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RF電源・整合器とは

RF電源とは、プラズマを作って保つために高周波の電力を送る装置です。 電源とプラズマの間には整合器が入り、電源から見た負荷の値を合わせ続けます。プラズマのインピーダンスは点火の前後でも工程の条件でも動くため、整合器は条件ごとに合わせ直し、その速さと確かさが電源の出力と並んで結果を左右します。合わせ損ねた分の電力はプラズマへ届かずに電源へ戻り、電源と整合器を傷め、最後はパーティクルと歩留まりへ返ります。

プラズマの値が動くので、整合器は50Ωへ合わせ続ける

Section titled “プラズマの値が動くので、整合器は50Ωへ合わせ続ける”

ドライエッチングもPECVDもスパッタリングも、プラズマがあってはじめて成り立ちます。ガスへ高周波の電力を送り込み、電子を加速して分子を電離させ、その状態を加工のあいだ保ち続ける必要があります。RF電源は直流のDC電源と違い、極性と出力が周期的に変わる高周波(交流)1を出します。RFでプラズマを励起する方法には、容量結合プラズマ(CCP)と誘導結合プラズマ(ICP)があります2。

高周波を送るときは、送り手と受け手のインピーダンスが揃っているかどうかが結果を左右します。高周波には反射という現象があり、負荷に効率よく電力を供給するには、電源側から見たインピーダンスを50Ωにする必要があります1。RF電源は50Ωの負荷へ電力を送る前提で作られています。ずれていれば、送った電力の一部は電源側へ戻り、戻った分はプラズマへ届かず、電源の側では熱になります。

やっかいなのは、プラズマのインピーダンスが動くことです。点火する前のガスはほぼ絶縁体で、点火した後は電流の通る導体に近づきます。同じ装置でも、ガス種、圧力、投入電力を動かせば値は移り、ハード構成や圧力によっても負荷のインピーダンスは異なります1。合わせる相手は工程ごとに、そして工程の途中でも移ります。

整合器はこの間に入ります。中身はコンデンサ(C、電気をためる素子)とコイル(L、電流の変化に抵抗する素子)を組んだ回路で、一般にはマッチングボックス内の可変コンデンサを変化させてインピーダンスを変換し1、電源から見た値を50Ωに合わせます。ダイヘンのRF電源の製品群には、自動整合のためのマッチユニットがあります3。

電源、整合器、プラズマ
RF電源進行波電力反射波電力整合器可変CLプラズマチャンバー電源から見て50Ω構成・圧力・点火で動く
整合器は可変コンデンサとコイルで、動くプラズマの負荷を電源から50Ωに見せます。ずれた分は反射波電力として電源へ戻ります。

アドテックプラズマテクノロジーの自動インピーダンス整合装置AMVGシリーズは、プリセットとLCネットワークの標準ライブラリを内蔵し、対応周波数は380kHz~40.68MHz、対応電力は300W~30kWです4。整合器は、桁の離れた周波数と電力の両方をまたいで作られています。

13.56MHzは、電波の割り当てから決まった数字

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単にRFプラズマといえば、13.56MHzの高周波電力で励起されるプラズマを指すことが多く2、RF電源のカタログにもこの半端な数字が繰り返し登場します。13.56MHzはISM(Industry Science Medical、工業・科学・医療)バンドと呼ばれる周波数に属し、電波法では免許が不要で、届出と許可によって使えます。電波法での高周波は、10kHz以上の高周波電流です。13.56MHzは、プラズマの物理から出てきた数字というより、電波の割り当てから決まった数字です。

割り当ての内側に収まることは、高調波でも意味を持ちます。RFでプラズマを励起すると波形が歪み、第二次高調波・第三次高調波が大きく発生する場合があります。とくにCCPでは、イオンと電子の動きやすさの差でプラス側とマイナス側の電流の大きさが大きく異なるので、第二次高調波はほぼ確実に発生します2。13.56MHzの2倍の27.12MHzも、3倍の40.68MHzもISMの周波数なので、歪みの行き先まで割り当ての内側に収まります。

