置換スズ仕上げとは
置換スズ仕上げ(Immersion Tin Finish)とは、銅の接続面へ置換反応でスズの層を形成する表面仕上げです。 外部から電流を流して厚いバンプを作るスズめっきとは、反応も用途も違います。平坦な接続面が得られる一方、保管や加熱のあいだも銅とスズが反応し続けるので、処理直後の膜厚だけでは、はんだ付けの時点の状態を判断できません。管理の単位は膜そのものより、仕上げから接合までの履歴です。
電流を流さず、銅の表面と薬液の反応でスズが付く
Section titled “電流を流さず、銅の表面と薬液の反応でスズが付く”薬液中で銅の表面と反応させ、スズを形成します1。電解のSn-Agめっきのようにバンプを盛るのでも、無電解めっきのように還元析出で厚膜を作るのでもなく、はんだへ渡す接続面を薄く平坦に仕上げる工程です。
Atotechは、置換スズがエレクトロニクス業界でプリント基板とICサブストレートの両方に使える信頼性の高い表面仕上げと認められているとし、自社のStannatech 2000を、鉛フリーはんだ付けを複数回繰り返す実装とプレスフィットに向けた置換スズの業界標準としています。
置換スズの処理は約20分、そのあと保管を経てはんだ接合へ渡す
Section titled “置換スズの処理は約20分、そのあと保管を経てはんだ接合へ渡す”銅を洗浄して前処理し、置換スズを形成します。洗浄と乾燥、保管を経て、はんだ接合へ渡します。1 iNEMIの資料は、置換スズの処理工程のサイクル時間を全体で約20分としています2。
接合性は、保管期間と温度履歴、複数回のリフローを含めて確認し、仕上げから接合までの条件を製品の履歴に残します。
銅とスズの界面では、保管と加熱のあいだも金属間化合物が育つ
Section titled “銅とスズの界面では、保管と加熱のあいだも金属間化合物が育つ”銅・スズ界面では金属間化合物も成長するので、接合に使える表面状態を管理します。管理する項目は、スズの膜厚、被覆、表面酸化、界面反応、接合性と保管条件です。膜厚を測るときは、反応でできた層と接合に使うスズを分けて測ります。平均の膜厚が十分でも、被覆の欠陥と下地の変化が残ることがあります。接合後の反応と性能も確認します。
リフロー後には、スズが不均一に溶けて光沢のあるスズが現れることがあります。Atotechは、酸化層の形成を強めてこれを防ぐ置換スズを開発したとしています。長期の信頼性では、錫ウィスカなど用途ごとの懸念も評価します。
平坦な仕上げと引き換えに、状態が保管と熱履歴で動きます。初期膜厚、保管、接合までを一つの条件として決めるのが、この仕上げの使い方です。
銅の溶解とソルダーマスクへの攻撃が、縁のアンダーカットになる
Section titled “銅の溶解とソルダーマスクへの攻撃が、縁のアンダーカットになる”置換スズの処理では、下地の銅も溶けます。Atotechは、パッケージ基板向けのStannatech ICについて、ソルダーマスクへの攻撃と銅の溶解を減らし、アンダーカットを最小にするとしています1。ソルダーマスクを持つ基板では、同社の2段階のスズ処理も銅への攻撃を最小にするとしています。
細かい構造では、薬液の入れ替わりとすすぎが課題になります。Atotechは、Stannatech 2100を低粘度にして細かいプリント基板構造での液の入れ替わりとすすぎやすさを高め、マウスバイト欠陥、イオン汚染、浴の対流への敏感さを減らしたとしています。同社はこの浴について、安定したスズ析出と浴の長寿命も支えるとしています。
接続面の用途は、基板のパッドからQFNの側面まで
Section titled “接続面の用途は、基板のパッドからQFNの側面まで”置換スズは、パッドだけでなく部品側の銅にも使います。Atotechは、Stanna-QでQFN(Quad Flat No Leads Package)の側面に露出したリードフレームの銅を置換スズで覆い、実装時にはんだフィレットを作るとしています。同社は自動車向けの置換スズで市場をリードし、毎年1,000万m²を超える面積を処理しているとしています。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”置換スズ仕上げは何をする工程ですか?
銅の接続面へ置換反応でスズの層を形成する表面仕上げです。外部から電流を流して厚いバンプを作るスズめっきとは反応も用途も違い、平坦な接続面をはんだ接合へ渡します。
どの段階で行いますか?
銅を洗浄して前処理し、置換スズを形成したあと、洗浄と乾燥、保管を経てはんだ接合へ渡します。iNEMIの資料では、置換スズの処理工程全体のサイクル時間は約20分です。
何を管理しますか?
スズの膜厚、被覆、表面酸化、界面反応、接合性と保管条件を管理します。膜厚は、銅との反応でできた層と、接合に使えるスズを分けて測ります。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”2件を表示
- 1置換スズ仕上げの公式資料atotech.com ・ 2026年10月12日閲覧 abc
- 2iNEMI:PCB-Substrate Finishesthor.inemi.org ↩