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表裏の重ね合わせ誤差は出どころごとに補正先が違う|大きな形は露光機が追い、中心・端・輪の局所ゆがみは貼り合わせ装置で抑える

裏面電源の表裏の重ね合わせ誤差は、表側の配置、貼る前のウェーハ形状、貼り合わせ、薄化で別々に生まれ、補正する装置もそれぞれ違う。貼り合わせのゆがみは、全体のずらしなどを除いた後でも50〜80 nmある1。imecとSUSSによれば、そのゆがみの大半は露光機が容易に補正できる低次の成分だ2。露光機が追い切れないのは、ウェーハの中心、端、輪の形に出る局所のゆがみで、TELの装置を使った2026年の論文は貼り合わせのレシピを最適化してその一部を抑えた3。

ここでいう誤差の予算とは、表裏のずれの許容幅を出どころごとに割り振ったものだ。許容幅そのものは着地先で決まり、要求の記事で比べた。しかし露光機の補正にも上限がある。補正量が大きいと像がぼけ3、EUV露光機の区画ごとの補正は33項まで2に限られる。量産の成否は、局所のゆがみを貼り合わせ装置の側で消し、露光機の補正を低次と少ない計測点に留められるかで決まる。

表側の誤差は、着地点の配置と、目印と素子のずれから来る

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1つ目の出どころは、表側で置いた着地点の位置だ。表側の層を重ねる露光機について、ASMLは液浸露光機NXT:2100iで単一機の重ね合わせを最大10%改善して0.9 nm、複数機の間を13%改善して1.3 nmにした4と説明する。これは露光機の性能の値で、裏面から見た着地点のずれを測った値とは別の量だ。

2つ目は、位置合わせに使う目印と素子のずれだ。Applied Materialsは、素子の外に置いた目印のずれが素子そのもののずれを代表しにくくなる5と指摘する。Intelの技術者Kevin Fischerは、表裏両面の位置合わせ、専用の表側の目印、エッチングの止まる層6を組み合わせて、裏から表への位置合わせを改善したと述べる。

貼る前のウェーハ形状は、貼った後の重ね合わせと結びつく

Section titled “貼る前のウェーハ形状は、貼った後の重ね合わせと結びつく”

表側の工程は、ウェーハの形も変える。IBMとTELの2023年の研究は、貼る前のウェーハのゆがみ、貼り合わせ装置が加えるゆがみ、貼った後の露光の重ね合わせ7の間に直接の関係があることを示した。

この形は、貼り合わせ装置の機構でそろえられる。imecとSUSSの論文では、接合面を作る成膜・アニール・CMPの後、回路のない試験ウェーハに山と谷の差で約20 µmの傘形の反り2が生じた。SUSSのXBAではウェーハを数百µm反らせて保持するので、入ってくるウェーハの小さな反りの差は、貼り始める前に背面の圧力で抑えられる2。

形状を測って貼り合わせ装置へ返す方式も提案されている。KLAの特許は、貼る前の2枚と貼った後の対について応力のない形を測り、2枚の間の重ね合わせを予測して、プロセス装置へ補正を返す方式8を示す。別の特許は、測ったゆがみを貼り合わせ装置が調整できる直交した成分に分解し、許容を外れた成分を貼り合わせ装置へ返す9。どちらも用途に裏面電源のレールを挙げる。

貼り合わせのゆがみは大半が低次で、残るのは中心・端・輪の局所成分

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裏面電源では、表側を作り終えたウェーハを裏返してキャリアウェーハへ貼り、元の基板を削る。CEA-Leti、EVG、ASMLの2024年の論文によれば、全体のずらし・回転・伸縮を補正した後のゆがみは50〜80 nmで、(100)面のSi基板の結晶の向きに由来する4回対称の形をとった1。この大きな形は露光機のウェーハ全体の位置合わせでよく補正できる。したがって、問題として残ったのはウェーハの中心と端の局所のゆがみだった。中心のゆがみは、貼り合わせの波を起こすために押し当てるピン1が原因だ。

imecとSUSSは、ゆがみの大半が低次の成分で、残る高次の成分はウェーハ全体では対称だが、特定の半径に集中する2ことを示した。その1つが、貼り合わせの波が途中で止まる位置に出る輪の形のゆがみだ。輪の位置は貼り合わせ装置の設定で端から2〜5 cmの間を動き、端に近いほど露光機の補正が効きにくい2。TELの装置を使った2026年の論文も、補正前で約90 nmのゆがみのうち、露光機では補正できない系統的な成分と、露光機が追うには細かすぎる局所のゆがみ3を見つけた。

薄化は、2枚の間のずれよりもウェーハの反りに効く。imecとSUSSの測定では、2枚の間のずれは接合面で固定され、上のウェーハを5 µmまで削っても変わらなかった2。一方、imecのJames Myersは、貼り合わせと基板の薄化が応力と反りを生み、ウェーハの端で特に大きい6と述べる。研削と薄化の工程は仮接合と薄化の解説で扱った。

