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成膜後アニール(PDA)とは

成膜後アニール(PDA)とは、薄膜を成膜した直後に行う熱処理です。 高誘電率膜のゲートスタックでは、原子層堆積(ALD)でHfO₂を成膜したあと、膜を密着させて緻密にし、原子配列や結晶の状態を変えるために行います。その同じ熱が新しい欠陥も作るので、PDAの条件は単独では決まらず、工程の最後に欠陥を回復させる熱処理まで含めて決めます。

PDAは膜を密着させて緻密にし、多くの場合は結晶化させる

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PDAのねらいは、材料の密着性と緻密さを上げることで、HfO₂層の結晶化を伴うことが多い熱処理です1。ALDで成膜した直後のHfO₂はアモルファスで、PDAの熱で原子が並び直します。

熱処理で結晶の形そのものを選ぶ使い方もあります。東芝は強誘電体トンネル接合メモリーの試作で、下部電極と常誘電体の層を作った後、シリコンを添加したHfO₂をALDで成膜し、上部電極を成膜してから熱処理を行いました2。この熱処理でHfO₂は結晶化し、強誘電性を示す斜方晶になります。

一般的なHfO₂は単斜晶で、X線回折では30°付近に2つのピークが現れ、反転対称性を持つので強誘電性を示しません。熱処理を経たHfO₂は30°付近に1つのピークを持つ斜方晶になり、反転対称性を持たないので強誘電性を示します。東芝の例では熱処理を上部電極の成膜後に行っており、熱処理を成膜直後に行うか、電極を付けてから行うかで、工程の中の位置が変わります。

界面層にHfO₂を成膜した直後の熱処理がPDA、工程の最後がFGA

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産業技術総合研究所は、HfO₂/SiO₂/Siのゲートスタックを次の順番で作りました1。RCA洗浄で厚さ約0.6nmの化学酸化膜を作り、300℃のALDでアモルファスのHfO₂を成膜し、真空中700℃で1分のPDAを行います。続いて300Wで10分のO₂プラズマ処理を行い、最後にスタックの欠陥を回復させるため、3%のH₂を含むN₂中450℃で30分のフォーミングガスアニールを行います。

HfO₂ゲートスタックの工程順
化学酸化ALDPDAO2プラズマFGA約0.6nm300℃700℃・真空・1分300W・10分450℃・3%H2・30分SiHfO2欠陥が増える欠陥が増える大部分が回復一部は残る
約0.6nmの化学酸化膜にHfO₂を成膜し、700℃・真空・1分のPDAと300W・10分のO₂プラズマで欠陥が増え、450℃・3%H₂・30分のFGAで大部分が回復します。

界面層の上にHfO₂を成膜した直後の熱処理がPDAで、工程の最後に水素で欠陥を回復させる熱処理がフォーミングガスアニールです。

PDAは原子を並び替え、界面を終端していた水素を抜いて欠陥を作るとみられる

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産業技術総合研究所は、各工程の後に土台のシリコンウェーハの少数キャリア寿命を測り、欠陥の増減を調べました。寿命はQSSPCという方法で求めます。試料にフィルタを通したキセノンのフラッシュランプの光(850nm以上、長さは数百μs以下)を当て、光伝導の減衰を渦電流センサーで測ります1。欠陥が増えると、寿命が短くなります。

PDAの後、寿命はわずかに下がりました。研究者らは、PDAで材料の原子が並び替わり、弱い結合が切れ、ダングリングボンドを終端していた水素が抜け出ることで欠陥ができると考えています。O₂プラズマ処理の後にも寿命がさらに下がり、多くの欠陥ができています。最後のフォーミングガスアニールで寿命は大きく伸び、欠陥の大部分が回復しました。

PDAで欠陥ができる仕組み
PDA前PDA後アモルファスHfO2SiSiO2界面を水素で終端緻密化したHfO2Si水素が抜ける終端が外れた結合
PDAで原子が並び替わると、界面のダングリングボンドを終端していた水素が抜け出し、終端の外れた結合が欠陥になると考えられています。

回復しきらない分もあります。研究者らは、この条件のPDAがフォーミングガスアニールでは回復しない欠陥を作り、スタックに残るとしています。フォーミングガスアニールが生む欠陥もありますが、SiO₂/Siの界面から少し離れた位置にあるため感度が下がり、QSSPCでははっきり検出できません。寿命の測定で見えるのは界面近くの欠陥だという点が、この評価方法の限界です。

SiC上の積層膜では、PDAの温度で層の間に結晶層ができる

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PDAの温度は、膜と膜の間に何ができるかも左右します。ミズーリ工科大学の研究者らは、p型4H-SiCの上に高誘電率のY₂O₃/Al₂O₃積層膜をRFマグネトロンスパッタで成膜し、Ar中400℃、600℃、800℃、1000℃のPDAを比べました3。X線回折と角度分解のX線光電子分光では、600℃を超えるアニールでY₂O₃とAl₂O₃の間にAl5O12Y3の結晶層ができました。各層の原子構造と厚さは高分解能TEMで調べています。

PDAの温度と積層膜の構造
Al5O12Y3結晶層Y2O3/Al2O3積層膜4H-SiC400℃600℃800℃1000℃電荷が少なく絶縁耐力が高いAr中のPDA温度
4H-SiC上のY₂O₃/Al₂O₃積層膜では、800℃と1000℃のPDAでY₂O₃とAl₂O₃の間にAl5O12Y3の結晶層ができ、電荷密度が低く絶縁耐力が高い膜になりました。

電気特性も温度で変わりました。高周波の容量電圧測定と電流電圧測定で膜の電荷と絶縁耐力を調べると、800℃と1000℃のPDAの後に電荷密度が低く、絶縁耐力が高くなりました3。

温度を上げ時間を延ばすほど、下の層まで熱バジェットを使う

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PDAの温度を上げたり時間を延ばしたりすると膜の状態は大きく変わりますが、下の界面層や基板にも熱が加わり、熱バジェットを使います。産業技術総合研究所の測定のように熱処理そのものが欠陥を作り、その一部はフォーミングガスアニールでも戻りません。PDAの条件は、後に続く回復の熱処理まで含めて決めます。

成膜後アニールとは何ですか?

薄膜を成膜した直後に行う熱処理です。英語の略でPDAと書き、膜の密着性と緻密さを上げる目的で行い、多くの場合は膜の結晶化を伴います。

ゲートスタックではどの段階で行いますか?

産業技術総合研究所の論文では、化学酸化膜の界面層の上にALDでHfO₂を成膜した後、真空中700℃で1分のPDAを行っています。その後にO₂プラズマ処理と、工程の最後のフォーミングガスアニールが続きます。

PDAで欠陥は減りますか?

産業技術総合研究所の測定では、PDAの後に欠陥が増えました。材料の原子が並び替わり、弱い結合が切れて界面のダングリングボンドを終端していた水素が抜けるためと考えられています。欠陥の大部分は最後のフォーミングガスアニールで回復しましたが、一部は残りました。

強誘電体のHfO₂では何のために行いますか?

結晶化させて強誘電性を持つ斜方晶にするためです。東芝の例では、上部電極を成膜した後の熱処理で斜方晶になりました。

フォーミングガスアニールとの違いは何ですか?

PDAは成膜直後に膜の状態を変える熱処理で、フォーミングガスアニールは工程の最後に水素を含むガスで欠陥を回復させる熱処理です。

論文ではどう書かれますか?

PDAの温度、時間、雰囲気(真空、窒素、酸素、アルゴンなど)が書かれます。同じ膜でもこの条件で特性が変わるので、条件をそろえて比べます。

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