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界面準位とは

界面準位とは、Si と絶縁膜の界面で結合の相手を失った原子が、バンドギャップの中に作るエネルギー準位です。 記号では Dit と書き、単位は cm^-2 eV^-1 です。界面準位は工程が新しく作る量というより、表面にもともとある未結合手の埋め残りです。埋めるのに使う水素の結合は切れやすく、使ううちに界面準位が再び増えることがあります。初期値を良くする手段が、そのまま長期の弱点になる点が信頼性の難しさです。

界面準位は、工程ごとに桁で下がる埋め残りの量

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工程によるDitの変化
Dit(cm⁻² eV⁻¹)10¹⁴10¹²10¹⁰約10¹⁴約10¹²約10¹⁰熱酸化水素アニール400〜450℃素の Si 表面熱酸化の後水素アニールの後
素の Si 表面で約10¹⁴ある界面準位密度は、熱酸化で約10¹²、水素アニールで約10¹⁰まで、工程ごとに2桁ずつ下がります。

Siの原子は結合の手を4本持ち、表面では相手を失った手が余ります。界面準位密度は、酸化前の素の Si 表面で約 10^14 cm^-2 eV^-1、熱酸化した直後で約 10^12、水素アニールの後で約 10^10と1、3 段階で下がります。

製造の最後に水素アニールを行うのは、余った手を水素で埋めて、界面準位による電気特性のばらつきをなくすためです。条件は400〜450℃で20〜30分です1。温度が低いのは、この工程が配線を作った後に行われるためです。

界面準位は、表面を切り出した時点で 10^14 台あり、工程はそれを埋めて減らしていきます。したがって「増えた」という観測は、埋めた水素が抜けたことを意味します。

界面の欠陥は4種類で、界面準位そのものは未結合手

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界面と酸化膜の欠陥
ゲート酸化膜Si 基板O未結合手界面準位Si-HSi-OHSi-Si(酸素空孔)Si 原子OHSi
界面準位そのものは、相手のいない未結合手です。水素で埋めた状態がSi-H、水由来の結合がSi-OHで、酸化膜の中の酸素空孔はSiどうしが直接つながった欠陥です。

SiとSiO2の界面と膜中の欠陥は4つあります。酸素空孔にあたるSi-Si結合、未結合手、水素で埋めたSi-H結合、Si-OH結合です。

界面準位そのものは未結合手で、バンドギャップの中にエネルギー準位を作り1、そこに電荷が捕まります。アクセプタ型の準位は電子が入ると負に、ドナー型の準位は電子が抜けると正に帯電します。Si-H は埋めた状態ですが、結合が弱いため NBTI やホットキャリアで切れます。Si-OH は水由来で、湿式の酸化膜が乾式より劣化しやすい理由になります。

酸素空孔は性質がやや異なり、ホールを捕まえて正の固定電荷になります。界面準位と酸化膜中の正電荷がほぼ同じ速さで増えるという観測は、この 2 つが同じ応力で同時に生まれることを示しています。負のゲートバイアスで固定電荷と界面準位が生まれる現象は、MOSの開発のごく初期、1967年にすでに観測されていました1。

10個の欠陥で、しきい値電圧は5 mV動く

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界面準位の密度をしきい値電圧の変化に換算するには、面積を使います。0.1 μm × 1.0 μmのゲート、つまり面積10^-9 cm^2の下に10^10 cm^-2の界面準位があると、実数で10個です。この条件で酸化膜厚が5 nmなら、しきい値電圧の変化はおよそ5 mVです。

変化が50 mVに達すると素子の不良とみなす例では、そのときの界面準位の増分は10^11 cm^-2のレベルになります。桁で読めば、余裕はちょうど 1 桁です。アナログ回路では、対になる 2 つのトランジスタのうち片方だけが 10 mV 動くと、それが直接ばらつきになります。

影響はしきい値電圧にとどまりません。界面に捕まった電荷はチャネルの走行を乱し、サブスレッショルドスイングやキャリア移動度にも出ます。ホットキャリアは、界面準位の生成、酸化膜への電荷捕獲、移動度と相互コンダクタンスの劣化を通じて素子を劣化させます1。

