ソフトブレークダウン(SBD)とは
ソフトブレークダウン(SBD)とは、ゲート絶縁膜の経時絶縁破壊のうち、リーク電流は急に増えるものの、電流と電圧の関係がまだオーミックにならない段階の破壊です。 SILCとハードブレークダウンの中間の絶縁破壊にあたり1、状況によってはデバイスの故障と一致しません。薄いゲート絶縁膜では、ソフトブレークダウンが起きても回路が動き続けることがあります。どの段階を故障と判定するかで寿命の見積りが変わり、判定そのものが難しくなります。
ソフトブレークダウンは、SILCとハードブレークダウンの間にある
Section titled “ソフトブレークダウンは、SILCとハードブレークダウンの間にある”TDDBによるゲート絶縁膜の劣化は3段階に分かれます。SILC(ストレス誘起リーク電流)は、ストレス印加の初期に現れる1〜2桁程度のリーク電流の増加です。ソフトブレークダウンの後はリーク電流が急に増えますが、オーミックにはなっていません2。ハードブレークダウンは絶縁性が完全に失われ、オーミックな特性を示す破壊で、リーク電流はさらに大きく増えます。
欠陥がつながるとソフト、つながった所が熱で溶けるとハードになる
Section titled “欠陥がつながるとソフト、つながった所が熱で溶けるとハードになる”経時絶縁破壊には、ソフトブレークダウンとハードブレークダウンの2種類があります2。ソフトブレークダウンは、絶縁膜の中の欠陥がつながってリーク電流が増えた状態です。ハードブレークダウンは、つながった欠陥に大量の電流が流れ込んでジュール熱が発生し、電極やシリコン基板が溶けて大きな通り道ができた状態です。欠陥がつながる確率はパーコレーションモデルで扱います。
測定では、ソフトブレークダウンは定電流ストレスで電圧の小さな変化として、定電圧ストレスでは電流の小さな変化として現れます。
実使用条件では、ほとんどの事象がソフトブレークダウンになると考えられている
Section titled “実使用条件では、ほとんどの事象がソフトブレークダウンになると考えられている”デバイスの実際の使用条件である低い電圧や、前段のトランジスタのオン抵抗と直列につながる状況では、ほとんどの事象はソフトブレークダウンになると考えられています1。回路の中の1個のトランジスタでソフトブレークダウンが起きても、LSIとしての機能がすぐに失われない場合があります。2回以上のソフトブレークダウンが起きてはじめて機能が失われる例もあります。
故障とみなすかどうかで、同じ試験データから得る寿命が変わる
Section titled “故障とみなすかどうかで、同じ試験データから得る寿命が変わる”ソフトブレークダウンを故障とみなせば寿命は短く見積もられ、回路が動く限り許容すれば長く見積もられます。どちらを採るかで寿命外挿の出発点が変わるので、論文でTDDBの寿命を比べるときは破壊の判定基準をそろえます。許容する場合は、ソフトブレークダウン後に増えたリーク電流が、回路の動作や待機時の消費電流に与える影響を別に確かめる必要があります。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”ソフトブレークダウンとは何ですか?
ゲート絶縁膜の経時絶縁破壊のうち、リーク電流は急に増えるものの、電流と電圧の関係がまだオーミックにならない段階の破壊です。SILCとハードブレークダウンの間にあたります。
ハードブレークダウンとの違いは何ですか?
ハードブレークダウンは絶縁性が完全に失われ、電流と電圧の関係がオーミックになる破壊です。ソフトブレークダウンはその手前の段階で、ハードブレークダウンの後はリーク電流がさらに大きく増えます。
なぜ2種類の破壊が起きますか?
ソフトブレークダウンは膜中の欠陥がつながってリーク電流が増えた状態です。ハードブレークダウンは、つながった欠陥に大量の電流が流れ込み、ジュール熱で電極やシリコン基板が溶けて大きな通り道ができた状態です。
ソフトブレークダウンが起きると回路は壊れますか?
状況によってはデバイスの故障と一致しません。低い使用電圧や、前段のトランジスタのオン抵抗と直列につながる条件では、ほとんどの事象がソフトブレークダウンになると考えられており、2回以上起きてはじめてLSIの機能が失われる例もあります。
測定ではどう見えますか?
定電流ストレスでは電圧の小さな変化として、定電圧ストレスでは電流の小さな変化として現れます。
SILCとの違いは何ですか?
SILCはストレス印加の初期に現れる1〜2桁程度のリーク電流の増加で、ソフトブレークダウンより前の段階です。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- TDDB(経時絶縁破壊)とは── 時間をかけて進む絶縁破壊の全体
- SILC(ストレス誘起リーク電流)とは── ソフトブレークダウンより前に現れるリーク電流の増加
- パーコレーションモデルとは── 欠陥がつながって破壊に至る確率のモデル
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- 1電子情報通信学会:知識ベース 10群2編4章 プロセスモジュール技術(2010年)ieice-hbkb.org ab
- 2藤井泉(筑波大学博士論文):CMOS向け高誘電率ゲート絶縁膜の長期信頼性(2013年2月)tsukuba.repo.nii.ac.jp ab