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半導体の工程分類は7つの段階|前工程は作業名と部品名の2系統

半導体の工程とは、回路を設計してから、ウェーハに作り込み、チップに切り分けて包むまでの一連の作業を指す。その工程名は、3つの軸で読めば位置が決まる。どの段階か、作業の名前か部品の名前か、どの作業のどんな方式か。半導体は、成膜や加工などの要素技術を何百回も組み合わせて1作られ、名前の付いた工程は膨大になる。SemiMapの分類では342の工程が7つの段階に並び、その半分以上の188が前工程に集まる。

迷う原因は数より呼び方にある。前工程には、成膜・エッチング・CMPのような作業の名前と、素子分離・ゲート形成・配線形成のような部品の名前が混ざっている。部品の工程は作業を並べたまとまりで、同じ作業がいくつもの部品に繰り返し出てくる。この2つを分けると、工程の一覧が表として読める。ウェーハはチップを作り込むシリコンの円板で、1枚から多数のチップを切り出す。

半導体設計フォトマスク前工程後工程ウェーハテストファイナルテスト ウェーハ・基板 22101418858 テスト(前半)テスト(後半) 検査・計測 31 途中で寸法・膜厚・欠陥を測る
数字は各段階に入る工程の数。前工程が全体の半分以上を占め、テストの19工程は後工程の前と後で行う。

半導体は、回路を決め、原版に焼き、ウェーハに作り込み、チップに切り分けて包む。この流れが、設計・マスク・ウェーハ・前工程・後工程の骨格になる。検査・計測は前工程の途中に何度も入り、テストは後工程の前と後に置かれる。

  • 半導体設計(22工程):論理設計、配置配線、設計検証など、チップの図面を作る。
  • フォトマスク・レチクル(10工程):設計データを、露光の原版になるマスクへ描く。
  • ウェーハ・基板製造(14工程):シリコンの単結晶を育て、薄く切り、鏡面に磨く。フジミの加工プロセスの一覧では2、引き上げ、外周研削、スライス、面取り、ラップ、研磨、洗浄、検査の順に進む。
  • 前工程(188工程):ウェーハの上にトランジスタと配線を作り込む。
  • 検査・計測(31工程):できた形を測り、材料を分析する。
  • テスト(19工程):電気を流して、チップが動くかを確かめる。
  • 後工程(58工程):ウェーハをチップに切り分け、つなぎ、包む。

テストが2回に分かれるのには理由がある。日本半導体製造装置協会(SEAJ)の工程図では、ウェーハのままチップごとに試験し、不良品に印を付ける工程3が前工程の最後に、温度と電圧をかけるバーンインと製品検査4が後工程の終盤にある。先に不良チップに印を付けておけば、組み立ての手間を良品だけに使える。

7つの段階は、会社の分業の境目にもなる

Section titled “7つの段階は、会社の分業の境目にもなる”

多くの段階で、段階の切れ目は会社の切れ目と重なる。設計だけを行い工場を持たないファブレス、他社の設計を受けて前工程を担うファウンドリ、組み立てとテストを受けるOSATが、それぞれ段階を分け持つ。設計から後工程までを自社で持つのがIDMで、大手のファウンドリやIDMはマスクを自社で作ることもある。

設計マスクウェーハ前工程検査・計測テスト後工程 IDM:設計から後工程までを自社で持つ 分業する会社 ファブレスマスクメーカーウェーハメーカーファウンドリOSAT 道具を作る会社 EDA・IP描画・検査装置ウェーハ加工装置前工程装置検査・計測装置テスター切断・封止装置
多くの段階で、分業する会社の境目は段階の境目と重なる。ファウンドリは検査・計測を工場の中で行い、OSATはテストと組み立てをまとめて受ける。

