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RTA(急速熱処理)とは

RTAとは、ウェーハ1枚をランプの光で短時間のうちに高温へ上げ、目的の反応が済んだらすぐ下げる熱処理です。 急速熱処理、ランプアニールとも呼ばれます。不純物の活性化には高温が必要な一方で、高温に長く置くと不純物が拡散して接合が深くなります。RTAは温度を保ったまま時間を短くして、この2つの制約を両立させます。同じ装置はRTP(急速熱処理)とも呼ばれ、RTAの出来は注入した原子をどこまで働かせ、どこまで動かさずに済んだかで決まります。

注入した原子は、格子位置に入って初めて電気的に働く

Section titled “注入した原子は、格子位置に入って初めて電気的に働く”

イオン注入で打ち込んだ原子は、物質中の電子や原子とぶつかってエネルギーを失い、止まります1。ぶつかられた原子は格子位置からはじき飛ばされて格子間原子になり、元の格子には空孔が残ります。注入した原子をドナーやアクセプタとして働かせるには、その原子を格子位置に入れる必要があります。

活性化アニールは、注入した原子を格子の正しい位置に収めつつ、衝突でできた格子間原子や空孔も回復させる熱処理です1。RTAは、この熱処理を秒の単位で行う手段です。

活性化アニールで起きること
注入直後アニール後注入原子空孔格子間原子活性化アニール格子位置の注入原子
注入直後は注入原子が格子の間にあり、空孔と格子間原子が残ります。活性化アニールで注入原子が格子位置に入り、空孔と格子間原子も回復します。

高い濃度で注入すると、話が一段変わります。注入した領域は結晶性が崩れてアモルファスになります1。活性化アニールでは、アモルファスと単結晶の界面から固相成長で結晶に戻しながら、ドーパントを格子位置に入れます。

高濃度注入層の結晶の戻り方
注入直後アニール中アニール後アモルファス単結晶Si界面固相成長で界面が上へ格子位置のドーパント単結晶Si
高濃度の注入でアモルファスになった層は、アニール中に単結晶との界面から固相成長で結晶に戻り、その間にドーパントが格子位置に入ります。

活性化も拡散も温度で決まるので、削れるのは時間だけ

Section titled “活性化も拡散も温度で決まるので、削れるのは時間だけ”

温度が高いほどドーパントの活性化率は上がりますが、同時にドーパントが深さ方向へ拡散します1。必要な効果と避けたい効果が、同じ温度で決まります。

残る自由度は時間です。サーマルバジェットは熱を加える温度とその持続時間で決まる総和で、高温であっても処理時間が短ければ小さく、比較的低温でも処理時間が長ければ大きくなります2。RTAは、温度を必要な高さに残したまま、時間の側だけを削る方法で、熱の上限を工程ごとに決めて拡散を抑える考え方をそのまま実行する手段です。さらに時間を縮めたのがフラッシュランプアニールで、100万分の数十秒で表面付近だけを高温にします。

レシピは温度、昇温時間、保持時間、雰囲気ガスで書く

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アニールの条件は、温度、昇温時間、保持時間、雰囲気ガスで決まり、保持時間はおおむね数秒から30分です3。RTAは反応室が小さく石英ランプで温めるため、炉よりずっと速く昇温と冷却ができます3。コーネル大学の共用装置AG Heatpulse 610は、強い可視光で試料を1〜600秒の短い時間だけ、精密に制御した温度で加熱します4。

RTAのレシピの4項目
雰囲気ガス温度時間保持温度昇温時間保持時間 数秒〜30分冷却ランプで加熱
RTAのレシピは、保持温度、そこまでの昇温時間、おおむね数秒から30分の保持時間、雰囲気ガスの4項目で書きます。

量産向けの装置では、それぞれの上限が仕様に並びます。SCREENセミコンダクターソリューションズは、赤外線ランプアニール装置は枚葉式の加熱処理装置で、数十秒で1,000℃まで急速加熱できるとしています5。業界ではこれをRTP(急速加熱処理)と呼びます。厚さ10nm以下の非常に薄いシリコン酸化膜を作れることと、1枚ずつ処理するため多品種小ロットの生産に向くことが利点で、ゲート酸化膜のように薄さが必要な膜でこの装置が選ばれます。

ハイソルのRTP・RTA装置AccuThermo AW610Mは、強い可視〜赤外光で最大1250℃、昇温速度150℃/秒まで加熱するとしています6。赤外線ランプ21本(上10本、下11本)による非接触の放射加熱で、昇温速度は10〜150℃/秒、6ゾーン独立のランプ出力制御で面内温度均一性はΔT10℃です。絶縁石英チューブとコールドウォール構造で汚れの少ない熱処理を行い、パージ置換で残留酸素濃度10ppm以下にでき、プロセスガスの流量はマスフローコントローラを最大4系統組み込んでプログラムで制御します。同社は、冷却速度は物理的に制限され、値は試料の材質や熱容量で変わるとしています。

