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リンス(純水による薬液置換)とは

リンスとは、ウェット洗浄やエッチングで薬液に浸したウェーハを純水で洗い、表面と槽に残った薬液を純水に置き換える工程です。 薬液を替えるたびにリンスが入るので、洗浄装置の水の使用量の大半をリンスが占めることがあります。

難しいのは止めどきです。FSI Internationalの技術者による2003年の記事によると、リンスが短すぎると薬液が残ってエッチングの不均一やパーティクル増加につながり、長すぎると表面の再酸化、純水の使いすぎ、再汚染が起きえます1。同じ記事は、RCA洗浄用の従来型浸漬装置ではリンスが工程時間の約30%、水使用量の約65%を占めると見積もっています。

薬液槽のあいだに純水槽をはさみ、ラインの最後で乾燥させる

Section titled “薬液槽のあいだに純水槽をはさみ、ラインの最後で乾燥させる”

SCREENの解説によると、バッチ式のウェットステーションは1つの槽で使える薬液が1種類なので、異なる薬液の混入を防ぐために「薬液A-純水-薬液B-純水-薬液C-純水」の順に槽を並べ2、ラインの最後に乾燥ユニットを付けます。通常は50枚のウェーハをまとめて槽に浸します。RCA洗浄のように薬液を何種類も使う洗浄では、そのたびにリンスが入ります。

成膜直前のように高い清浄度が要る洗浄では、1つの槽で薬液洗浄と水洗の両方を行うワンバス型が使われます。槽の薬液を純水で置き換えてから水洗するので、ウェーハは槽から槽へ運ばれる途中の大気汚染を受けずに済みます。1枚ずつ洗う枚葉式洗浄のスピンプロセッサでは、回転しているウェーハに薬液や純水をスプレーします。

QDRは水位を上下させ、ダウンフローは上から層流で流す

Section titled “QDRは水位を上下させ、ダウンフローは上から層流で流す”
バッチ式リンス槽の水の流れ
QDRオーバーフローダウンフロースプレー+一気に排水底から給水し上端からあふれる上から給水し底から排水水位が上下する下向きの層流
QDRは水位の上下とスプレーで、オーバーフローは底からの給水とあふれで、ダウンフローは上から下への層流で薬液を運び出します。

SEAJの用語集によると、クイックダンプリンス(QDR)は純水のスプレーと槽の水位の上下を利用して薬液をウェーハから除去します3。スプレーリンスは純水スプレーだけで除去する方式で、スプレーを最適化すると純水の使用量が減ります。

通常の槽は底部から純水を供給しますが、重力に逆らって給水するため渦などのデッドスペースが生じます。ダウンフローリンスは槽の上部から均一に給水して底部から均一に排水し、下向きの層流を作ります。SEAJによると、この方式は純水の使用量が少なくて済むといわれています。

前述の2003年の記事では、浸漬装置のリンス槽は親水性の表面にQDR、疎水性の表面にオーバーフローリンスを使い分け、1槽あたりのリンス時間は5〜10分が典型だとしています1。

槽の比抵抗が投入前の純水の値に戻った時点で純水の流量を絞る

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比抵抗の回復とリンスの終点
比抵抗時間投入前の純水の値ウェーハ投入ここで終了溶け出した薬液で低下純水の流量を絞る槽の側面上部のセンサーで純水の抵抗を測る
薬液から引き上げたウェーハを入れると槽の比抵抗が下がり、純水を流すと回復します。投入前の値に戻った時点を終了とみなします。

純水の水質は、電気の通りにくさを示す比抵抗(単位MΩ・cm)で表します。比抵抗は電気伝導率の逆数で、栗田工業の解説では不純物ゼロの理論純水の比抵抗が18.24MΩ・cm(電気伝導率0.055μS/cm)で4、純水のなかでも特に純度の高い水が超純水です。リンス水に薬液のイオンが混ざると、その分だけ比抵抗が下がります。