会社名で見ると、設計はNVIDIAのようなファブレスと、設計ツールのSynopsysや設計資産のArmが支える。マスクは大日本印刷、マスクの素材になるブランクスはHOYA、マスクの検査装置はレーザーテック、ウェーハは信越化学工業とSUMCOが作る。前工程はTSMCのようなファウンドリや、自社工場でメモリを作るキオクシアの工場で進み、装置は東京エレクトロンやASMLが、検査・計測装置はKLAが供給する。テスターはアドバンテストとテラダイン、後工程の受託はASEとAmkor、切断と研削の装置はディスコ、封止の装置はTOWAが担う。業界全体の地図は半導体業界の研究ページにまとめている。

前工程の工程名は「作業」と「部品」の2系統

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前工程の直下には20の工程が並ぶ。このうち8つは作業の名前だ。リソグラフィ、エッチング、成膜、酸化・拡散、イオン注入、アニール・熱処理、CMP(化学機械研磨)、洗浄・表面処理。電子情報通信学会の知識ベースは、要素技術を薄膜を形成する工程、それを任意の形に加工する工程、洗浄工程に大きく分類しており5、SemiMapはこれに不純物を入れるイオン注入や熱で性質を整えるアニールなどを加えて、8つの作業に分けている。

残る12のうち6つは、作る部品の名前だ。素子分離、ゲート形成、ソース・ドレイン形成、サイドウォールスペーサ形成、コンタクト形成、配線形成。知識ベースは、こうした単位をプロセスモジュールと呼び、製造フロー上では数十工程からなる単位1と定義する。ほかの6つは、3D集積、層転写、リフトオフ、応力ライナー形成のように、特定の構造や手法の名前だ。

1 熱酸化2 成膜3 リソグラフィ4 エッチング5 熱酸化6 イオン注入7 成膜8 CMP9 エッチング パッド酸化窒化膜を付ける溝の形を描く溝を掘る内壁を酸化不純物を入れる酸化膜で埋める平らにする窒化膜を除く 熱酸化成膜リソグラフィエッチングイオン注入(必要時)CMP
素子分離のSTIは、6種類の作業を9回つないでできる。同じ色の作業は、ゲートや配線を作るときにも繰り返し出てくる。

素子分離のSTIは、窒化膜と酸化膜を付け、溝を掘り、内壁を酸化し、CVDで酸化膜を埋め、CMPで平らにし、窒化膜を取り除く1。銅配線のダマシンも、溝のエッチング、スパッタ、めっき、熱処理、CMPと、同じ作業の組み合わせでできている。SEAJの工程図が3、フォトレジスト塗布から平坦化までを繰り返して素子を作り込むと書くのはこのためだ。

作業を行、部品を列にした表を思い浮かべると、仕事の分かれ方も読める。エッチングや成膜のプロセスエンジニアは、どの部品にも出てくる一つの作業、つまり行を深く担う。複数の作業をつないで部品を仕上げるプロセスインテグレーションは、列を担う。装置エンジニアは行の中の方式ごとの装置を、計測や歩留まり解析の担当は、作業の結果を測って直す側を受け持つ。

部品は、ウェーハの下から順に積み上がる。トランジスタそのものを作る素子分離・ゲート・ソース・ドレインまでをFEOL(Front End of Line)、トランジスタと配線をつなぐコンタクトをMOL(Middle of Line)、その上に何層も重ねる配線をBEOL(Back End of Line)と呼ぶ。名前に「Back End」と入っていても、BEOLはウェーハの上で行う前工程の一部だ。

作業の下に、手順と方式が並ぶ

Section titled “作業の下に、手順と方式が並ぶ”

作業の名前の下には、細かな手順と、やり方の違う方式が並ぶ。

方式の名前には、略語の一部に意味が入っていることが多い。よく出るものを知っておくと、名前から違いの見当がつく。

名前の一部意味例
PEプラズマで反応を進めるPECVD
LP / AP減圧で / 常圧でLPCVD、APCVD
MO有機金属の原料を使うMOCVD
AL表面の反応を1サイクルずつ繰り返し、原子の層の単位で少しずつ進めるALD、ALE
SAすでにある形に合わせて自動で位置が決まる(自己整合)SADP、SAC
D2W / W2Wチップをウェーハへ / ウェーハをウェーハへD2W接合、W2W接合
液浸レンズとウェーハのあいだを液体で満たすArF液浸露光