足りなければシート抵抗が上がり、過ぎれば接合が深くなる

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温度が低いか時間が短いと、注入原子は格子位置に入りきりません。その結果はドーパント活性化の不足として、シート抵抗に現れます。シート抵抗は四探針法で測り、イオン注入層の濃度と深さで変わるため、イオン注入装置の管理手法として広く使われています7。RTAの出来も同じシート抵抗で評価し、RTAの条件は四探針で測ったシート抵抗をもとに補正します。

温度が高いか時間が長いと、今度は拡散が進みます。深さの小さい接合を作るには、注入エネルギーを下げることと、打ち込んだ後の熱で広がる分を抑えることの両方が要り、接合の深さを小さくすると抵抗が上がる副作用が出ます8。抵抗を下げたくて温度を上げれば接合が深くなり、接合の深さを小さくすれば抵抗が上がります。エクステンションのように小さな深さが要る場所ほど、この間が狭くなります。

現場で動かすのは、レシピの中の昇温速度、保持温度、保持時間、雰囲気ガスと、ゾーンごとのランプ出力の配分です。ゾーン出力の配分がずれると、差はウェーハの中心と外周の抵抗差として出ます。同じロットの中で特性が割れるため、均一性は温度の問題であり、そのまま電気特性の問題にもなります。

枚葉処理は生産性で劣り、温度の基準は校正に頼る

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RTAの制約の1つは枚葉処理であることです。成膜の方式は枚葉式とバッチ式に分かれ、1枚ずつ処理する枚葉式に対して、数十枚以上をまとめて扱えるバッチ式は生産性で上回ります。RTAは炉より速く昇降温できる代わりに、一度に入れられる試料が少なくなります3。KOKUSAI ELECTRICの枚葉トリートメント装置TANDUOは9、キュア、アニール、デガスに応じたモジュール構成を選べ、独自のサセプタヒータでウェーハ面内の温度を均一に制御します。枚葉処理を量産で成り立たせるには、搬送の速さと面内温度の均一性が必要です。高速熱処理装置の供給元は加熱時間の桁ごとに分かれています。

温度の測定にも制約があります。光で非接触に加熱するため、ウェーハに熱電対を触れさせるわけにいかず、温度は放射光から求めます。ハイソルの装置の温度測定精度は、校正後の値で熱電対が±1℃、パイロメータが±4℃です。熱電対で測れる温度域を超えた高温側では、精度の低いパイロメータで測ることになり、パイロメータの校正がその装置の温度の基準になります。短時間で高温へ上げるほど、温度そのものを正確に測りにくくなります。

校正の前提も試料を縛ります。コーネル大学の装置は割っていないシリコンウェーハで校正されており、レジストや接着剤、金属、ガスを出すおそれのある試料は入れられず、ウェーハ片や他の材料は装置の担当者と相談します4。

RTA(急速熱処理)とは何ですか?

ウェーハ1枚をランプの光で短時間のうちに高温へ上げ、目的の反応が済んだらすぐ下げる熱処理です。赤外線ランプアニール装置は数十秒で1,000℃まで急速加熱する枚葉式の装置で、業界ではこれをRTPと呼びます。

なぜ短い時間で熱を加えるのですか?

活性化と拡散の両方が同じ温度で決まるからです。活性化アニールの温度が高いほどドーパントの活性化率は上がりますが、同時にドーパントが深さ方向へ拡散します。温度を保ったまま時間だけを短くすると、活性化を確保しながら拡散を抑えられます。

炉での熱処理と何が違いますか?

一度に処理する枚数と、熱をかける時間が違います。RTAは反応室が小さくランプで温めるため、炉よりずっと速く昇温と冷却ができますが、一度に入れられる試料は少なくなります。数十枚以上をまとめて処理するバッチ式のほうが生産性は上です。

RTAの温度はどうやって測るのですか?

光で非接触に加熱するため、放射光から温度を求める計器を使います。ハイソルのRTP・RTA装置には450〜1250℃を測るパイロメータのオプションがあり、温度測定精度は校正後で熱電対が±1℃、パイロメータが±4℃です。

うまく仕上がったかどうかは何で分かりますか?

シート抵抗が物差しになります。シート抵抗は四探針法で測り、イオン注入層の濃度と深さに依存するため、イオン注入装置の管理手法として広く使われています。活性化が足りなければ抵抗が高く出ます。

RTAとフラッシュランプアニールはどう違いますか?

光を当てる時間が違います。フラッシュランプアニール装置の光源は写真用のフラッシュと同じ仕組みで、100万分の数十秒でウェーハを高温にします。光が当たるのは一瞬なので加熱されるのは表面付近だけで、常温まで下がるのも速くなります。

RTAの欠点は何ですか?

生産性と、温度の読み取りにくさです。1枚ずつ流す装置のため、枚数はまとめて流す装置に劣ります。またウェーハに温度計を触れさせにくいため、パイロメータの校正がそのまま温度の基準になります。共用装置には、割っていないシリコンウェーハで校正され、ウェーハ片や他の材料は担当者と相談するものもあります。

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