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カーケンダルボイドとは

カーケンダルボイド(Kirkendall Void)とは、異種金属の界面で原子が異なる速さで拡散し、余った空孔が集まってできる空洞です。 接合直後の界面が埋まっていても、後の加熱や長期使用で界面へボイドが増えることがあります。初期の接合が埋まっていても後の熱履歴でできる不良なので、接合の材料と膜厚を決める段階で抑えておく必要があります。

拡散の速い側に空孔が残り、集まって空洞になる

Section titled “拡散の速い側に空孔が残り、集まって空洞になる”
空孔が余るしくみ
金(Au)アルミニウム(Al)元の界面Au原子(速い)Al原子(遅い)空孔の流れボイド
金とアルミニウムでは、金のほうが速く拡散します。出ていく原子のほうが多い金側に空孔が残り、界面近くに集まってボイドになります。

二種類の原子の移動量がそろわないと、原子の移動と逆向きに空孔の流れが生じます。空孔が吸収されずに集まると、界面近傍に孔やボイド帯を作ります。 この不均衡な拡散をカーケンダル効果と呼び、ボイドはその結果として生じる欠陥です。1

空孔が残る側は、拡散の速さで決まります。ワイヤボンディングの金とアルミニウムの組み合わせでは、金のほうが拡散が速く、金の側に空孔を残します2。

ボイドは金属間化合物の成長と一緒に起きる場合があります。同じボイドでも、成膜時に穴が埋まらない空洞や、電流で原子が移るエレクトロマイグレーションの不良とは、発生の過程を分けて扱います。

ボイドの列は破断に、合体は断線につながる

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2つの壊れ方
ボイドの列で破断ボイドの合体で断線機械的な破断電流電気的な断線
界面に並んだボイドは割れの通り道になり、合体したボイドは電流の通り道を断ちます。

カーケンダルボイドの形成は、2種類の故障につながります2。並んだボイドの列に沿って応力で割れる機械的な破断と、ボイドが合体して起きる電気的な断線です。金とアルミニウムの界面について、NISTの技術報告は、ワイヤボンドが高温にさらされるなら厚膜導体の上ではこの組み合わせを避けるべきだとしています2。

はんだ接合でも、加熱でCu3Sn層の中にボイドができる

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はんだとCuの接合部
Cuの流れはんだCu6Sn5Cu3SnCu(UBM)ボイドはCu3Sn/Cu界面の近くで核生成
はんだとCuの接合部では、Cu3Sn層の中、Cu3Sn/Cu界面の近くでボイドが核生成します。ボイドがCuの流れを減らすと、Cu3SnがCu6Sn5のCu供給源になると説明されています。

同じことがはんだの接合でも起きます。マイクロバンプでは、約200℃で1時間のアニールでCu3Sn層の中にカーケンダルボイドができた例3が報告されています。IMCに囲まれたボイドはマイクロバンプの信頼性に深刻な影響を与えるとされ、エレクトロマイグレーション試験では電流の集中を招き、通電中のボイドの進展を速めるおそれがあります3。

ボイドができると反応の進み方も変わります。IMAPSに掲載された研究は、カーケンダルボイドがIMCへのCuの流れを減らし、Cu3SnがCu6Sn5のCu供給源になる、つまりCu3SnがCu6Sn5へ変わっていく4と説明しています。

核生成は不純物で左右されます。同じ研究では、SPSを3.0×10^-5 M含むめっき浴で電解めっきしたCu UBMの上に、Feの量を変えたSn-3.5Ag-xFe合金をリフローしました。その結果、Feの含有量が多いほどボイドができにくくなりました4。FeがCu UBMに溶け込んでCu3Sn/Cu界面へのS原子の偏析を減らし、界面でのボイドの核生成を抑えたと説明しています。

ボイドの正体は、位置と成分と熱履歴で見分ける

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接合ボイドがすべてこの機構でできるわけではないので、位置と成分の変化を確認してから原因を決めます。2

断面観察と元素分布を使い、ボイドがどの相と界面に集まるかを調べます。初期の埋め込み不足と、加熱後に成長したボイドを比較で分けます。立体的な大きさの分布はFIBナノトモグラフィで測れ、Ni/CGOサーメットではボイドの大きさの分布が温度に強く依存する結果5が出ています。

管理する項目は、材料と組成、初期膜厚、反応層、温度・時間、ボイドの分布、抵抗と強度です。拡散速度だけでなく、相の成長、粒界、初期膜厚、不純物、バリアが空孔の蓄積へ影響するので、材料の組み合わせごとに確認します。

反応を抑えるとボイドを減らせる場合があるが、接合に要る反応も変わる

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反応と拡散を抑えるとボイドを減らせる場合がありますが、接合に必要な反応も変わります。金とアルミニウムのワイヤボンドについて、Philofskyは、界面の金属間化合物の成長とカーケンダルボイドによる後の故障を避けるため、良好な接合と素子設計に見合う範囲で金属膜を薄くすること2を提案しています。薄くできる下限は、接合が成り立つ厚さです。初期接合と長期の界面安定性を合わせて、材料と熱履歴を決めます。

カーケンダルボイドは何をする工程ですか?

工程ではなく、異種金属の界面で原子が異なる速さで拡散し、余った空孔が集まってできる空洞です。接合後の加熱や長期使用で界面へボイドが増えることがあります。

どの段階で行いますか?

評価は接合の後に行います。異種金属を接合し、実際の温度と時間で反応させてから、処理前後の界面と反応層、ボイドの位置、抵抗と接合強度を比較します。

何を管理しますか?

材料と組成、初期膜厚、反応層、温度・時間、ボイドの分布、抵抗と強度を管理します。金とアルミニウムのワイヤボンドでは、良好な接合が得られる範囲で金属膜を薄くすることが提案されています。

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  1. 1
    Renesas Semiconductor Reliability Handbookrenesas.com ・ 2026年10月12日閲覧 ↩
  2. 2
    NIST Testing and fabrication of wire-bond electrical connectionsnvlpubs.nist.gov ・ 2026年10月12日閲覧 abcde
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
    NIST Mechanical properties of intermetallic compounds in solder jointsmetallurgy.nist.gov ・ 2026年10月12日閲覧