使う周波数は13.56MHzのほかにもあります。京三製作所は発振周波数400kHzのRFジェネレータと13.56MHzのRFジェネレータ5を並べて製品にしています。アドテックの整合器の対応周波数380kHz~40.68MHzに当てはめると、400kHzから13.56MHzの3倍の高調波までが入ります。プラズマは周波数によって性質が変わるので、周波数はプラズマの性質を選ぶつまみでもあります。

周波数の目盛り
ISMの周波数13.56MHz27.12MHz40.68MHz2倍3倍京三製作所のRFジェネレータ400kHzAMVGの対応周波数100kHz1MHz10MHz100MHz
13.56MHzとその2倍、3倍の周波数はいずれもISMの割り当てに入ります。京三製作所は400kHzと13.56MHzの電源を持ち、AMVGの380kHz~40.68MHzはその両方と3倍の高調波までを覆います。

整合速度は、可動部ありの3秒と駆動部レスの1msで3,000倍違う

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整合器の実力は、メーカーの公開仕様の数字で比べられます。ダイヘンの13.56MHz RGAシリーズ(500W~30kW)では6、自動整合器の整合精度が1%以内(電力比)、整合速度が3秒以内です。高周波電源の側は、定格出力3kWと5kWの機種で、出力安定度が±1%または±3Wのどちらか大きい方以内、パルス周波数が1Hz~100kHz、冷却は強制空冷と水冷の併用です。

この3秒は、可変コンデンサの位置をモーターで動かす方式の速さです。ダイヘンは、独自のアルゴリズムで最適なポジションを計算で求めるため、無駄な動作を抑えた高速・高精度な整合ができるとしています。位置を手当たり次第に探すかわりに計算で求めることが、この速さの根拠です。

京三製作所の電子マッチャーは7、半導体市場で要求される高スループットに対応するため、駆動部をなくした整合器です。電流制御でインダクタンスを変える可変リアクトルを使い、高速電流制御による1ms以内の高速マッチングをうたいます7。可動部を動かす方式の3秒と、電流でインダクタンスを動かす方式の1msには、同じ「整合速度」という項目で3,000倍の開きがあります。

電子マッチャーの推奨用途は、短期プロセス、ALD/ALEプロセス、RF-ON時の条件変化を伴うプロセス、高インピーダンス・広い整合範囲が必要なプロセスです。ALDやALEは短いサイクルを何度も繰り返す工程で、サイクルのたびに整合へ秒単位の時間がかかる方式では、合わせ直しの時間がサイクルの数だけ積み上がります。電子マッチャーは、プリセット機能でイグニション動作を最適化する機能も持ちます。点火の瞬間は負荷が絶縁体側から導体側へ移るため、整合にとって最もきつい場面です。

時間の目盛り
放電の過渡応答数ns電子マッチャー(駆動部なし)1ms以内モーター駆動の自動整合器3秒以内3,000倍1ns1µs1ms1s時間(対数)
放電の過渡応答は数nsec台になることがあり、整合は駆動部のない方式で1ms以内、モーターで可変コンデンサを動かす方式で3秒以内です。整合の2方式には3,000倍の開きがあります。

ずれは反射波の電力に出て、放っておくと電源と整合器を傷める

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整合器は、電源から出ていく電力(進行波電力)と、戻ってくる電力(反射波電力)を手がかりに合わせます。アドテックの自動インピーダンス整合装置AMVGシリーズは、専用ソフトで進行波、反射波の電力などをリアルタイムに表示し、スミスチャート上でチャンバーインピーダンスを監視します8。スミスチャートは負荷のインピーダンスを図の上の1点として示すもので、チャンバーの状態を1点の動きとして追うために使われます。

電子マッチャーの機能にある「リニア動作による反射波0W制御」は、この測り方をそのまま目標に据えた書き方で、反射波の電力をゼロへ近づけることが整合の目標そのものです。ダイヘンの自動整合器もパソコンからのモニタ機能でデータを測定・監視でき、整合の状態は装置の外から読める数字になっています。ダイヘンの整合精度「1%以内」に付いた「(電力比)」も、整合の良し悪しを電力の比で測ることを示しています。

ずれた分の電力は電源へ戻り、電源にとっては熱になり、条件によっては破壊の原因になります。電子が主体となる放電現象では過渡応答が数nsec台になることもあり、反射電力で過度な電圧電流がかかって電源が破壊に至ることがあります9。プラズマ側の変化が数ナノ秒で起きうるのに対し、可動部を持つ整合器の合わせ直しは秒の単位です。この時間差が、反射の来る側の事情です。一方でアリオスは、RF電源は大電力を除きソリッドステートなので寿命の心配は少なく、回路的に十分な保護がされていることが多いとしています9。