工程は「何の一種か」で並び、どこで使うかはFEOL・BEOL・パッケージの区分で読む。たとえばENIGは無電解めっきの一種なので成膜の下に並ぶが、使う場所はパッケージ基板やバンプだ。

検査・計測は形を、テストは電気を見る

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検査・計測の31工程の中心は、前工程の途中に何度も入る測定だ。線の幅を測るCD-SEM、上下の層のずれを測るオーバーレイ計測、膜厚計測、欠陥を探す欠陥検査など。測った結果は、直前の作業の条件を直すのに使う。断面観察やSIMSのような材料分析、歩留まりの解析もここに入る。

テストの19工程は、電気を流してチップが仕様どおり動くかを確かめる。ウェーハテスト、ファイナルテスト、バーンインのほか、スキャンテストのような試験の方式、不良のメモリ部分を予備に置き換える救済も入る。SEAJが「ウェーハ検査」と呼ぶ電気試験は、ここではウェーハテストにあたる。設計の段階にあるDFT(テスト容易化設計)は、このテストをしやすくする回路をあらかじめ組み込む工程だ。

形と材料を見るのが検査・計測、電気で動作を見るのがテストになる。名前に「検査」が入っていても、電気で良否を決める工程はテストに入る。

後工程は「削る・切る・つなぐ・包む」が骨格

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後工程の58工程の骨格は、ウェーハを薄く削る、チップに切る、チップを基板や他のチップへつなぐ、樹脂で包む、の4つの作業だ。そこにパッケージ基板と先端パッケージの工程が加わる。SEAJの工程図では、ダイシング、チップのマウンティング、ワイヤーボンディング、モールド4の順に並ぶ。

順番は入れ替わることがある。ディスコのDBGは、従来の「裏面研削のあとに切断」を逆にして、先にウェーハを途中まで切り(ハーフカット)、裏面研削でチップに分ける6。順番が変わっても、切ってチップに分ける作業なのでダイシングの一種に入る。

先端パッケージ(2.5D・3D・チップレット)では、前工程の作業が後工程の分類の中に戻ってくる。チップを縦に貫く電極のTSVは、Fraunhofer IZMの工程ではドライエッチング、絶縁膜の成膜、PVDでのバリアとシードの形成、銅の電解めっき、最大400℃のアニール7で作る。チップ上に配線を引き回すRDL(再配線層)も、塗布・露光・現像・スパッタ・めっき・エッチングの組み合わせだ。分類は後工程でも、作り方は前工程の作業でできている。

7段階を支える仕事は、工程とは別に数える

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工場には、全体を支える仕事もある。クリーンルームや超純水、特殊ガスを供給するファシリティ、信頼性評価と故障解析を担う品質保証、自動搬送や製造実行システムを扱う生産技術などだ。これらは7つの段階とは別の分類として、342工程とは別に数える。求人の「生産技術」や「品質保証」は、工程を横断する職能の名前として読む。

3つの問いで、知らない工程の位置が分かる

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工程名に迷ったら、3つの問いで位置が決まる。7つの段階のどこにあるか。作業の名前か、部品の名前か。どの作業の、どんな方式か。

工程ごとの装置・企業・求人は半導体製造の工程マップ、工程を通る順番は半導体製造工程の流れにまとめている。

342の工程は、段階、作業、手順と方式の順に入れ子になっている。

半導体設計(22)
フォトマスク・レチクル(10)
ウェーハ・基板製造(14)
前工程(188)
検査・計測(31)
テスト(19)
後工程(58)
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