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DC-DCコンバータとは

DC-DCコンバータとは、直流の電圧を、別の値の直流電圧へ変換する回路です。 必要な電圧へ変換したり安定化したりするために使います。電源ICは大きく2種類に分かれ、入力と出力が線形に動くリニアレギュレータと、MOSFETのスイッチ素子を高速にオンオフして出力電圧を規定値へ調節するスイッチングレギュレータがあります1。両者の差は、入力と出力の差分を熱として捨てるか、スイッチで時間を切り分けて必要な分だけ取り込むかにあり、効率も部品数もノイズもそこで分かれます。

部品ごとに電圧が違うので、1台に何個も入る

Section titled “部品ごとに電圧が違うので、1台に何個も入る”

ノートパソコンでは各デバイスが必要とする電圧が異なるため、一般に8〜10程度の電源電圧が要り、それぞれを降圧型DC-DCコンバータ回路で生成します2。LEDバックライトの点灯にはACアダプタより高い電圧が要るため、昇圧型DC-DCコンバータも載せます。

大型コンピュータで主流の分散給電方式も同じ役目で、商用のAC 200Vをいったん DC 48V あるいは DC 12V へ変換し、負荷の近くに実装したDC-DCコンバータで1V〜5Vの低電圧を生成して、給電系の電圧低下を最小限に抑えます。AIサーバーのラック給電を800V DCへ上げる設計でも、Renesasは800Vを48Vの中間母線へ降ろす変換器を最初の基本ブロックに置いています。

スイッチングは時間で切り分け、リニアは差分を熱で捨てる

Section titled “スイッチングは時間で切り分け、リニアは差分を熱で捨てる”

効率の差は、入力と出力の差分をどう始末するかから生まれます。降圧型は、入力の直流電圧をスイッチで時間分割し、インダクタとコンデンサで平滑化して目的の直流電圧に変えます3。PWM動作でスイッチをオンにして入力を給電する時間を25%、オフにしてゼロボルトにする時間を75%とすると、パルスを平均化した値は入力の25%になり、入力10Vなら出力は2.5Vになります。出力に要る電力だけを入力から取り込む動作です。

リニアレギュレータは100%のデューティサイクル、つまり入力が入りっぱなしの状態で動きます。同じく10Vを2.5Vにする場合は、差分の7.5Vに該当する電力を熱として捨てることになります。

10Vから2.5Vをつくる2つの方法
スイッチングリニア10V0V平均 2.5Vオン25%オフ75%出力 2.5V熱 7.5V入力 10V
スイッチングはオン25%・オフ75%のパルスを平らにして平均2.5Vを取り出し、リニアは10Vのうち差分の7.5Vに当たる電力を熱として捨てます。

出力電圧を保つのは、オン時間の伸び縮みです。出力が下がるとオン時間を増やして入力からより多くのエネルギーを送り、出力電圧を上げます。十分に回復したら、オン時間を短くして上昇を止めます。インダクタの電流は、加えた電圧に比例した変化率で増えるので一定の傾きで変わり、この関係はV=L×(dIdt)V=L\times\left(\frac{dI}{dt}\right)で表せます。

リニアは入出力の電圧差が小さいと効率が高い

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リニアレギュレータの効率は、IC自体の消費電流を無視できる領域では入力電流と出力電流を同じとみなせるため、出力電圧を入力電圧で割るだけで計算できます4。5Vから3.3Vへの変換の効率は64%で、入力を3.6Vへ下げると89%になります。入出力の電圧差が小さいときは、リニアレギュレータでも高い効率が得られます。

ロームは、スイッチングレギュレータの効率を、種類によるものの最大95%くらいが可能で5、昨今は80%〜90%以上だとしています。同社は、効率が負荷電流の大小でかなり動き、軽い負荷ほど大きく落ちるため、待機時電力の削減という要求には課題が残るとしています。

3.3Vをつくるときの効率
効率入力電圧(出力3.3V)スイッチング 80〜90%以上スイッチング 最大95%くらい3.3V3.6V5Vリニア 89%リニア 64%
3.3Vをつくるリニアレギュレータは、入力5Vでは64%ですが、3.6Vまで近づけると89%になり、スイッチングの80〜90%以上の帯に入ります。

軽負荷の効率低下は、PWMとPFMの切り替えで補う

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PWM(パルス幅変調)は最も一般的な電圧制御の方法です6。周波数を一定にして、出力が必要とする電力に当たる分だけスイッチをオンにして入力から取り出すので、必要な出力電力に応じてオンとオフの時間比が変わります。周波数が一定なのでスイッチングノイズが予測しやすく、フィルタもしやすい方式です。その一方で、重負荷でも軽負荷でもスイッチする回数が同じで自己消費電流が変わらないため、軽負荷ではスイッチング損失が支配的になり、効率が下がります。

