方式を呼びました。プラズマの温度が低いことも利点で、IGVPは紙、布、薄いプラスチック箔、電子機器のような熱に弱い基材も、熱による損傷のおそれなく処理できるとしています。

磁場の代償は、均一性の難しさと装置の大きさ

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磁場で電子を閉じ込めて高密度化を図る方式には、マグネトロンプラズマもあります。ただし磁場を用いると、プラズマの均一性の確保が困難で、装置も大型かつ複雑になります3。磁場の分布がそのままプラズマの分布になるため面内の均一性が崩れやすく、磁石と導波管を抱える装置は大口径へ広げるほど負担が増します。そのため、無磁場で高密度プラズマを生成できる誘導結合プラズマが開発され、現在は量産製造に使われています3。

磁石の列を動かすECR反応器
ホーンアンテナ2.45 GHzプラズマ永久磁石の列水平に動かす真空容器処理面積 最大0.5 m²
容器の底の下に並べた永久磁石の列が共鳴の磁場を作ります。磁石の列ごと水平に動かすと、最大0.5 m²の面積を均一に処理できます。

磁場が均一性を崩すなら、磁場を動かす手もあります。IGVPの反応器は、磁石の列を水平に動かすことで、最大0.5 m²の広い面積を均一に処理できるとしています2。磁石を瓶の中へ差し込み、磁場のある瓶の内側だけにプラズマを作る使い方もあります。

エッチング装置は、厳密な意味での共鳴を離れた条件で動く場合も多くあります1。共鳴の条件は周波数と磁場で一対に決まるため、運転で動かせる幅も限られます。

割ったガスと容器の壁が、取り出せる粒子と光を決める

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ECRは、粒子や光の供給源としても使われます。NASAの試験では、ASTeX社製のECRプラズマ源を純酸素で運転して原子状酸素を作りました4。このECR源は、酸素分子が解離するときに出る130 nmの強い真空紫外光も出します。

イオン源では、容器の内壁がイオンの種類を左右します。北京大学は永久磁石型の2.45 GHz ECRイオン源PMECR IIでステンレス鋼、タンタル、石英、アルミニウムの内張りを比べ、ステンレス鋼とタンタルが水素分子イオンH2+の生成で他より大幅に優れていました5。ステンレス鋼の内張りでは、イオン源の中で酸素放電をした後にH2+の割合が増える傾向が見られ、表面分析から酸素放電による表面の粗さの変化が原因の可能性があるとしています。こうした検討の後、H2+の純電流は42.3 mA、割合は52.9%に達しました。エッチング装置でチャンバ内壁の状態が結果を動かすのと同じ構図です。

7つの代表的な高密度プラズマ源のひとつ

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代表的な高密度プラズマ源は、電子サイクロトロン共鳴、ヘリコン波励起、マグネトロン、磁気中性線放電、誘導結合、表面波励起、狭ギャップ平行平板型の7つです3。応用プロセスに応じて、高密度プラズマ源の装置やその化学が使い分けられています。表面波プラズマは、ECRと同じマイクロ波を使う方式です。

2000年になってからは、さらに超高密度である大気圧非平衡プラズマが開発され、活発に基礎および応用研究がなされています。方式の並びは、いまも増えています。

電子サイクロトロン共鳴とは何ですか?

電場と磁場との相互作用による電子サイクロトロン共鳴を利用して生成される高密度プラズマです。

共鳴の条件は何ですか?

電場周波数が2.45GHzのとき、共鳴条件を満たす磁場強度は0.0875Tです。周波数と磁場は一対で決まります。

なぜ共鳴すると密度が上がるのですか?

電子が磁力線のまわりを回る速さと電場の振れがそろうと、電子が効率よく加速されて原料ガスを多く解離するためです。マイクロ波から電子へのエネルギーの受け渡しが効率よく進み、安定したプラズマを保てます。

実機でも共鳴していますか?

厳密な意味での共鳴を離れた条件で動くエッチング装置も多くあります。

磁場を使う利点は何ですか?

低い圧力でも電子を長く留められるため、高い密度へ届きます。

代償は何ですか?

磁場を用いると、プラズマの均一性の確保が難しく、装置も大型かつ複雑になります。磁石の列を水平に動かして、最大0.5 m²の面積を均一に処理する装置もあります。

マイクロ波の周波数はなぜ 2.45GHz ですか?

産業で広く使える帯域であり、電源と導波管が手に入りやすいためです。

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