整合器そのものも壊れます。RFのトラブルで多いのはマッチングボックスの焼損です9。マッチングボックスは共振に近い状態で動作することが多く、大きな電流と電圧が同時に立つため、わずかな条件の変化で電流や電圧が急上昇し、内部素子の定格を超えることがあります。不調のときは素子の焼損を確かめます。アドテックがプラズマ用高周波電源の特徴に「高反射に耐える高信頼、高耐久設計」を掲げる程度には、反射は日常的な相手です。

症状はウエハー側にも回ります。異常放電は、本来安定した放電(グロー放電)が起こるべき場所にアーク放電が起こる現象で1、主に電極表面の小さな突起や異物に電界が集中して局所的な大電流が流れることを指します。異常放電はパーティクルの発生による製品歩留まり低下などの原因になる場合があり、整合の乱れは最後にパーティクルと歩留まりへ返ります。

パルス出力は、切っている間の過渡状態を使う

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ダイヘンのAVANCERは3、半導体製造プロセスに必要な各種機能を備えた高信頼のRF電源ブランドで、パルスRF出力と省電力を機能に持ちます。特長は高密度プラズマプロセスでの再現性、安定性、高度なプラズマ制御で、用途は半導体製造プロセスとフラットパネルディスプレイです。エッチング装置の側でも、AMATはパルス化したRF電源を製品の制御技術に挙げています。

連続で送り続けると、プラズマの状態は1つの釣り合った点へ落ち着きます。入切を繰り返せば、切っている間に電子の温度が下がり、イオンと中性の粒子の比率が動きます。この過渡の状態を使うと、連続出力のときとは別の条件が作れます。

入切の速さも公開仕様に載っています。RGAシリーズのパルス周波数は、標準タイプで1Hz~100kHz(1レベル)、高機能タイプで1Hz~100kHz(2レベル)です。1Hzは1秒に1回、100kHzは1秒に10万回で、5桁の幅があります。ダイヘンは高機能タイプについて、3D NANDやFinFETといった最先端プロセス向けにも対応し、高い選択性や均一性が求められるプロセス開発に貢献するとしています。

2台のRF電源で、イオンの密度とエネルギーを分けて制御する

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1台の装置にRF電源が2台入る構成があります。オックスフォード・インストゥルメンツのICP RIEは、セパレートタイプのRFジェネレーターとICPジェネレーターによって、イオンエネルギーとイオン密度を個別に制御でき、プロセスの柔軟性が高いとしています10。コイル側のジェネレーターがプラズマの濃さを、基板側のRFジェネレーターがバイアス電力としてイオンの当たる強さを担当します。基板のDCバイアスはRFジェネレーターで独立に制御され、プロセスの必要に応じたイオンエネルギーに合わせます。イオン密度は10¹¹ cm⁻³超と高い値です。

ICP RIEの2台の電源
プラズマ10¹¹ cm⁻³超ICPジェネレーターイオン密度を決めるRFジェネレーターイオンエネルギーを決めるコイル誘電体窓イオン基板基板電極基板のDCバイアスはRF側で独立に制御
コイル側のICPジェネレーターがプラズマのイオン密度を、基板側のRFジェネレーターがDCバイアスを通してイオンエネルギーを受け持ちます。

用途はエッチングのほかにもあります。DC電源とRF電源の違いは極性の有無と周波数の高さで、RF電源は放射や反射への機構的なノイズ対策と電力ロス対策が要るかわりに、絶縁物ターゲットへスパッタできるというDC電源にない利点があり、CVD、エッチング、アッシング用の電源にも使えます。

規模にも幅があります。アルバックのRMG-1303は、RFスパッタリング、プラズマCVD、エッチング等のプラズマプロセス用の13.56MHz・300W出力の整合器内蔵型RF電源で11、整合器とRF電源を一体にして小型・軽量にしています。オートマッチングコントローラ機能を内蔵するので、RF電源本体のユニットだけで電力制御とマッチング制御ができます11。同社のシステムは、13.56MHzで動く複数台のRF電源に対し、それぞれの出力の位相を任意に変えられるとしています。300Wの一体型から30kWの量産機まで、同じ13.56MHzという周波数の上に並んでいます。

RF電源とは何ですか?