表裏の重ね合わせ誤差の出どころ5つと補正手段を矢印で結んだ図。表側の配置と目印には専用の目印と表裏両面の位置合わせ、貼る前のウェーハ形状には背面の気体圧と形状計測からの予測、貼り合わせの大きな形には露光機のウェーハ全体の位置合わせ、中心・端・輪の局所ゆがみには貼り始めの方法とレシピの変更および区画ごとの高次補正、薄化による反りには反りと厚さばらつきの管理が対応する。
誤差は出どころごとに補正する装置が違い、中心・端・輪の局所ゆがみだけは貼り合わせ装置と露光機の両方で抑える。

局所のゆがみは、貼り始めの方法とレシピを変えて貼り合わせ装置の側で抑える

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貼り合わせ装置の3社は、露光機メーカーやimecと共同で、局所のゆがみを源で減らす手段を試している。EVGはCEA-LetiとASMLとの2024年の論文で、中心のゆがみについてダイの配置、上のウェーハの45度の回転、表面の性質、キャリアの(100)面と(111)面の違い1を変えて影響を調べ、量産の妨げにならない水準まで下げる道筋を示した。

TELの米国の技術拠点は、貼り合わせ由来の誤差を調べる専用の試験ウェーハを作った。これを使う2026年の論文は、貼り合わせのレシピを最適化すれば局所のゆがみの一部を抑えられる3ことを示した。SUSSとimecは、ピンで1点を押す代わりに、ウェーハの背面全体へ気体の圧力をかけて2枚を対称に反らせたまま貼った。狙いは、ゆがみを低次の補正で消せる成分へ寄せ、裏面での密な計測を減らすことだ2。この方法でも輪のゆがみは残り、著者らは貼り合わせの波の止まり方そのものが原因とみる。

露光機は大きな形を区画ごとに追うが、補正の量、項数、計測点に上限がある

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裏面の露光では、合わせる相手が見えにくい。Applied Materialsは、裏から加工すると表側の基準になる層が隠れ、ゆがみも配線のパターンに左右されて非線形になる5と指摘する。露光機は、ウェーハ全体の補正に加えて、露光区画ごとに多項式の補正をかける(オーバーレイ補正モデル)。そのため、ゆがみが低次であるほど少ない項数で補正が済む。

貼り合わせ装置が生むばらつきは、この補正の範囲に収まる。TELの装置を使った2026年の論文では、ゆがみの形のウェーハ間のばらつきは3σで3.4 nm未満で、70個の目印を使うRBFと呼ぶモデルで1.6 nm、ウェーハごとの33項の区画補正で0.5 nm3まで下がった。著者らは、貼り合わせ装置が露光機の補正を超えて加えるばらつきは限られているとみる。imecとSUSSは、5 µmまで薄くした試験ウェーハの格子のゆがみに補正モデルを当て、99.7%値で6項の区画補正なら10 nm未満、38項なら約3 nm2の残差を計算した。したがって、ウェーハごとに補正をかけられるなら、貼り合わせ装置のばらつきは数nmの要求に対して小さい。

補正の上限は4つある。1つ目は、局所のゆがみが露光機で追い切れないほど細かいことだ3。2つ目は、補正量が大きいと像がぼけることだ3。3つ目は項数で、区画ごとの補正は液浸露光機で38項まで、EUV露光機で33項まで2に限られる。4つ目は計測の量で、imecとSUSSは補正の確認に1区画54点、ウェーハ1枚あたり約13,000個の目印2を測った。計測装置を売るApplied Materialsは、測定点がウェーハ1枚あたり10〜100倍に増え、計測の工程を長くできないので速さが要るとみる5。1枚ずつ露光し直す手直しの費用は要求の記事で扱った。

決め手は、ばらつきではなく系統的な局所成分を貼り合わせ装置が消せるか

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TELの論文が示したとおり、貼り合わせ装置が生むウェーハ間のばらつきは小さい。露光機の手に余るのは、毎回同じ場所に出る中心・端・輪の系統的な局所成分だ。この成分を露光機だけで追おうとすると、補正の項数を増やし、計測点を増やし、像のぼけを受け入れることになる。EUVで露光する裏面の層では、項数の上限が33項で頭打ちになる。

したがって、見るべき進展は貼り合わせ装置の側にある。貼り始めの方法、レシピ、輪の位置を決める設定で系統成分を消せれば、裏面の露光機は低次の補正と少ない計測点で済む。TELの論文は形をそろえた試験ウェーハを使ったので、表側の工程ごとに形の違う製品ウェーハで同じ結果が出るかが次の確認点になる。KLAの特許が提案する、貼る前の形状からの予測は、この差を埋める候補だ。

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