チャージポンピング法は、界面で再結合した分だけを電流として数える

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チャージポンピングのゲートパルス
ゲート電圧時間しきい値電圧フラットバンド電圧反転蓄積CP電流が流れる再結合電流なし
ゲートを蓄積と反転の間で振ると、界面準位が正孔と電子で交互に満たされて再結合し、基板に電流が流れます。パルス全体がフラットバンド電圧より下だと、界面準位は正孔で満たされたままで電流は流れません。

チャージポンピング法では、ソースとドレインを基板に対して逆バイアスにし、ゲートを蓄積と反転の間でパルス駆動しながら、基板側で電流を測ります2。界面準位は正孔と電子で交互に満たされ、反対の型のキャリアと再結合するので、正味の電流が流れます。この電流はソース・ドレインと基板のダイオードの漏れ電流と逆向きに流れます。パルス全体がフラットバンド電圧より下にあると、基板はずっと蓄積状態のままで、界面準位は正孔で満たされ続け、再結合電流は測れません。

得られる電流が密度に比例するため、しきい値電圧の変化とは独立に界面準位だけを測れます。立ち上がりと立ち下がりの時間を変える方式では、Ditのエネルギー分布まで求められます。NISTはこの方式で、Si上の1〜2原子層のSiON緩衝層にHigh-kのHfO2を載せたゲート絶縁膜を調べ、バンドギャップの上半分のほうが下半分よりDitが高いという結果3を報告しています。この結果は、サブスレッショルドの電流電圧特性、容量電圧特性、交流コンダクタンス法による定性的な結果とも一致しています。

SOIでは、表と裏の2つの界面があります。IBM Researchの研究は、完全空乏型SOIの表ゲートだけで両方の界面の界面準位を測れるチャージポンピング法4を示しました。2つの界面の強い結合を利用した方法で、表チャネルへホットキャリアを注入すると裏チャネルも物理的に損傷し、表ゲートからのFN注入では損傷が表の界面だけに出ることが分かっています。

測る速さで、観測される増分が変わる

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マイクロ秒レベルの短時間測定が使えるようになって、それまで観測できなかった速い劣化と回復が見つかり、劣化メカニズムの見直しが進んでいます5。同じ試料でも、測るのが速いか遅いかで界面準位の増分は異なる値として観測されるので、数値は測定法と待ち時間とあわせて残す必要があります。

減らす方法はどれも、初期値と長期の安定性の引き換え

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水素アニールは界面準位を 2 桁下げますが、NBTI やホットキャリアで切れやすい弱い Si-H 結合を界面に残します。重水素へ置き換えると結合は強くなりますが、供給と工程の手間が増えます。窒素を入れるとゲートリークは下がるものの、界面の窒素は劣化を速める向きに働きます。どの方法も、初期値の良さと長期の安定性のどちらを優先するかというトレードオフです。

界面準位とは何ですか?

Si と絶縁膜の界面で結合の相手を失った原子が、バンドギャップの中に作るエネルギー準位です。記号では Dit と書き、単位は cm^-2 eV^-1 です。

どのくらいの密度ですか?

酸化前の素の Si 表面で約 10^14、熱酸化した直後で約 10^12、水素アニールの後で約 10^10 cm^-2 eV^-1 です。

どうやって減らしますか?

水素で未結合手を埋めます。条件は400〜450℃で20〜30分の水素アニールです。界面準位は工程で新しく作る量というより、埋め残った量です。

どのくらい影響しますか?

0.1 μm × 1.0 μmのゲートの下に界面準位が10^10 cm^-2あると実数で10個で、酸化膜厚5 nmではしきい値電圧が約5 mV変わります。

どうやって測りますか?

チャージポンピング法が代表的です。ゲートを蓄積と反転の間でパルス駆動すると、界面準位を通って再結合した分が基板の電流として流れ、その電流が界面準位の密度に比例します。

トランジスタの何に出ますか?

しきい値電圧、サブスレッショルド傾き、移動度、相互コンダクタンスに出ます。界面に捕まった電荷がチャネルの走行を乱すためです。

酸化膜中のトラップとは違いますか?

場所が違います。界面準位は Si と絶縁膜の境目、酸化膜トラップは膜の中にあります。戻り方の速さも違い、膜中のほうが速く放出します。

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