1982年に出願された実用新案によると、従来は最も比抵抗の回復が遅い薬品と想定される最低流量を基準に洗浄時間を決めていたため、実際に必要な時間より長くなり、流入する純水が無駄になっていました5。この考案は、流水槽の側面上部に純水の抵抗センサーを付け、純水の抵抗がウェーハを入れる前の値に等しくなったとき(実施例では前の値の±20%の範囲に入ったとき)を洗浄の終了とみなし、流水槽に流す純水の量を少なくします。純水の無駄な使用を省くことが目的です。リンスには、この比抵抗の高い超純水を使います。

あふれた水の比抵抗と、ウェーハ表面に残る薬液は別に測る

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前述の2003年の記事は、従来の比抵抗による方法を、底から新しい水を入れてあふれた水の比抵抗が約14MΩ・cmになるまで流すやり方として紹介しています。そのうえで、あふれた水の比抵抗はウェーハ表面で起きていることとずれ、大気中のCO2が溶け込むことでも値が下がる1と指摘しました。

記事の著者らは、ウェーハを一定の速さで引き上げてできる表面の水膜(キャリーオーバー層)のpHを測る方法を提案しています。200:1のHFで酸化膜を30Å削る工程では、この方法で3分の短いリンスが最適と判断でき、7槽のRCA洗浄装置を2槽構成に置き換えて、リンス水の使用量を約90%、サイクル時間を約50%減らしたと報告しています。

乾燥で水滴を残すと、ウォーターマークが次の膜の欠陥になる

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リンスのあとは乾燥に進みます。SEAJの用語集によると、ゲート酸化前のようにシリコンが露出した面に純水の水滴が残ると、シリコンの溶解や水滴の縁での酸化で生じたSiO2が水滴に溶け、水滴が蒸発したあとにシリコン水和物がクレーター状に付着します3。これがウォーターマークで、続くゲート酸化膜などの欠陥を誘発するといわれています。

SCREENの解説では、回転の遠心力で水を切るスピン乾燥は乾燥時間が短い一方、静電気やウォーターマークが起きやすく、IPAの蒸気で水分を蒸発させるIPAベーパドライヤが主流です。ただしIPA方式は、アルコールガスへの引火に備えた装置設計と運用が必要です。SEAJが紹介するRotagoni乾燥は、回転するウェーハの中心から純水ノズルとIPA蒸気を含むN2のノズルを外周へ動かし、遠心力とマランゴニ効果で純水の層を20秒程度で除きます。

リンスとは何ですか?

ウェット洗浄やエッチングで薬液に浸したウェーハを純水で洗い、表面と槽に残った薬液を純水に置き換える工程です。バッチ式では薬液槽のあとに純水槽を置き、枚葉式では回転するウェーハに純水をかけて行います。

リンスにはどんな方式がありますか?

槽の水位を上下させながらスプレーも使うクイックダンプリンス(QDR)、底から給水して上端からあふれさせるオーバーフローリンス、スプレーだけで洗うスプレーリンス、槽の上部から均一に給水して底から排水するダウンフローリンスがあります。

リンスはいつ止めますか?

槽の純水の比抵抗を測り、ウェーハ投入前の純水の値に戻ったときを終了とみなす方法が古くからあります。1982年出願の実用新案は、この終了条件を使って流す純水の量を減らす装置です。

あふれた水の比抵抗を終点の目安にする方法の弱点は何ですか?

FSI Internationalの技術者による2003年の記事は、槽からあふれた水の比抵抗とウェーハ表面の状態は別物で、大気中のCO2が溶け込んでも値が下がると指摘しています。同記事はウェーハ表面の水膜のpHを測る方法を提案しました。

リンスが短すぎたり長すぎたりすると何が起きますか?

同じ記事によると、短すぎると薬液が残ってエッチングの不均一やパーティクル増加につながり、長すぎると表面の再酸化、純水の使いすぎ、再汚染のおそれがあります。

リンスのあとの乾燥で気をつけることは何ですか?

シリコンが露出した面に水滴が残ると、乾いたあとにシリコン水和物がクレーター状に残るウォーターマークになります。SCREENの解説では、スピンドライヤは乾燥時間が短い一方でウォーターマークや静電気が起きやすく、IPAベーパドライヤが主流になっています。

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