プラズマを作って保つために高周波の電力を送る装置です。直流のDC電源と違い、極性と出力が周期的に変わります。ダイヘンのAVANCERは、半導体製造プロセスに必要な各種機能を備えた高信頼のRF電源ブランドです。

整合器は何をしますか?

電源から見た負荷のインピーダンスを、電源が電力を送り出せる値へ合わせます。一般にはマッチングボックス内の可変コンデンサを動かしてインピーダンスを変換します。ダイヘンは自動整合のためのマッチユニットを製品に持ちます。

なぜ整合が要るのですか?

電源と負荷のインピーダンスがずれると、送った電力の一部が電源側へ戻るためです。戻る分だけプラズマへ届く電力が減り、電源も熱を持ちます。整合器が中間に入って、電源から見た値を合わせます。

なぜ自動で追従するのですか?

プラズマのインピーダンスが動くためです。点火の前と後では負荷がまったく別物になり、点火後もガス種、圧力、投入電力、装置の構成によって値が動きます。値の決まった回路では追いつかず、条件ごとに合わせ直す必要があります。

パルス出力とは何ですか?

電力を連続で送るかわりに、入切を繰り返して送る方式です。ダイヘンのRF電源は、パルスRF出力と省電力を機能に持ちます。切っている間にプラズマの状態が移るため、連続出力のときとは別の条件が作れます。

どの装置で使いますか?

プラズマを使う装置です。ドライエッチング、PECVD、スパッタリングはいずれもプラズマで成り立ち、RF電源は絶縁物ターゲットへのスパッタやCVD、エッチング、アッシングにも使えます。ダイヘンのRF電源の用途は、半導体製造プロセスとフラットパネルディスプレイです。

なぜ50Ωという値に合わせるのですか?

電源が50Ωの負荷へ電力を送る前提で作られているためです。負荷に効率よく電力を供給するには、電源側から見たインピーダンスを50Ωにする必要があります。整合器は可変コンデンサを動かし、動くプラズマを電源側から50Ωに見せます。

なぜ13.56MHzという半端な周波数が多いのですか?

電波の割り当てから決まった数字です。13.56MHzはISM(Industry Science Medical)バンドと呼ばれる周波数に属し、電波法では免許が不要で、届出と許可によって使えます。2倍の27.12MHz、3倍の40.68MHzもISMの周波数で、プラズマが生む高調波も割り当ての内側に収まります。

整合にはどれくらい時間がかかりますか?

方式で桁が動きます。ダイヘンの13.56MHz RGAシリーズの自動整合器は整合速度3秒以内、整合精度1%以内(電力比)で、京三製作所の電子マッチャーは1ms以内の高速マッチングをうたいます。両者には3,000倍の開きがあります。

電子マッチャーとは何ですか?

駆動部を省いた整合器です。京三製作所の電子マッチャーは、電流制御によりインダクタンスを変える可変リアクトルを使い、1ms以内の高速マッチングと、リニア動作による反射波0W制御をうたいます。推奨用途にはALD/ALEプロセスやRF-ON時の条件変化を伴うプロセスが入ります。

整合の状態はどこで読めますか?

進行波電力と反射波電力です。アドテックプラズマテクノロジーの自動インピーダンス整合装置は、専用ソフトで進行波、反射波の電力などをリアルタイムに表示し、スミスチャート上でチャンバーインピーダンスを監視します。

整合がずれると何が起きますか?

反射した電力が電源へ戻ります。反射電力で過度な電圧と電流がかかると電源が破壊に至ることがあり、RFのトラブルで多いのはマッチングボックスの焼損です。異常放電は、パーティクルの発生による製品歩留まり低下などの原因になる場合があります。

1台の装置にRF電源は何台入りますか?

2台入る構成があります。オックスフォード・インストゥルメンツのICP RIEは、セパレートタイプのRFジェネレーターとICPジェネレーターで、イオンエネルギーとイオン密度を個別に制御できます。コイル側がプラズマの濃さ、基板側がイオンの当たる強さを担当します。

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