PFM(パルス周波数変調)には固定オン時間型と固定オフ時間型があり、固定オン時間型ではオン時間を一定にしてオフ時間を変えます。軽負荷では周波数が低くなってスイッチする回数が減るため、効率を保てます。代償として、周波数が動くのでノイズのフィルタが難しくなり、周波数が20kHzを切ると可聴帯に入って音鳴りの可能性が出て、オーディオ機器ではS/Nに影響する可能性もあります。定常動作時はPWM、軽負荷時はPFMへ切り替えて効率を保つICもあります。

軽負荷でのPWMとPFM
PWM 重負荷PWM 軽負荷PFM 軽負荷周期一定周期一定オン時間一定周期が伸びる
PWMは軽負荷でも周期が同じなのでスイッチの回数が減らず、損失が残ります。固定オン時間型のPFMはオン時間を保ったまま周期を伸ばし、スイッチの回数を減らします。

変換の向きは4通り、絶縁の有無で構成が分かれる

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ロームは、スイッチングレギュレータの一番の長所として、変換が自在にできる点を挙げています。最もよく使われるのは降圧で、電池などの低い電圧からの昇圧、正電圧を反転させた負電圧の生成もできます。リチウムイオン二次電池(例:4.2V〜2.8V)から3.3Vをつくる場合のように、入力が出力電圧をまたいで動く条件では昇降圧を選びます。

スイッチングレギュレータは入力電源の種類から、DC入力のDC-DCコンバータとAC入力のAC-DCコンバータに分かれます7。それぞれに非絶縁型と絶縁型があり、絶縁型は入力側(一次側)と出力側(二次側)を主にトランスフォーマで絶縁します。産業機器や医療機器のように障害時に高い安全が要る用途では絶縁型が標準的で、同じ回路基板の中での電圧変換のように絶縁の要件が薄い場面ではほとんどが非絶縁型です。

効率と引き換えに、部品数とノイズと試験を払う

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スイッチング方式では、コンデンサや抵抗、ダイオードやトランジスタに加えて磁気部品が要るため部品数が増え、設計が複雑になります。スイッチング動作に伴うノイズやリップルも出て、ノイズが多いと用途によっては使いにくくなります。EMI(電磁妨害)規制への適合など、評価にも手間と時間がかかります。

コストの比べ方は条件で入れ替わります。IC単体や構成部品だけを比べればリニアレギュレータより高くなるものの、リニアレギュレータに放熱板が付くと面積や体積も勘定に入ります。そのため扱う電力が大きくなると、解決策全体の費用はスイッチング側のほうが安く済む場合があります。ロームは、各長所と短所を検討したうえで目的に合う方式を選ぶことが大切だとしています。複数のDC-DCやリニアレギュレータを1チップへまとめた電源ICがPMICです。

DC-DCコンバータとは何ですか?

直流の電圧を別の値の直流電圧へ変換する回路です。必要な電圧へ変換したり、安定化したりするために使います。

なぜ1台の機器に何個も入っているのですか?

部品ごとに要る電圧が異なるためです。ノートパソコンでは一般に8〜10程度の電源電圧が要り、それぞれを降圧型DC-DCコンバータ回路で生成します。

リニアレギュレータとの効率差はどこから来ますか?

入力と出力の差分の始末の仕方です。リニアレギュレータは100%のデューティサイクルで動くため、10Vから2.5Vをつくる場合は差分の7.5Vに該当する電力を熱として捨てます。スイッチング側はオン時間を25%にして時間で切り分け、出力に要る分だけを入力から取り込みます。

効率はどのくらいですか?

ロームは、スイッチングレギュレータで種類により最大95%くらいが可能で、昨今の効率は80%〜90%以上だとしています。リニアレギュレータは計算例で、5Vから3.3Vが64%、3.6Vから3.3Vが89%です。

昇圧もできるのですか?

できます。降圧のほかに昇圧、反転、昇降圧の変換があり、リチウムイオン二次電池(例:4.2V〜2.8V)から3.3Vをつくる場合のように入力が出力電圧をまたいで動く条件では昇降圧を使います。

スイッチング方式の代償は何ですか?

磁気部品を含む部品数の増加と設計の複雑さ、スイッチング動作に伴うノイズとリップル、EMI規制への適合を含む試験の手間と時間です。

PWMとPFMはどう使い分けますか?

PWMは周波数が一定でノイズをフィルタしやすく、PFMは軽負荷でスイッチの回数を減らして効率を保ちます。PFMは周波数が動くためフィルタが難しく、20kHzを切ると可聴帯に入ります。定常動作時はPWM、軽負荷時はPFMへ切り替えるICもあります。

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