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講座集 / 薄膜成膜の物理と化学

VOL.03

薄膜成膜の物理と化学

CVD、膜厚計、エピタキシー、蒸発源、グロー放電。どの過程が速さを決めているかを見分ける。

回
19
通して読む目安
7.2 h
出典
144
対象
成膜工程に関わる人。化学平衡と反応速度の初歩があれば読める。
読み終えたときにできること
成膜装置の前で「いま何が律速か」を、熱力学・速度論・幾何・プラズマのどの物差しで測るべきか選べる状態にする。

全 19 回

  • 標準 17
  • 応用 2
  1. 01 CVD の反応:熱力学で保証される選択成長は 20 nm まで タングステンの選択 CVD で、熱力学が保証してくれるのは、Si を食って W に置き換わる最初の薄い層だけです。厚く積むために H₂ を足すと選択性は反応速度の問題に変わり、潜伏時間を過ぎて核ができると一気に崩れます。 24 分
  2. 02 成膜レート計:水晶振動子は面密度、光学法は光学的厚さを測る 成膜レート計はどれも厚さを直接は測っておらず、水晶振動子は質量を、光学式は光の位相を、密度や屈折率で厚さに換算しています。膜が多孔質になると換算の定数が狂い、質量法と光学法がそろって同じ向きにずれます。 20 分
  3. 03 エピタキシーの条件:格子のずれより清浄度が効く 格子定数が 15% ずれた組み合わせでも、面と向きを選び直せばエピタキシャルに育ちます。逆に、結晶の向きを伝える結合は原子 1〜2 個分しか届かないので、1 原子層に満たない汚れでも、そこから上の結晶性が失われます。 24 分
  4. 04 電子ビーム・アーク・レーザー蒸発:表面を離れる原子は 0.2 eV 電子ビームもアークもパルスレーザーも、固体から原子を引きはがす仕組みは同じ熱蒸発です。高いパワー密度は飛沫も生むので、飛沫を出さないイオンビームスパッタが EUV マスクブランクの成膜に選ばれています。 22 分
  5. 05 熱蒸発源:温度 1% の誤差が成膜速度 20% の誤差になる 熱蒸発では、源の温度をわずかに誤るだけで成膜速度が大きく狂い、飛び出す原子のエネルギーは Si の結合エネルギーの 12 分の 1 しかありません。膜厚の分布も源と基板の幾何で決まるので、温度では動かせない部分をどう補うかを考えます。 20 分
  6. 06 グロー放電の構造:プラズマに触れる面には 10 eV 以上のイオンが入る グロー放電ではガスは 200 °C 程度にとどまり、電子だけが数 eV まで熱くなります。この差がシースを作るので、プラズマに触れる面はどれもイオンを浴び、その衝撃は強められても 10 eV より弱くはできません。 14 分
  7. 07 Knudsen 数と熱伝達:Kn が 1 を超えると He の利点が消える 気体の熱伝導率はふつう圧力によりませんが、平均自由行程がすき間より長くなると、熱の流れは圧力に比例するようになります。この領域では、常圧で Ar の 8.6 倍熱を通す He が、壁との熱のやり取りの悪さのために逆に不利になります。 26 分
  8. 08 真空系の設計:ポンプ速度と配管径は運転圧力で決まる 同じ 200 sccm を流す工程でも、どの圧力で運転するかで必要なポンプ速度は 1 万倍変わり、分子流では配管の口径が上限を決めます。到達圧力ではなく運転圧力から、ポンプ・配管・計器を順に決めていく手順をまとめます。 24 分
  9. 09 真空の汚染:オイル逆流を防ぐ下限は圧力 × 内径で 50 Pa·cm ポンプの油は、配管の中が分子流になるとガスの流れに逆らって装置側へ上ってきます。圧力と内径の積に下限を設ければ防げて、わずかなパージを足すだけで油の分圧は桁違いに下がります。 26 分
  10. 10 イオン照射の 3 段階:膜全体の変化は原子あたりのエネルギーで決まる イオンが膜の表面だけを動かすか、中まで壊すかは、1 個あたりの入射エネルギーで決まります。ところが膜全体の密度や応力は、膜の原子 1 個が受け取るエネルギーの合計で決まり、イオンのエネルギーを 15 eV から 600 eV まで変えても同じ値で変化が起きます。 26 分
  11. 11 吸着と表面拡散:拡散距離は再蒸発の直前で最大になる 成膜中に原子が表面をどれだけ動けるかは、吸着の強さで 8 万倍も変わり、温度を上げても再蒸発が始まる手前までしか伸びません。表面拡散に頼れるかどうかを温度と結合の種類から判断し、EUV 用の Mo/Si 多層膜で成膜中の平滑化が使えなかった理由を考えます。 22 分
  12. 12 構造帯モデル:境目の実測値は 0.3 より低い 0.24 膜の構造は融点で割った基板温度で決まる、という構造帯モデルを原典にさかのぼって読み直します。原典が実際に見たのは 3 つの帯のうち 2 つで、室温で積んだ Al はすでに境目より上、W はその 3 分の 1 の温度にいます。 25 分
  13. 13 段差被覆と反応確率:アスペクト比 43 を等厚で覆うには 0.0024 以下 深い溝の底まで膜を届かせられるかは、反応確率とアスペクト比の積で決まります。100 nm の溝は常圧でも中は分子流なので、炉の圧力とは切り離して考える必要があり、重い不活性ガスを混ぜると実効の反応確率を下げられます。 22 分
  14. 14 濡れと多層膜:層状成長が両方向に成り立つのは同じ材料だけ A の上に B が平らに広がるなら、B の上の A は平らには広がれません。そのため 2 種類の材料を交互に積む多層膜では、A の上に B を積んだ界面と B の上に A を積んだ界面が別の族に分かれ、その粗さが反射率を左右します。 24 分
  15. 15 膜応力の分離:熱膨張係数の取り方で真性応力の符号が変わる ウェーハの反りから分かるのは膜の総応力だけです。熱応力と真性応力を分けるには温度を振って測る方法があり、剥がれるかどうかには応力に加えて界面の靭性が効きます。 23 分
  16. 16 RF 放電の境目周波数:Ar で 1〜2.5 MHz、電圧の −1/4 乗で動く RF 放電の周波数が、イオンがシースを渡る時間より速いか遅いかで、イオンが受け取るエネルギーの分布は大きく変わります。その境目は電圧を変えてもほとんど動かず、軽い水素イオンでは 13.56 MHz でも境目の近くにあります。 22 分
  17. 17 SiGe の臨界膜厚:平衡の計算値 13.5 nm と公開試料の比較 臨界膜厚は、膜にたまる歪みのエネルギーと転位 1 本のエネルギーの損得勘定で決まり、式からは弾性率が消えます。平衡の計算は公開試料とよく合う一方、700 °C の実測値は 5 倍厚く、その差は準安定性で説明できます。 25 分
  18. 18 DC 放電の下限 40 Pa·cm:電離の平均自由行程から出る値 平行平板の DC 放電は、圧力と電極間隔の積がある値を下回ると保てなくなり、その下限は電離の平均自由行程から導けます。マグネトロンでは磁場が電子の飛ぶ距離を電極間隔から切り離すので、低い圧力でも放電を保てます。 22 分
  19. 19 均一性と材料利用率:点源で ±1% を取ると利用率は 0.50% 点源から膜を積むとき、膜厚をそろえようとするほど材料の大半はウェーハの外へ飛んでいき、この関係は源との距離やウェーハ径を変えても崩れません。同じ反応器の中でも、チャンバと微細な溝では気体の流れ方が違うので、調整すべきつまみも別になります。 22 分